神戸少年事件を考える  

 1997年5月に兵庫県神戸市で少年が失踪し、約3日後に少年の体の一部が発見され、翌月の6月に近所のA少年が逮捕されました。「市民平和訴訟の会」の代理人の一人でもある後藤昌次郎弁護氏が、この件に疑問を持たれて、神戸地検を告発されました。「一人でもいいから話を聞いて欲しい」ということで、私達「市民平和ネットワーク」は、神戸少年事件について後藤弁護士の話を聞く会を持ちました。
 尚、後藤晶次朗弁護士、「市民平和ネットワーク」はセクト、政党、宗教団体等とは、全く関係ありませんのでご周知下さい。


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 告発を行った後藤弁護士の考えは、ご自身の言葉である「この事件は解らないことだらけ。おかしなことがいっぱいあるんだ」、「私が神戸事件に関心をもって究めようとしているのは、A少年の犯行を認めるには合理的な疑問がないかということであり、それを解明する主たる鍵は、警察・検察の偽計捜査の実体と、第1・第2挑戦状とA少年の筆跡、及び第1・第2挑戦状や「懲役13年」のような文章をA少年が書けるかということです。要するにA少年が犯人かということであって、誰が犯人かということではありません。」という言葉でご理解していただけると思います。しかし、検察に何の動きも無いようです。このような当局の怠慢は許されるものではありません。私達も同様、警察の捜査方法やマスコミの報道に強く疑問を感じております。

 今後、この件に関しまして学習会や後援会の予定がありましたら、「お知らせ」に掲載しますので、是非ご参加下さるようにお願いいたします。

 尚、  「警察・検察の不正の告発を支援する会」(代表 弓削 達)
     連絡先 東京都文京区湯島4-8-15 第3KSビル201号室
       TEL 03-5684-5420 FAX 03-5684-5425

にて、「偽計捜査を許してはならない」という小冊子(カンパ300円)を発行されていますので、感心をお持ちの方は問い合わせ下さい。

 後藤昌次郎弁護士の紹介

1924年、岩手県北上市(旧・黒沢尻)に生まれる。松川事件、青梅事件、土田邸爆弾事件など、多くのえん罪事件の弁護人として活躍。弁護士界の重鎮的存在。92年、東京弁護士会人権賞を受賞。現在、神戸事件の真実を明らかにせんとして、警察・検察の不正を告発している。

  後藤昌次郎弁護士の講演 
「神戸少年事件について」

 「この事件は解らないことだらけ。おかしなことがいっぱいあるんだ」とは後藤弁護士の言葉です。これはテープおこしではなく、後日記録したので、当日の講演とは多少、私の記憶違いや勘違いがあります。

 この事件については、警察のみならずマスコミ報道にも問題があり、実際は未だに詳細は明らかにされず、謎だらけですし、短い時間内で語れるような、簡単に説明できるような事ではありませんが、それでも、全くご存じのないかたにも少しでもご理解頂けるように、後藤弁護士の講演に多少、補足説明を加えました。

 尚、後藤弁護士が他の場所で講演した内容をテープから起こした記録を掲載しておりますので、ご覧下さい(注:テキスト容量が40KB近くありますのでご注意下さい)
 その他、詳しいことがお知りになりたい方は、講演記録の最後の方にURLを記載していますので各種HPをご覧ください。

☆ まず、事件の概要から書きます。
1997年
 5月24日
被害者の少年失踪
25日
近所の人、総出で捜索20代or30代の男、白or黒い車を数人が目撃
27日
早朝、友が丘中学で首発見 午後、タンク山で胴体発見
 6月3日
神戸新聞社へ「酒鬼薔薇」より挑戦状の手紙が投函
28日
A君(当時14歳)、須磨署へ連行 母親は垂水警察署へ連れて行かれる(雑談したのみ) 父親は警官2名と家に残る 夕方、自白したとして逮捕
29日
検察へ送検
7月15日
少女2名殺害・暴行容疑で再逮捕
25日
家庭裁判所へ送致
8月4日
第1回審判(非公開のため審議内容は未発表) 60日間の精神鑑定の必要性と認定(その間、審判は開かれず)
9月18日
両親、逮捕後初めて面会(2ヶ月半以上経っている)
10月2日
第2回審判弁護団、警察の調書削除要求、認められる
9日
第3回審判 A少年「もう疲れた。早く終わらせて欲しい」と容疑を認める発言
13日
第4回審判 弁護団の方から「医療少年院送り」を要請(意見書提出)
17日
第5回審判 家裁、医療少年院送致の決定・確定家裁の要旨が各マスコミに載る


☆ そのあたりの事実関係

6月27日・兵庫県警本部直属の科学研究所にて

 『A少年と神戸新聞社に送られた文とは筆跡が同一とは困難』の判定がでる。にもかかわらず、28日、A少年を警察署に連行し、「筆跡が同一と出た」と少年を騙す。未成年の場合は取り調べに保護者が同伴できるが、母親は別の警察署へ、父親は家で警官と、両親が須磨署に来られないように仕向けている。夜、A少年が自白したとして、逮捕状をとる。

  29日・検事の取り調べ 
 神戸弁護士会より、少年事件のベテラン・野口善国弁護士他8名の国選付添人(弁護士)がつく。付添人、証拠閲覧で筆跡不同一の発見。A少年、弁護士から聞き、騙されたと知って悔し涙を流す。

 両親は、マスコミが大勢来てるから、とか、少年が会いたくないと言ってるから等という理由で、2ヶ月半以上面会できず。

 第2回審判で弁護団、偽計で作成された警察の調書の削除を要求。認められる。しかし、検察の調書は、「別の人間が作った、黙秘権を告知した、少年が自ら自白した」という理由で採用される。

 第3回審判より、弁護団、検事から家裁に送られた有罪の調書を読んでから態度がガラっと変わる。

 A少年の両親に、淳くんの両親に詫び状を書くように勧めたり、医療少年院送りをこちらから要請する。(2回と3回の短い間に、弁護団内で激論が戦わされたらしい) (弁護活動を放棄したように見うけられるが、理由不明)

☆ 検事調書と数々の矛盾点
1日目
遺体を池のほとりの窪地に隠す(隠せるような穴はない) (雨が降っていたのに、母親は少年の衣服が汚れていたという記憶はない。)糸鋸と南京錠をスーパーで万引きする。(買ったという事実が証明されないため、万引きしたと調書にはなっている)
2日目
遺体をタンク山のアンテナ基地内で切断。床下に隠す。南京錠を糸鋸で切断して、新しく付け替えた。(大勢で捜索中に、真っ昼間そんな事が可能だろうか) (糸鋸では首はスパッと斬れない) (アンテナ基地にも血痕ナシ)
3日目
首を家に持ち帰り、お風呂場でたらいで洗って自室の天袋に隠す。(お風呂場でそのようなことをやったというのに、両親は何も気づいていない) (また、腐臭がしてくるはずなのに、捜索した警察犬にしろ、両親にしろ、誰も何も感じていない)たらいを2コ押収。(たらいにも血痕反応がなかったことを弁護団確認)。
4日目
午前1時から2時の間に、首を友が丘中学の塀の上に置いたが安定が悪く落ちてしまうので、門の中央に置いて帰る。(母親は毎日5時半に起床。つまり母親が、少年が出かけたのに気づいていない以上、それ以降に家を出たという調書は作成できない) (しかし、早朝5時10分に通った新聞配達は目撃していない)(5時半より目撃者は4人、それぞれ塀の右下、左、中央と首のあった目撃場所が違う) (事実、塀の上、他3ヶ所に血痕アリ)
7月1日
「凶器を池に棄てた」と自供したと警察発表。(しかし、現場付近を立ち入り禁止にすることはせず) 6日・捜索開始。糸鋸は(自供通り)テレビカメラの前で池の中から発見。しかし正式に証拠には採用していない。(つまり立証できていない)南京錠は発見されず。金づちは発見されたが後に無関係と発表。物証といえるのはこの、使われたかどうかわからない糸鋸のみ。

○ 遺体の口に加えられていた犯行声明文と神戸新聞社に送られたサカキバラ名の挑戦
  状は、どちらも文章が論理的に展開され、思考能力と表現能力が優れ、知的能力が
  高い者によると推測される。
○ その後、少年が書いた(こんな文も書いてるんだから、当然、声明文も彼が書いたん
   だ)として発表された「懲役13年」という文は、ダンテの「神曲」地獄編の冒頭
  の数行とニーチェの「善悪の彼岸」が引用されている。それも引用部分がすっぽり
  見事にはまっていてかなり、知能指数の高い、文を書き慣れた人が書いたものと思
  われる。彼の部屋にはこれらの本はない。検察の調書では「本屋でこれらの本を立
  ち読みした。少年は精神医学上の直観○○症で、見た映像を脳裏に焼き付け、あと
  からそっくり思い出せる」ということになっている。
○ 精神鑑定では知能指数70。精神の異常性は認められず。物事に集中しにくい。(と
  いう人が1300字にも及ぶ声明文を1字の書き損じもなく書けるだろうか)
○ 警察の正式発表は逮捕時と再逮捕時の2回、合計15分のみ。殺害時刻や切断時刻な
  ど詳細を未だに明らかにしていない。それ以外の、マスコミが報道したものはすべ
  て、リークという責任能力のないもの。
○ 例えば、中学の先生から体罰を受け、「学校に来るな」と言われて登校拒否にな
  り、学校に恨みを持った、という話は学校側が「警察からそのような話は聞いてい
  ない」と全面否定。そのような事実ナシ。ネコ殺しの件は伝聞のみで、今では神戸
  新聞社もデマだったと認めている。
○ 後藤弁護士が申し込んでも付添人たちは多忙を理由に会おうとしない。(若い人が1
  人だけ会って、たらいにルミノール反応が無かったことを認めた)


 後藤弁護士は、警察が「筆跡が一致した」と嘘を付いて自供を導き出した、偽言による自白であるとして、13、4人の方と昨年秋に神戸地検を相手に告発されました。


 冒頭に書いた言葉をおっしゃっただけで「少年は犯人ではない」とは一言も断言されませんでした。ただし、長年、松川、菅生、八海、日石・土田、ピース缶爆弾等数々の冤罪事件に関わられてきた経験から、
○ 警察は証拠を捏造することもあること。
  今回で言えば、6月28日に警官が二人きて、父親と長時間家にいたこと。2人いれば
  証拠を捏造する機会があったと問題視されていました。
○ 少年が長期にわたって両親の立ち会いもなく、警察の管理下に置かれたこと。成人
  であってもこれによって自白を強要された人が多いこと。両親がやっと面会したの
  は3ヶ月近くも経ってからです。
○ 警察も検察も、自分の都合の良いように調書を作成し、都合の良い証拠しか明かさ
  ないこと。
○ 成人の裁判であれば、検察は法廷で犯罪を立証しなければならず、公の場で明らか
  にされるのに、少年の場合は少年の保護育成の名目で、審判は非公開。内容が一切
  明らかにされないまま、様々なことが闇の中で決定され、しかも一審のみで再審が
  ないこと。裁判官は1人のみ。

                   など、少年法についても問題視されてました。

 この事件も殺害の日時・場所など、詳細は未だに明らかにされていません。被害者の少年のお父さんは『事実を知りたい』一心で、法廷の場に様々な資料・証拠等を出してきて明らかにしてほしいと、1億円の賠償を求める民事訴訟を起こしました。しかし、A少年の両親は犯行も、賠償責任もすべて認めて争わず、結局、永久に闇の中となりました。


 被害者本人が行うのが「告訴」。後藤弁護士は、直接両親に会って弁護士として選任して貰おうとしましたが、A少年の弁護団が何故か居所を教えてくれず、やむをえず、第3者が行う(誰でもできる)「告発」という形をとられました。「告発」は最高裁の判決と同じで、いつ返事が来るか全く分からないそうです。
                                文責 牧原


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