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2005年11月15日
My Friend, Willie McNeilとKing King
ロスに行って、お世話になったのはウイリー・マクニールの家。かつてジャンプ・ウィズ・ジョーイという、実にユニークなスカ・バンドの中心メンバーでドラマー。そのバンドで何度も来日しているし、80年代終わりぐらいからのスカ・ファンだったら、おそらく、彼らのアルバムも持っているかもしれない。オーセンティックなスカをベースとしながらも、ロカビリーからジャズ、キューバン・ミュージック的な要素も含みながら、独特のテイストを持っていたのが彼ら。そのファンも多かった。日本で最初に発表されたのは"Ska-Ba"というアルバムで、そのアルバムのライナーを自分自身とスマッシュの日高氏が書いていたように覚えている。
その後、スキャタライツのアルバム・ジャケットをパロった... というか、そのままいただいた"Strictly for You 2"を発表して、すでに他界したローランド・アルフォンソや、トロンボーンの巨匠、リコ・ロドリゲス、それにウォーのロニー・ジョーダンなどをゲストに迎えて、名作、"Generations United"と続いている。その3枚はクアトロにライセンスされて、日本でもしばらく入手可能だったんだが、その後、99年に"Swingin' Ska Goes South of the Border"というタイトルで発表された作品は、残念ながら、日本では発表されなかったんじゃないだろうか。ウイリー曰く、これこそが自分たちにとって最高傑作だったと語っているんだが、実に残念だ。結局、これが最後のアルバムとなって、バンドの中心だったジョーイ・アルトゥルーダは映画音楽の方面に進み、ウイリーはキューバン・ミュージックに傾いていくことになる。
といっても、その終焉からしばらくの後、ジョーイのプロジェクト、"Cocktails with Joey"をウイリーが手伝っていたこともあった。マーティン・デニーあたりのセンスにも近いエキゾチックなタッチを持ったこのアルバムも素晴らしかったし、自分の仲間内では、2枚目として登場した"Kingston Cocktail"の評価が異様に高かったのも覚えている。もし、チャンスがあったら、そして、あの、癖のある、ユニークなスカ・バンド、ジャンプ・ウィズ・ジョーイを気に入っていたようだったら、このアルバムは絶対にチェックしてほしいと思う。絶対に後悔はさせないから。確か、このアルバムには、本来、映画"ゲット・ショーティ"のために作られたという曲も収録されていたはずだ。なにが問題だったのかは覚えてはいないが、結局、それが使われることはなく、そのタイトルを「フォーゲット・ショーティ」とした、なんて話を聞いたものだ。
その一方で、ウイリーはアシッド・ジャズに接近。(キューバ音楽に完全にとっぷりとはまる前のことなんですが)Solsonicsというバンドを作って"Jazz in the Present Tense"というアルバムを発表している。これは日本盤が発表されていて、そのライナーを書いているのが私です。なかなかいいアルバムで、これはよく聴いた。面白いのは、このバンドのメンバーとして、かつてフィッシュボーンのツアー・マネージャーをしていた日系人のジミー・スズキがメンバーとして加わっていたこと。この時も世の中って狭いなぁと思ったもんです。
そういえば、実をいえば、ジョーイとウイリーのつきあいはめちゃくちゃ長くて、70年代終わりのロス・アンダーグランド・シーンで最も人気のあった3グループのひとつが、彼らの作っていたチュペーロ・チェイン・セックスというバンド。で、他の二つというと、フィッシュボーンとレッド・ホット・チリ・ペパーズということで、そのあたりからもウイリーのロスでの評価や立っている場所が想像できると思う。(しかも、このバンドの3枚目を今回、中古盤屋さんでみつけて購入しているんだが、そのなかにロンドンの仲間、ジェイソン・メイオールのクレジットがみつかる。この頃、ジェイソンはロスで映画の勉強や中古衣料の買い付けの仕事をしていたらしい。彼らのつきあいも長いのだ)
で、この"Jazz in the Present Tense"を出した頃には、ウイリーはいろいろなところでその才能を発揮しているんだが、そのひとつがSkatemaster Tateというグループ。(メンバーだという説もあるんだが、確認してはいない)その音作りを手伝って、それが"Rebirth of the Cool"というコンピレーションに収録されているはず。(なお、このシリーズはめちゃくちゃいい。ジャズのティップを持ったいろいろな曲が楽しめる)今、手元にはアナログしかないんだけど、確か、このCDを買ったときに彼のクレジットを見たような記憶がある。その他、Guruが"Jazzmatazz 2"を出した頃には、そのドラマーとしてロンドンでライヴもやっていた。実は、この時の前座が大好きなベン・ハーパーで、満足にリハもさせてもらえなかったというのに、Guruたちを完全に喰ってしまったのがベン。いまだに、この時のライヴが、過去10年間で最高のものだと思っている。
おっと、話がそれてしまったが、デビューする前にプロデュースをウイリーに依頼してきたのがグラミー賞を取ってしまった"オゾマトリ"。なんでもこの時は、「おまえたちはもう完璧だから、俺のプロデュースなんて必要ないよ」と断ったというんだけど、もったいない話だ。とまぁ、ともかく、いろんな意味で才能があり、ドラマーとしても屈指の存在がウイリーで、ロスで最も信頼できる友人のひとりが彼なのだ。
その彼がジャンプ・ウィズ・ジョーイの頃からレギュラーとして演奏していたのがクラブ、キング・キング。といっても、あの当時のキング・キングはラ・ブレアにあったと思うのだが、それが一時閉店して、再び復活したのがハリウッド・ブルーヴァード。以前のキングキングはこぢんまりしていて、文字通り中華料理屋さんを改造して作られてもので、ステージの脇だったかに、龍が空を飛んでいるってな雰囲気の飾りがあったように思う。で、復活したキングキングは、以前のものよりも遙かに大きい。といっても、あの中国風味はそのままで、もっとおしゃれになった感じだ。
なんでもロスではお皿を回すDJ主体のクラブはいっぱいあるんだが、実際にライヴを演奏して楽しめるようなクラブはほとんどないらしく、そんな意味でもここがライヴ・ミュージックにとってとても重要な場所となっているんだそうだ。そういえば、ロスについた翌日だったかに、ここで日本のバンドがいっぱい集まってライヴをやっていたという話も聞いた。
で、そのキング・キングで毎週火曜日にライヴをやっているのが、ウイリーを中心としたSono Luxというバンドで、本格的なキューバン・ミュージック。なんでも、こういったバンドはいるらしいんだが、ライヴになると正装して行くのがスペイン語系の人たちの世界。だから、もっとラフな感じで、楽しくできるものを目指しているんだとか。しかも、9時から10時まではダンス・レッスンもあるようで、ちょうどウイリーたちがセッティングをしている間にそのレッスンの様子を見ることができた。まぁ、基本的にダンス・ミュージックで、バンドが演奏しても、それが最も大きな楽しみだというので、ステージを見て楽しんでいる人たちよりも、踊りまくっている人たちの方が多かったのが、一般的なライヴとの大きな違いだったが、この楽しい雰囲気はやみつきになりそう。なにせ、踊れなくても、自然に身体が動いてしまうのが彼らの音楽。キューバンミュージックやサルサあたりになると、ほとんど知らないんだけど、否応なしに身体を動かすというだけでも、彼らの音楽は素晴らしいと思うのだ。
そんなに簡単にロスに遊びに行くこともないとは思うが、もし、チャンスがあったら、このキングキングには遊びに行って欲しいと思う。けっこうオルタナティヴなハリウッドが覗けると思うので。
投稿者 hanasan : 2005年11月15日 17:12