« 1000円以下で買えるロックなDVD | メイン | 勝ち馬に乗るのが良いことか - 「改革」ってなにさ? »

2006年02月01日

懐かしいコレクターズ、アイテムがCD化です! - ギャズ・メイオール -

Gaz's Rockin Blues 本当に懐かしい。まだ日本に「クラブ」といった言葉さえもが存在しなかった頃、いや、存在してはいたけど、「銀座のクラブ」といった高級飲み屋にしかこの言葉が使われていなかった頃、初めて取材したのがロンドンのクラブだった。その頃のことは、87年に発表した「ロンドン・ラジカル・ウォーク」という本の第八章に詳しく書いているし、多くの雑誌に当時のクラブ文化発見による衝撃について発表しているんだが、この時に知り合うことになったのが、今もまだ続くクラブ、ギャズズ・ロッキンブルースの中心人物、ギャズ・メイオールだった。

 当時、クラブがあったのはディーン・ストリートのゴシップスで、今と同じ木曜日に開催されていたのだが、その店がおしゃれなワイン・バーに改造されてしまったために、現在ではウォードー・ストリートのサン・モリッツという店に場所を移している。が、雨後の竹の子のようにクラブが生まれて、消えているロンドンで25年にわたって続いているのは、ギャズのこのクラブだけで、それだけでもこのクラブの面白さが想像できようというものだ。

 あの本にも書いているんだが、アメリカからイギリスにやってきてどうしようもなかったストレイ・キャッツがここで初めてライヴをする場を与えられたり、ミック・ジャガーやデヴィッド・ボウイが遊びに来たことがあるとか... 俳優のブルース・ウイリスが噂を聞きつけてやってきて、演奏してしまった話とか... まぁ、そういったポップ・スターがけっこう遊びに来ているような。それに加えて、かなりクラシックなスカからブルース、ジャンプ、リズム・アンド・ブルースという、流されている音楽のせいもあるんだろうけど、伝説的なスカ系のミュージシャンがここで頻繁に演奏していたものだ。

 そのギャズが一番最初に作ったコンピレーションが今回、再発売というか、CD化されたもの。長い間コレクターズ・アイテムとなっていたもので、これがCDになったのは嬉しい。というか、これこそがギャズズ・ロッキン・ブルースの原点のようなアルバム。彼のクラブを体験したことがある人やスカ、からブルース、R&Bといったところの、アーシーでルーツィ、どろどろとしたダンス・ミュージックを楽しみたい人には絶対のお勧めで、買っても間違いはないはずだ。それに、オリジナルに加えて、かなりの曲が加えられた2枚組となっているらしく、そんな情報を受けて、自分も速攻で注文。おそらく、明日には届くだろう。

Gaz's Rockin Blues 実をいえば、彼が今では入手不可能になった数々の7インチをコンセプト別にコンパイルして、自家製のカセット・テープを作っていたのだが、それが素晴らしくて、この当時、それをほぼ全て集めていた。このクラブで流される音楽がここに収録されているわけで、これを使えば、あのクラブの雰囲気を作り出すことができる... といったら語弊があるが、一応気分だけは味わうことができるのだ。もちろん、本当にあの迫力を再生するには溝の深い昔の7インチが必要だし、ビシビシとノイズやスクラッチの入ったアナログらからこそ、あの味がでるんだろうけど、まぁ、仮想でその気分だけは味わえる。じゃ、それを日本でコンピレーションとして発表すればいいじゃないか... と思って企画したのがこの作品「Whiskey, Wine & Women」だった。たまたまその前に東芝EMIと数枚のコンピレーション(ストレート・ノー・チェイサーによるブルーノート系のもの)を制作して、それがヒットしていたこともあり、けっこうすんなりとその企画が受け入れられて、これを作っている。

 といっても、ちょうどその頃、ロスでA型肝炎に感染してしまって、入院するという事件があり、充分なプロモーション活動ができなかったこともあるんだろう。あまりセールスはよくなかったんだが、このアルバムは素晴らしかった。なにせ、ここに集められているのは、ジャマイカにスカが生まれる直前、海を渡ってラジオから流れ出していたR&Bの数々。これを聞けば、R&Bこそがスカのルーツであることがよく理解できるし、日本では学者のようなコレクター達の「趣味の音楽」でしかなかったアーシーでワイルドなR&Bが、まるで命を吹き返したかのように響いてくるのだ。このアルバムでそういった音楽にはまりこんでいった人たちも多かったし、自分自身、音楽の流れという歴史をも教えてもらうことになったものだ。

 これが発表された時のレヴューも面白かった。学術でしかこういった音楽のことを語ることができないインテリどもの「音楽を楽しむ」意識の欠落が、こういった音楽をほこりまみれの博物館に押し込めていったんだということがよくわかった。「学術的には評価できないチープな...」なんてことを書いていたバカがいたからなぁ....なお、その時のライナーはここに収録しています。

 それがともかく、今回、ギャズのデビュー・コンピレーションの再発に伴って、このCD「Whiskey, Wine & Women」も再発売してくれないかなぁと思う。90年代半ばのあの頃以上に、実は、ギャズの人気や浸透度が高まっているのが日本。そういった音楽好きの若い人たちにこのアルバムを聴いてほしいと切に思うのだ。

補足 : 2日にアルバムが届きました。2枚組ではなく1枚でした。内容は最高です。文句なし。

最補足 : なんと、これに2枚組のものもあるようなんだな。こちら昨年発表された1枚もので、こちらは今年発表された2枚組。どないなってはりまんねん?


投稿者 hanasan : 2006年02月01日 18:01

コメント