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2006年02月27日

なぜ創価学会は叩かれないのか?

藤原正彦 先日、建築関係の友人と話をしていて、例の姉歯物件(なんて言葉ですべてがわかるというのも恐ろしいが)の話題になった。これは、巷ではよく知られた話なんだが、彼は創価学会の会員らしく、2004年9月に国土交通大臣に就任した北側一雄は公明党所属である。ということで、当然ながら、その関係がけっこう「怪しい」という疑惑はみんなが持っていた。

 で、まさかと思っていたんだが、例のヒューザーという会社、なんでも彼によるとその社長も創価学会で、その社員はほぼすべてが創価学会の会員なんだという噂を聞いた。創価大学ってぇのがあるというのは、みなさん、ご存じだと思いますけど、その宗教大学を卒業する時に大学関連企業として就職斡旋される企業のなかにこの会社が含まれているんだそうな。なんでも優良企業として名を連ねているとか。おそらく、マスコミの人間だったら、それぐらいの話(噂)は知っていて当然なんだろうけどなぜ誰も書かないのか? 一番怖いのはここだな。怖いよなぁ、この世は。自民党と宗教団体の支配する世の中になってしまっているってぇのか、今の日本って? だったとしたら、めちゃくちゃ怖くないか?

 さらに、つまらない話かもしれないが、ある日、テレビ関係の友人と話していたときのこと。創価学会じゃないと、番組にでるのも難しくなりつつあるという話(噂)も耳に入ってきた。要するに仕事がとりにくいんだそうな。今、メディアで人気の、わっはっはなんとかってぇの、あれも創価学会なんだと。ふ〜ん、なるほどなぁ。へたくそなベースを弾いて売れているあの人も、そうらしく、そうやって探していけば、テレビは創価学会だらけになるという噂もある。まぁ、これは、噂。だから、信憑性についてここではなにも言いません。自分で判断するなり、取材するなりしてくださいませ。でも、もし、仮に、そう、仮にだよ、メディアが創価学会に牛耳られていれば、当然ながら、創価学会に批判的な報道はされませんわな。実際、人殺しマンションを建てた人間たちが、創価学会との関連を、そして、内閣の重要ポジションにいる人たちとの関連を全く叩かれることなく、疑われることもなく、のうのうとしていられるんだから。かなり怪しいなぁ。うん、常識的な想像力を持っていたら、なにかが怪しいと思って普通だろうな。そうだとは、ここでは断言しませんけど。できないしな。

 今、国会で話題となっている「メール事件」なんだけど、こんなの小さい、小さい。まぁ、そんな状況を少しでも認識するなり、感じるなりしていたら、そう思うだろ? 自民党が金でしか動いていないっての、常識以外の何ものでもないって、誰でも想像できるじゃん。「え、みんながそうじゃない」って? そうかぁ。そりゃぁ、それを証明できるものを見たいなぁと言う気持ちは否定しないけど。いずれにせよ、これは、そういった「噂はある」って程度しかないから、ここでも、「噂」だとしか言いませんけど。その「噂」に立って、想像力を働かせて言っているだけだから、本当じゃないことは十分にあり得ると言うことで、これを真剣には受け取ってもらっても、それは、読む人の想像力のなせる技でしかないと断っておきますけど。だってねぇ、お縄になんてなりたくなないじゃないですか。たかだかこの程度で?と、思う人もきっといると思いますけど、そういった世の中になりつつありますから。私、口が裂けても、公明党や自民党、創価学会を「犯罪人」だなんて言いませんから。

 でも、面白くないですか? このあたりをじっくりと調べていくと、かなり不気味な世界が垣間見えますよ。ひょっとして自民党や民主党でも、主流派が創価学会ってこともあるように思える今日この頃。だったら、すごいね。あながち、それも空想ではないのかもしれませんなぁ。

 と、なにをここに書いているのか?空想です。妄想です。これをどう受け取るかは、あなたの勝手。ただねぇ、「噂」に振り回されるメールなんて、証拠にもならないような世界で必死になるんだったら、そろそろ業界のタブーとされている世界に首をつっこむメディアの人間や政治家はいないんだろうかね。


投稿者 hanasan : 02:43 | コメント (0)

2006年02月26日

勘違い発見、すまん。あれはロバータ・フラックだ。

Sting スティングのこのアルバム、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン - アット・ザ・ムーヴィー - 』のことを書いた時、どこかでなにかが引っかかっていたんだが、あの時点でまだアルバムはうちに届いてはいなかったのね。で、あのアルバムを注文した時にあれを書いたんだけど、それが届いて聞いていると、「ん? おかしい。このヴァージョン、『Someone To Watch Over Me』は... 何度も聞いているなぁ。」と思ったわけです。しかも、タッチといいディテールといい、自分の頭のなかに全部残っているのね。おっかっしいなぁ... ひょっとしてあれは勘違いかぁ?と、思いをめぐらしてたら、その通り。大間違いのこんこんちきでございます。陳謝でございます。すんません。

 となると、絶対にどこかにシングルがあるはずだと思って、CDシングルの棚をチェックしたら、でてきました。これ、実は、1988年頃に、A&Mが発表したCompact Hitsとかいうシリーズの限定盤CDシングルに収められていたもので、品番はAMCD911。タイトル・トラックは「Englishman In New York」で、このほかに「If You Love Somebody Set Them Free」と、この「Someone To Watch Over Me」に、「Spread A Little Happiness」という4曲が収録されているもの。結局、「いろいろなシングルにこういったヴァージョンが収められているよ」と、あの時も、そんなことを書いているんだが、これはそんな1枚だったわけです。

 思い返すと、まだまだCDがアナログに完全には取って代わってはいなかった時代で、けっこう珍しい形のシリーズではなかったかなぁ。自分の記憶が正しければ、世界で初めてのCDシングルが発表されたのは86年。John Martynの「Angeline」なんだが、その話は当時、アイランド・レコードのお偉いさんにロンドンの本社で教えられている。そのあたりの事情を考えると、おそらく、買いやすい値段でCDを普及させるための企画としてこれが出たのではないかと思う。

Sting で、これがその時に入手したシングル。まぁ、まるで真剣にデザインしていないようなジャケットは見ての通り。なんだろうね、こうゆうの。で、このシリーズの他のタイトルを見ると、懐かしいThe AlarmやHerb AlpertにCarpentersといったA&Mのスター達の名前が顔を出している。

 ということで、ごめんなさい。このシングルはありました。でも、あの時、最初にあの映画『誰かに見られてる (Someone to Watch Over Me)』のサントラを探して、それが出ていないことを告げられて... スティングのこの曲が収録されているアルバムやエンド・ロールの時のロバータ・フラックのヴァージョンが収められているアルバムも探したんだと思う。が、結局、アルバムとしては今回入手した『マイ・ファニー・ヴァレンタイン - アット・ザ・ムーヴィー - 』にしか収録されていないということなんだろう。それに、今もロバータ・フラックのヴァージョンは映画でしか聞いたことがない。もし、誰かみつけた人がいたらぜひぜひ教えてくださいませ。あのヴァージョンも欲しい。時には聞きたいのよ。


投稿者 hanasan : 22:36 | コメント (0)

2006年02月23日

再びサイケデリックなソウルに遭遇

Kim Hong Tak 昨年10月にソウルに向かった時、Beatball Recordsというレーベルの方からこのアルバムをLPでいただいたことは以前ここに書いている。これを結局は、ハードディスクに落として、CDにしてしまったり、それをiPodに移して聞いているんだが、ここでカバーされているのが、Iron Butterflyのアルバム「In-A-Gadda-Da-Vida」に収められているタイトル・トラックで、こちらも結局手に入れることになってしまったことも記した。といっても、実を言うと、Kim Hong Takのバンド、He6によるヴァージョンの方が、実は、気に入っているんですけどね。オリジナルの方が遙かにすかすかで、こちらの方が厚く感じるのは気のせいかなぁ。

 ともかく、あれ以来、韓国のクラシックなロックが気になって気になって... なんとかそのあたりを掘り下げて取材できないかなぁと思っていた。だから、今回のソウル行きで、このあたりもやっつけようと思っていたんだが、正直言って、「取材」と呼べるものはほとんどできなかった。通訳を雇う金もなく、友人の力を借りていろいろな情報を入手しようとするんだが、彼らも仕事をしているわけで、思い通りにつきあってくれるわけもない。だから、中途半端なことしかできないのだ。だから、今回は取材というより、遊びに行ったようなものだった。

 そんななかで今回、嬉しかったのは、また、新しい友人ができたこと。Jongsoo Hongという方で、名刺を見るとサイケデリック・フラワーという会社をやっている様子。といっても、それがなになのかもわからないんだが、今回、彼と出会えたのは『日韓音楽ノート—「越境」する旅人の歌を追って』に記されていたShin Jung Hyunの歌、「美しき山河」という作品が収められていたアルバムを探していて、それを彼が持っているという話が伝わったことがその理由。あの本によると、75年に、サイケデリック風にアレンジされたこれが当時の大統領、朴正煕(パク・チョンヒ)を激怒させて、それがきっかけで彼が監獄に放り込まれることになったとのことだが、それがどんなものかを聞いてみたかったのだ。

Cocore 彼と出会ったのは新村(シンション)と弘大(ホンデー...と聞こえます)の間にあるバー。友人がベースをやっていたゴーストというバンド(こちら)がソウルでライヴをするというので、初めて韓国へ取材に出かけた04年2月に彼らが演奏した小屋(Samzie)の坂を下りたところにあって、ここをやっているのは一昨年のフジ・ロックに出演したココア(Cocore)というバンドをやっていたドラマー。残念ながら、彼らは解散してしまったようで、なんかソウルまで彼らの取材に行った自分たちがあほらしく思えてしまったといういきさつがありますが。ともかく、ここで彼と2時間ぐらい酒を酌み交わしながらの話となった。

 一応、録音機材は持っていっているんだが、なかなかまともな取材にはなりにくい... 結局好きな音楽の話をしながら、楽しむという感じで、この時聞かせてもらったのが、あの本で描かれていた「美しき山河」という曲のオリジナルが収録されたSiun Jung Hyunのアルバム。その曲を聴いて思ったのだが、おそらく、これは、あの年の6月に韓国のバンドの取材に出かけていった時に購入したCDにも収められていたものじゃないかと思う。といっても、ハングルが全然理解できないから、これは想像の域を超えていないことをここに記しておきますけど。

Cocore そのアルバムがこれで、英語で表記されているタイトルは「Shin Jun Hyun & Yup Juns Vol.2」で、このアルバムの頭に入っている曲ではないかと思うんですね。残念ながら、いまだにMac OS9で仕事をしているので、ハングルで曲名をインプットできないですが、もし、ご存じの方がいらっしゃるようだったら教えてくださいませ。

 ともかく、Jongsoo Hongさんとの話でShin Jung Hyunがどちらかというと、日本で言うところのはっぴぃえんどやジャックスに通じる位置にいるアーティストだということは理解できた。Jongsoo Hongさんは日本のロックにも精通しているようで、特にアシッド・フォークやサイケデリック系の音楽についていろんな固有名詞がでてきたんだけど、残念ながら、そのあたり、自分には全然接点がなくて全くわからなかった。いずれにせよ、この会話は全て通訳を経由してのもので、韓国語を話せないことが実に悔しい。歯がゆい。おそらく、通訳をしてくれた友人がベストを尽くしてくれているんだろうけど、言葉のニュアンスがきちんと伝わらないというか... もちろん、取材するたびに全ての言葉を理解するのは不可能だけど、これまではなんとか英語を話していれば、わかったことが全然わからない。やっぱりアジアの言葉をひとつぐらいきちんと勉強しなければいけないなぁと思いつつ、寄る年波に限界を感じることもある。なにせ、記憶力がどんどんなくなっているというか... さぁて、どうしよう。


投稿者 hanasan : 17:45 | コメント (0)

2006年02月22日

ソウルでオアシス

Oasis 20日にソウルに向かった。今回は、友人であるソウルのプロモーターに「オアシス見に来ない?」と誘われて出かけていったんだが、正直なところ、オアシスにそれほど魅力を感じているわけではなく、「ソウルでオアシス」という状況にそそられたというのが正しい。日本からフライトで2時間あまり。距離的には東京から福岡へ飛ぶのとほとんど変わらない場所にあるというのに、今回、オアシスが韓国で演奏するのは初めて。日本へ何度も彼らがやってきていることを考えると、そのギャップに驚かされる。なんでこんなに大きな違いがでているのか... そんなことをも含めて、韓国だけではなく、日本をももっと理解するためにも出かけてみようと思ったのだ。

 これまで何度もソウルに飛んで、彼らのなかでのロック文化が日本よりも遙かに小さいことは知っていた。CDセールスでロックは10%にも及ばず、ソウル以外にはほとんど、日本で言うところのライブハウスが存在しないこと。ソウルでも、ライヴの環境という意味で言えば、下北沢よりも規模は小さい... 彼らにいわせると、まだまだロックという文化が市民権を獲得していないというのが正しいんだろう。といっても、日本だってロックが大ヒットしたことってあるのかなぁとも思う。"カルメン・マキ&OZ"が初めて10万枚を越えるセールスを記録して、可能性を感じさせたのが70年代半ば。それから30年だが、自分自身が「ロック」と思えるものが大ヒットしたことってあるのかなぁと思い返せば、そんなことは全然なかった。それに、ロックだのポップスだのといっても、その定義も曖昧で、どこかで違いがわからないのだ。というか、ないんだよね、そんなもの。問題は「産業」あるいは、「商品」としての音楽とそうでないものとの微妙な違い。それにしても、音楽なんぞ受け取る側でなんとでも映る。所詮はビジネスの餌食になるというのが否定できない一方で、「彼ら」のビジネスではなく、「自分たち」のビジネスとなる音楽を成長させることの重要さも考えないといけないんだろう。っても、難しいなぁ。いずれにせよ、ビジネスのための音楽ではなく、音楽のためのビジネスというシステムを成立させることが重要んじゃないかな。もちろん、それが「書く意味」を持つのかどうかは、また別のテーマとなりますが。

 ともかく、ロックが大きな意味で市民権を獲得していないと思われる、その一方で、そうしようとしている人たちといっぱい出会ってきたソウルでのオアシスに興味があった。そして、「待ちに待った」韓国のロック・ファン、オアシス・ファンの感極まった表情に釣られてシャッターを切ったのが頭の写真だ。これは、バンドがステージに出てきたその瞬間のショット。最前列にいた子供達なんだけど、彼の仕合わせそうなこと。これだけでも、ここにいた意味が自分にはあるように思える。っても、誓約書を書いているので、オアシスの写真はここでは使えないので、それはSmashing Magでチェックしてくださいませ。上の写真をクリックすれば、飛べるようにしているので。

Biuret この日、前座として登場したのがビウレットという韓国のインディ・バンドだった。といっても、正直言って、初めての韓国での撮影っていうことに、ちょっとした緊張感があったからなんだろうな、このバンドがどんな演奏をしたかということが記憶から完全にぶっ飛んでいる。「なかなかいいじゃないか、このバンド」って感じだけは覚えているんだけどね。リード・ヴォーカルの女の子がかっこよかったことだとか、ギターの男の子(女みたいにも見えたんですけど)がTレックスのマーク・ボランにでも影響を受けているのかなぁ... なんてことを思ってみたり... それに、韓国のバンドって女のミュージシャンが多いんだろうって思ってもいた。それと、アバの「ダンシング・クイーン」をカバーして、なんかの曲の導入部として使っていたこととがおかしかったり... それと、さすがに気にしなくてはいけなかったんだろう、幾度となく「オアシス」という言葉が彼らからの口からでていたことも。そりゃぁそうだろ。初の韓国公演で観客の期待値がピークに達している前で演奏しているのだ。そんな場所で彼らが演奏することのプレッシャーといったら、並大抵のものではなかったはずだ。そんなことを考えたら、よくやったんじゃないかなぁと思う。

 で、オアシスなんだけど、いろんな悪い噂を聞いていたから、ヴォーカルのリアムが途中でステージをほっぽり出して、どこかに行ってしまわないだろうか... と、そんなハプニングが起きはしないかと想像もしていたんだけど、けっこう、上機嫌で、いい感じでステージが進行していったって感じかしら。オーディエンスからは、リアムよりも、ノエルに対する声の方が目立ったほどで、韓国ではノエルの方が人気があるのかなぁと思ってみたり。

 おそらく、どこの国でもそうなんだろうけど、バンドと一緒のほぼ全曲を大声で歌っていたのがオーディエンス。そんな光景を見ていると、日本も韓国もなにも変わらないじゃないかと思った。会場はオリンピック公園のなかにあるオリンピック・ホールというところで、会場のキャパシティは5500。当然のように、完全にソールド・アウトで、確か、2日間ぐらいで売り切れたのではなかったかと思う。その後、少しスペースを作って若干の追加チケットを売りだしているはずだけど、それも、当然のようにすぐになくなったとか。

 オアシスのメンバーは、みんな嬉しそうに演奏していた... と、見えた。特にノエルはオーディエンスのコーラスを誘ったりとサービス精神いっぱいで、それに一体となって応えていたのがオーディエンス。そんな意味で言ったら、いいライヴだったと思う。

「これからはもっと韓国に来るようにするから。少なくともあと12年のうちには」

 と、ノエルが言っていたんだけど、これは、韓国に彼らがやってくるまでにデビュー以来の年月が過ぎていることに対する皮肉も込めている。といっても、韓国で本当の意味で自由に音楽が演奏できるようになったのは95年のこと。それまでは強力な検閲のために「国家が認めたもの」しか発表できなかった(はずだ)という事情がある。おそらく、オアシスはそんなことも知らないんだろ。その当時には、検閲も緩やかになっていたらしいが、それだったとしても、「検閲」があるということだけでも、韓国の音楽の現場は我々の70年代や80年代とは遙かに違うのだ。行く先々の国の歴史なんぞ、勉強しようとは思わないだろうけど、誰か、彼らに近い人がいたら、そういったことも知らせてあげるべきだろうし、僕らもそういったことを学ばなければいけないんだろうなぁと思う。特に、韓国はすぐ隣の国。歴史には学べることがいっぱいあるからね。


投稿者 hanasan : 11:40 | コメント (0)

2006年02月19日

スタンダードに弱い。探していたスティングを購入

Sting 久々にどメジャーのアーティストのアルバムを買ってしまった。いつもはけっこうマイナーなアーティストのものが多いのに、なぜか... というと、たまたま、昔からほしいと思っていたスタンダードの曲がこのアルバムに入っているのが目に入ったから。といっても、なんでも解説を見ると、このアルバムのオリジナルが97年には発表されていたらしく、結局はそれを見落としていたというか、それに気がついていなかったことがこうなった理由。

 で、その曲とはリドリー・スコット監督のサスペンス... だったらしいんだが、すでに内容は覚えてはいなくて、音楽だけが記憶に残っているという有様で、実に申し訳ない。タイトルは『誰かに見られてる (Someone to Watch Over Me)』と、ジャズ・スタンダードの名曲そのまま。確か、映画のはじめにマンハッタンの摩天楼を俯瞰している映像が出てきて、そこでこの曲が流れていたように思う。実は、この映画が公開された頃、(といっても、実はビデオで見ているんだけど)ラジオ番組の選曲をしていて、当時はまっていたのがジャズ・ヴォーカリストじゃない人たちがやっているジャズ・スタンダード。今思い出すのは大変なんだけど、たとえば、ファイン・ヤング・カニバルズが「Love For Sale」を歌っていた(と思う。今、チェックしたんだが、音源がみつからない。ひょっとして間違いかなぁ。でも、そう思う)し、エコー・アンド・ザ・バニーメンのイアン・マッカロックが、確か親父に捧げるために「セプテンバー・ソング」を歌っていたはずだ。それに、アリソン・モイエは『Singles』に「That Ole Devil Called Love」ってのを残しているし、(これは、当初プロモーション用だけに作られたんじゃなかったかと思うが)実は、シンプリー・レッドも「Love For Sale」を歌っている。あと、大好きなアーロン・ネヴィルが、『レイン・マン』で「スター・ダスト」を歌っていたし、これはサントラでしか、当時は聞けなかったように覚えている。(今はわかりません)

 と、そんな感じでいろいろ集めていったように思う。よく買ったのがイギリス盤のCDシングルで、こういったところで、アルバムには収録されることのない、けっこうレアなジャズ・スタンダードがみつかったし、そういった流れが発展して、「え、こんな人のジャズ・アルバム」という、マーヴィン・ゲイだとか、アレサ・フランクリンのアルバムなんかも買ったものだ。その当時、どうしても入手できなかったのがスティングの「Someone to Watch Over Me」で、これが映画でしか聴けなかったというので、悔しい思いをしたものだ。確か、サントラも探したんだけど、レコード屋さんでは「いやぁ、それは出てないですねぇ」なんて言われていた。まぁ、それが間違いだったら、怒っちゃうけど、実際、全然目にしたことがなかったから、そうなんだろ。で、やっとこさこれを聞くことができるわけだ。

 なんでも、今回は宮沢りえ主演の映画『阿修羅城の瞳』のために録音されたという「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を、以前のものに加えてコンパイルしたんだとか。まぁ、サントラなんてよほどヒットしない限り、簡単に廃盤になるから、こうやってまた聞くチャンスができたのは実に嬉しい。いやぁ、スティングのジャズに対する愛情って、やっぱ、わかるのね。元々サックス奏者だったという話も伝わっているし。

Willie Nelson おっと、そういえば、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」だったら、絶対に避けて通れないのが、ジャズ・トランペット奏者、チェット・ベイカーの名作中の名作、『Sings』ってことになるんだろうけど、思うに、こうやってジャズ・スタンダードにはまりだしきっかけとなったのは、おそらく、カントリー界の大物、ウイリー・ネルソンが録音して、結果として大ヒットすることになった『スターダスト』だったと思う。このアルバムは何度も何度も繰り返して聴いたし、スタンダードといわれて思いつく曲のほとんどがここに収められている。といっても、今収録曲をチェックしてみれと、CD化に伴って2曲ほど増えているのに驚いたけど、なんでここに「I Can See Clearly Now」が入っているんだろうなぁ。よくわかりません。

 いずれにせよ、そういた流れがジャズ・ジャマイカのアルバム、今では入手できなくなったJamaican Beatのvol.1と2につながっていくし、キャロル・トンプソンのアルバム、『フリー』での「Lover Man」や、リコ・ロゴリゲスのアルバム『Wonderful World』での選曲に結びついていくのだ。そのすべてが、自分にとって結晶となったのがサンドラ・クロスとアラン・ウィークスと一緒に作った作品、『Just A Dream』に『Dreams Come True...』ということなんですな。まぁ、本当はその次のプロジェクトがあったんだけど、レコード会社の方が傾きかけて(実質的に)お金を引き出せなかったということで、それは未だに実現できていないんだけど。ただ、実をいえば、まだあきらめてはいなくて、なにかであぶく銭ができれば、あるいは、この貧乏生活から脱却できれば、なんとか形にしたいと思っているんだけどねぇ。いつになることやら。

 余談ですが、この映画『誰かに見られてる (Someone to Watch Over Me)』、見たことある人いません?まぁ、もう一度探してきてみればいいんだろうけど、ひょっとしてエンディングで同じ曲が流れていて、それを歌っているのがロバータ・フラックではなかったかと思うんだけど。勘違いかなぁ...


投稿者 hanasan : 20:11 | コメント (0)

2006年02月17日

昭和元禄ガレージ・サイケ? 50ズ・ハイティーンズにはまる

Thee 50s High Teens このバンド、Thee 50's High Teens(ジー・フィフティーズ・ハイ・ティーンズ)のおかげで、今じゃもう使われなくなってしまっただろう、死語「よこしま」なんて言葉を思い出しました。そんな気持ちを持ってしまうぐらいに、いやぁ、かわいい、キュート、セクシー!そんな言葉をいくら並べても足りないぐらいにチャーミングな魅力いっぱいのバンドなんですよ、彼女たち。実を言うと、Smashing Magで、比較的新しい写真家のスタッフ、tommyが、ある日、送ってくれたのがこのバンドのフォト・レポートだったんですね。見たことも聞いたこともないバンドのレポートを彼女がときおり送ってくれるんですが、なかなかツボを押さえていて、そんなバンドにはまることが多いんですね。でも、このバンドには速攻でレスを返しましたね。

「そそられる。俺も撮影したい!」

 と、まぁ、そこによこしまな気持ちがあったのかどうかは、よくわかりませんけど、なぜか、自分が女性アーティストの写真を撮影すると、けっこうセクシーに映ってしまうんですよ。というか、そう撮ろうとしているのかもしれないけど。それはさておき、tommyの写真を見て、どうしても撮影したくなったわけです。しかも、彼女の説明によると「ただかわいい、キュートだけじゃなくて、とてつもなくパワーのあるバンドだ」とのこと。実際、彼女たちのサイトをチェックして見たら、ヨーロッパ・ツアーもやっているようだし、それなりの反応はでているようだ。というので、2月13日に下北沢の251で開かれたライヴに出かけたわけです。

 そのライヴがまたすごかったんですよ。なにせ、この日は「昭和元禄クレイジー天国」というコンセプトで、企画したのはDJのサミー前田君。会場に入ったのが早すぎて、まずは彼が回すレコードにぶっ飛ばされるんですが、一番最初に気になったのがブッカーTとMGズの名曲『グリーン・オニオン』をへなへなにカバーした代物で、彼に話を聞くと、「頭脳警察のねぇ...」と、うんちく込みでいろいろと教えてくれたんだけど、全然覚えていない。(笑)どうもアルツハイマー系の症状が自分にあるんだろうかと思うが、曲のインパクトだけは鮮烈に残っているのだ。それに、エリック・クラプトンの「レイラ」をパクッた上に、四畳半フォーク的な歌詞を載せたげてもの系のレコードとか... いやぁ、彼の選曲には脱帽しました。びっくりです。

サミー前田 当然、このセンスは「嬉しい」と思って、コンピレーションとか、作っていないのかなぁと思ったら、ありました。しかも、レコード会社ほぼ全社を巻き込んでのシリーズもので、これはその東芝EMIのもの。これは、担当者からサンプルを送ってもらったんだが、これ1枚だけでも他の仕上がりがわかるぞと言える代物で、全部集めないといけないなぁと頭を抱えている状態です。ちなみに、曲目などをチェックできるように、他社からでているものもまとめてここにリストを作っておきますね。シリーズのタイトルは「昭和元禄トーキョーガレージ : Japanese Rockin' Psyche & Punk '65 to '71」となっていて、以下がリストです。

東芝EMIヴァージョン
コロムビア・ヴァージョン
キング・ヴァージョン
徳間ジャパン・ヴァージョン
ビクター・ヴァージョン
ユニヴァーサル・ヴァージョン
テイチク・ヴァージョン

 ひょっとして他にもあるかもしれないし、これを全て買うとなるとかなりの金額になってしまうけど、チャンスがあれば、聞く価値が大いにあります。それに、収録曲数の割には値段が安くて、けっこうそそられるのは確かです。

Thee 50s High Teens でもって、本題のジー・フィフティーズ・ハイ・ティーンズなんですが、この日最初に登場したのが彼女たち。もう、初っぱなからKOでした。実際に見る彼女たちは写真で見るよりも遙かにかわいくて、セクシー。まぁ、そんなことだけだったら、ただのスケベ親父系の見方でしかないんだろうけど、ステージに出てきて音を出すやいなやエンジン全開でぶっ飛ばすという感じで、その音楽の世界にすこ〜んと飲み込まれてしまうのだ。演奏がうまいのか下手なのか、自分にはわからないけど... というか、そういった余裕を感じさせないほどの迫力でライヴが進行していくわけです。しかも、畳みかけるようにどんどんと曲が飛び出して、だらだらしたMCもなし。演奏だけで勝負しようとする彼女たちの心意気がそこにあるんだろうし、ヨーロッパ・ツアーで培ったステージングの妙もそこにあるんだろう。一気にポップでワイルドでホットな、それでいてソウルフルな世界に引き込まれてしまった。

 いわゆる、女の子らしいポップな世界がそこにある... のは確かなんだけど、彼女たちがカバーしたマディ・ウォータースの「I've got my mojo working」なんて、いいよぉ。よくもこんな感じでやってくれたよなぁというのが正直な感想で、もし、オリジナルじゃなければ、どこの誰のヴァージョンにベースを置いているのか知りたくなりました。それに、例によって例のごとしという感じでショッキング・ブルーの大ヒット曲「ヴィーナス」もやってくれたけど、ワイルドにロックする彼女たちのヴァージョンは、あのアホ、ぼけなバナナラマより数万倍よかったもんね。それに、ベースの女の子がリード・ヴォーカルなんだけど、この子がいい!かつての弘田三枝子のような「パンチ」の効いたヴォーカルで、しかも、歌いっぷりが男前! なにせ、ミーコに加えて、平山美紀と内藤やす子が一緒になったようなざらざらの感触があって、それがすごいのよ。正直言って、恋しちゃいました、私。

 と、このバンド、これからも絶対にフォローしたいと思っていたら、Smashing Magの写真家のsamが、同じように惚れ込んだみたいで、翌日の初台ドアーズのライヴの撮影を即決して、しかも、彼女、そこでアルバムまで購入してしまいました。残念ながら、まだアルバムは聴いていないけど、なんとか入手して確認したいなぁと思ってます。それに、次回、東京で彼女たちがやる時にはまた撮影するからな!と決意しました。それほどこのバンドはいい。チャンスがあったら、見てくださいませ。

 で、この日は他にもサロメの唇という、まるで北原ミレイ系の歌謡曲路線のバンドとか、ラモーンズを漫画にしたような... っても、ラモーンズも漫画的ではあったんだが、そんなタッチのバンド、ザ・50回転ズも面白かった。なんでも富田林市出身で、高校生まで自分が育った南河内のノリを感じたのは... まぁ、俺ぐらいだと思うけど、べたな日本語の大阪的体臭を感じさせる詞に親近感を感じたし、このバンドも面白い。トリは、メジャーからデビュー・アルバムを発表したザ・キャプテンズ。最後のグループ・サウンズというキャッチででてきた彼らには、ノヴェルティ的な部分以上を感じないというのが本音で、楽しめるけど、のめり込むように語りたいとは思えないなぁ。

サイクロンズ いわゆる昭和的テイストを持ったグループがここに集まっていて、会場は超パンパンの状態だったということを考えると、どこかでこういった流れの音楽がまた浮上してきているんだろうと思う。それぞれのバンドがそれなりに面白かったのは認めるけど、ヴィジュアル的にもサウンド的にも、この日、最も強烈な印象を残してくれたのはジー・フィフティーズ・ハイ・ティーンズ。彼女たちはすごい。と、そう思っているんだが、この日の主催者、サミー前田君がこの時くれたのがこのアルバム。サイクロンズというバンドで、ここで幾度か取り上げた井筒和幸
監督の作品『パッチギ』で、アイ高野とカーナビーツの役で実際に演奏していたのが彼らとか。このアルバムもいいねぇ。グループ・サウンズというよりは、もっとハードなサイケデリック・ロックというか、ガレージ的なイキの良さや60年代のビートを強調したサウンドが気持ちいい。かつて大好きだったXTCの変名バンド、『デュークス・オヴ・ストラトスフィア』を思い出しましたね。しかも、それに、日本のグループ・サウンド的なニュアンスも充分に加えられていて、そこに『今』のセンスや味もある。このバンドも、見てみたいなぁ... なんぞと、ライヴに行くと、こういった大発見がどんどんでてくる。やはり、音楽はライヴだと思ってしまうのですよ。


投稿者 hanasan : 20:10 | コメント (0)

2006年02月16日

馬鹿野郎!って...サエキけんぞうとパール兄弟

カルメン・マキ 新宿ロフトが30周年を記念して、毎月1週間を使って記念ライヴをシリーズでやり始めている。第一巡は1月で、Smashing Magでそのすべてを取材して掲載していこう... なんてとんでもないことを考えて、実際にやり始めているんだが、おかげで自分も無理をして撮影に出かけなければいけない羽目になっている。

 というので、先月はパンタをヘッドライナーにカルメン・マキ、野狐禅 (やこぜん)と榎本くるみというラインアップのライヴを体験することができた。カルメン・マキは当然知っているけど、実際にライヴを見たことはなかった。一昨年だっけかにライジング・サンに出演して、そのときのライヴがよかったという話は聞いていたけど、アコースティックで迫ったこの日の彼女も素晴らしかった。「歌」がひしひしと迫ってくる、そのライヴにさすがに年季が入っているアーティストの実力を感じさせたということかなぁ。その時のことは当サイトの本チャンの方(こちら)に記しているので、ここでは書かないけど。

 パンタについても、マーク・ボランの命日に開かれるライヴで何年かに一度見ているけど、当然この時はTレックスのカバーばかりで彼の音楽を生で聴くのは初めて。当然ながら、前座として登場した野狐禅 (やこぜん)や榎本くるみも初体験だが、「歌」にこだわった彼らのステージはどれも新鮮で、やっぱ、ライヴだよなぁと実感することなる。もちろん、レコードも面白いんだけど、「知っている世界」だけに空回りするのでではなく、「歌」の現場に足を踏み入れることで予想もしなかった世界に巡り会えることができるライヴこそが、「音楽」なんだと再認識することになるのだ。

パール兄弟 そして、2月、また、未知のバンドを体験しているんだが、それがパール兄弟だった。といっても、サエキけんぞうさんは、どこかでお会いしたように記憶しているけど、このバンドは聴いたことがなかった。正直言って、演奏された曲は全然知らないものばかり。バックで控えているミュージシャン、バカボン鈴木とか窪田晴男って、名前は知っているど... 詳しくは知らない。80年代のニューウェーヴが騒がれていた頃に、けっこうユニークなバンド、メトロファルスというのを四谷かどこかの小さな小屋で見ているんだが、あの時のベースがかっこよくて、それが理由でバカボン鈴木という人物が脳裏にこびりついていたぐらいかな。

 だから、ライヴのことは詳しく語れないんですが、面白かったのはサエキさんが、とっても細かく正確に、演奏する曲が何年に発表されたアルバムに収録されているかを、ほぼ全てについて説明しながら進行させたこと。この人もきっと音楽オタクなんだろうなぁと思う。いろんなアルバムを集めてディテールにこだわるタイプ?そんな気がしました。それと、彼が書いたという本、「ネット限定恋愛革命 スパムメール大賞」にそそられた。なにせ、コンピュータに向かい合って生活していると、どうしても直面するのが大量のスパム・メール。当然ながら、そういった代物は全てゴミ箱へ直行なんだが、実際にクリックしたり、コンタクトを取ったらどうなるのか? 申し訳ないですが、私にはそんなことをする度胸はありません。でも、どうやら、彼がそれをやって、いろいろと調べだしたんだそうな。(きっと、そうだと思うんだけど、この本を読んでいないから真相はわかりませんが、少なくともステージでの彼の話だとそういった内容だったと伝わっています)そうなると、覗いてみたいと思うのよ、この本。さて、どうしよう、これ、買おうかしら?

サエキけんぞう それと、この日、ゲストとして出演したのが鈴木慶一氏。人生で最もよく聴いたアルバム、はちみつぱいの『センチメンタル通り』や、いまだに酔っぱらうと歌い出してしまう傑作「すかんぴん」という曲が収録された『火の玉ボーイ』を生み出した人物で、このほかにも、彼の色が濃厚な斉藤哲夫の名作、『 バイバイ グッドバイ サラバイ』『グッドタイム・ミュージック』を溺愛する自分にとって、実は、この日の楽しみがここにあったといってもいいほど。

 といっても、この日のライヴのタイトルが『Re Model 80s』と掲げられていたとおり、あくまでニューウェーヴな時代にスポットをあてているので、自分が好きだった鈴木慶一の世界がここで見られるわけはない。実際、やっぱりニューウェーヴだったのさ。ムーンライダースがもうひとつ好きになっていないのは、きっとこの辺に理由があるんだろうと思うけど、そのルーツを見せてくれたという意味でこの日は面白かった。(なんか複雑な説明だけど)この夜、彼らがやってくれたのがトーキングヘッズの『サイコ・キラー』という曲のカバー。(『Talking Heads : 77』というアルバムに入っていますが)これをやった時の、慶一さんの顔ったら... 本当に嬉しそうで、それを見ているこちらもめちゃくちゃ楽しかった。しかも、サエキさんは歌詞を大きなパネルに書いて... というか、まるで脅迫状でも作るかのような、バラバラの大きさのサイズでプリントした紙を段ボールかなにかに貼り付けて、それを見せながら歌っていたんだけど、こういった演出もまたニューウェーヴなのかしらん。

 で、一番傑作だったのは最後の最後。これって、いつも彼らがやっていたことなのかどうか全然知らないけど、お客さんに、歌に合わせて『バカ野郎!』と叫ばせるんですよ。これがいい!実際、彼がステージで言っていたように、日頃、なかなかこんな言葉を大声で口に出せるわけがなくて、それをみんなで恥ずかしげもなく言ってしまおうというんだから、面白い。さすがに撮影をしながら、これはできませんでしたけど、この時、どこかでニューウェーヴがパンクを経由して生まれたんだということがひしひしと伝わったというか... まぁ、この『バカ野郎』が、ひょっとしてこの日のライヴのハイライトだったような気がしないでもないんですけど、そんなもんでいいのかなぁ。


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2006年02月13日

「楽園は何処に 祖国を訴えた日本移民」を見て

 テレビもたまには良心を見せる。おそらく、現場で仕事をしている人たちの最後の踏ん張りなんだろう。たまたまドミニカに渡った移民達の話をまとめたドキュメンタリーを見た。調べたら、NNNドキュメント'06というシリーズの1本で、タイトルは「楽園は何処に 祖国を訴えた日本移民」となっている。これを見ながら、悔しさに涙が出た。怒りで涙が出た。簡単にいえば、政府が詐欺行為をして、ドミニカに(おそらく、この国だけではないはずだ)国民を棄てた、その物語だ。そのドキュメンタリーのなかで、まだ話をしてくれていた移民一世の山本福槌(やまもとふくつち)さんが亡くなり、画面には出てはこなかったが、その奥さんも亡くなられていたように見えた。

 取材を始めた時、すでに83歳だったという山本さんがどんどんやせ衰えて、涙ながらに「祖国を訴えなければいけない」悲しみを語り、「人間も、国もうそをついてはならん」と語る時、だらだらといいわけを続ける外務省と日本政府と、そして、裁判を長引かせる裁判所に言葉では言い表せない怒りを感じるのだ。そして、山本福槌さんが病に倒れ、立ち上がることもできなくなった時の映像、彼が他界する三ヶ月前の映像がその怒りに拍車をかける。骨と皮になって、まともに話をすることができなくなっても、怒り拳を上げようとするその姿に、こんな非人間的な政府を支えている人間のひとりが自分だということに、どうしようもない焦燥感を持つのだ。彼を骨と皮だけにしたのは誰だ?ちょうど、俺が生まれた頃、人口の爆発的増加から「民を棄てた」政府は、なぜその責任を認めないのか?

 体面を保つだけの自衛隊派兵に莫大な金をかけ、私利私欲にだけは執着する政治家どもに対する怒りで体が震える。18ヘクタールの土地を無償で与えるだと?そんな嘘で人間を釣って、どうしようもない荒れ地を引き渡し、逃げ場のない奴隷のような生活を強要したのは誰か?それを政府のいうとおりに動いた団体の責任だと責任逃れをして、挙げ句の果てには「請求権は20年で時効だ」と抜かせる政府ってなになんだ?「日本政府は、それでも人間か?」と問いかける、原告団の人たちの声に、あんたたちはどう答えるんだ?

 って、書いてもこの話の内容が説明できていないことにまたいらだつんだけどね。たださぁ、悔しくて、頭に来て、殴り書いたんですよ。とりあえず、こんな本『ドミニカ移住の国家犯罪—移民という名の偽装「海外派兵」』をみつけたから、それを読むのもいいだろうし、ネットで検索するのが一番早いと思うけど、知ってほしいなぁと思った。確か以前にも同じようなドキュメンタリーを見た記憶があって、実際、ネットでこんなのをみつけた。そのあたりを参考にしていただければ幸いだ。

そこに楽園はなかった ドミニカ移民の半世紀
ドミニカの日本移民
ドミニカ移民問題から見た日本の移民政策
予算委員会議事録

 などなど。知れば知るほどに胸くそ悪くなる。


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2006年02月12日

求めるものは向こうからやってくる - カップスとアイアン・バタフライ

Iron Butterfly 12月26日に「サイケデリック・ソウルに揺れる」と、このブログで書いているんだけど、未だにあのアルバムはよく聴いていて、自分の周りでなにかと話題になる。以前お話ししたように、2枚組のあのアナログ、「Go Go Sound '71」からCDに起こして、さらにiPodに入れて聞いているんだが、70年前後のソウルがサイケデリックに揺れていたというのが実に興味深いし、グループ・サウンズとして彼らがカテゴライズされているあたり、どうも日本のゴールデン・カップスのようなポジションにいたような気がしてならない。戦後から朝鮮戦争... あの時代、否応なしにアメリカ文化の影響を受けていたのが僕らだったし、特に米軍基地が集中したエリアではそのインパクトもすごかっただろう。ゴールデン・カップスはそんな文化のなかでもまれて育ったバンドだったというようなことは「ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム」というドキュメンタリー映画を見たときにも感じていた。そのほかにどんなバンドがあったのかは、調べてみないとわからないけど、おそらく、沖縄のコンディション・グリーンや紫あたりも、そういった流れにあるんじゃないのかなぁと想像する。もちろん、それをさかのぼればクレイジー・キャッツからフランキー堺といったジャズ系のミュージシャンに突き当たっていくんだろうけど、70年前後となるとやっぱ、このあたりのロックだと思うし、同じようなことが日本でも韓国でもあったんだろう。

 その時代を象徴するようなゴールデン・カップスの名作が「スーパー・ライヴ・セッション(横浜ゼンに於ける実況盤)」で、これを初めて聴いたのは横浜のパパ・ジョンだった。以前にも紹介しているんだが、横浜、野毛町にあるジャズと演歌の飲み屋で、過去20年で最も魅力ある音楽を知らせてくれたのがこの店だったし、マスターの音楽の趣味から知識は、ちょっとやそっとのことでは悪太刀打ちできないほど圧倒的だった。まぁ、なにより嬉しかったのは、初めてこの店を訪ねたときに「こんなの聞いたことがねぇだろう!」といわれて見せられたのが、自分の作ったコンピレーションだったというのが、そもそも素晴らしいのだぁ!(ちなみに、このときに出てきたのが86年にロンドンのジャズDJ、ポール・マーフィーと一緒に作った「Jazz Club for Beginners」。これはもう入手できないだろうなぁ。もし、店に行って尋ねてみれば、きっと見せてくれると思いますよ)

 そのパパ・ジョンが聞かせてくれたのがゴールデン・カップスのこのライヴ・アルバムで、当然のようになんの説明もなく「これ、誰かわかる?」なんて言いながら、流すものだから、「全然、わからないよぉ」ってことになって... その後、「いやぁ、実はね」と知らされることになるんだけど、イギリスかどこかのバンドかと思ったら、ゴールデン・カップスだもんね。それまで歌謡曲のグループ・サウンズといったイメージしかなかったのに、これを聞かされて、やたら驚かされたものだ。野太いサウンドやグルーヴは、今聞いても全然色あせないほどのロック。こんなバンドがあの時代の日本にいたんだと思うと、今のバンドがかすんで聞こえるほどに素晴らしいのだ。それから20年近くたってあのドキュメンタリーということになるんだけど、グループ・サウンズをやっていたいろいろなバンドのみんなが、実はステージでかなりロックなことをしていたなんて話も知らされた。といっても、グループ・サウンズの全盛期といったら、まだ小学生だったし、そんな事情、わかりません。今になってそれを発見するというのも、それはそれで仕方のないことだと思う。

Iron Butterfly おそらく、韓国のあのバンド、キム・ホン・タックとHe6も同じような状況にいたんだろうと思う。あのアルバム「Go Go Sound '71」の解説でもそういったことが記されていたし... 彼らが米軍あたりのGIなんかから、いろいろな情報を入手して、ハードでワイルドなサイケデリック・ロックに突き進んでいったんだと察する。ただし、韓国の一般のオーディエンスの前では、あくまでグループ・サウンズという顔を持っていたんだろうし、そうじゃなきゃぁ、飯の食い上げだったろう。

 そのアルバムを手にして、正月、関西の仲間を訪ねて回ったとき、ソウル・フラワーの中川君のところで一宿一飯の恩義を受けるのだが、このとき、彼にもこのアルバムを聴かせている。そうしたら、「この曲、アイアン・バタフライの曲やん」と教えられることになるのだ。あのアルバムを聴いたときに、「どこかで聞いたことがあるなぁ...」と思っていたんだけど、「そうなんだぁ」とここでまたひとつ勉強することになる。といっても、しばらく、そのことを忘れていて、単純にこのアルバムを楽しんでいるにすぎなかった。

 ところが、すでに最終回の撮影を終えてしまったんだが、私が言い出しっぺで始めた「飲み屋でロック」番組(正確にはGIGSという名前で、このときの分が放送されるのは2/17の予定)の最後の収録で、佐野史郎さんと同郷で幼なじみだというゲストが登場。バウワウというハード・ロック系のバンドのギタリストで山本恭司さんなんだが、このときも、いろいろとロック談義に花を咲かせていて大騒ぎをすることになるのだ。その流れのなかでたまたまマスターが流したのが、アイアン・バタフライのこの曲、「In-A-Gadda-Da-Vida」。実は、ここのマスターにもHE6のアルバムは聴かせているんだけど、全部をきちんと聞いていなかったんだろうなぁ。そのことをすっかり忘れて、これを、たまたまかけたにすぎない。ところが、自分が大声を出すことになる。

「あれ、これよ、これ、あの韓国のサイケデリック・バンドが録音していたの」

 なんて話が飛び出して、また大騒ぎすることになるのだ。

 この流れって、なになのさ?前もって韓国のサイケデリックのことなんて「話をしよう」なんて決めていなかったし... その一方で、山本恭司さんは韓国でのライヴも何度もやっているようで、友達のロック仲間も韓国にいっぱいいるという。なにか気味が悪いぐらいに、得体の知れない力によって自分がどこかに引き寄せられているような感覚に陥ってしまうのだ。っていうか、きっと、人間の生活なんてそんなものなんだろうなぁと、どこかで信じているんですけどね。会うべきものには必ず出会い、つながる人や物には必ずつながっていく... 昔からどこかでそれを信じているんだが、これも、その通りになってしまった。が、それにしても、面白い。流れに身を任せて生きるのって、実は、最もあるべき姿なのかなぁ... と、このごろ、悟ってきたようにも思うのよ。


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2006年02月11日

やっと入手、The Stairsをみけましたぞ。

The Stairs つい先日、エドガー・ジョーンズのことを書いて、まだ2月だというのに、ひょっとしたら今年のベスト・アルバムになるんじゃないかなんて、調子のいいことを口にしているんですが、聞けば聞くほどにそう思ってしまえるんですね。不思議です。先日も、行きつけのバー、Bird Song Cafeで、マスターにこれを聞かせたんですが、めちゃくちゃ気に入ってましたな。それに、面白い言葉も聞きましたな。自分としてはトム・ウェイツからドクター・ジョンあたりを想起したというのは以前書いたとおりなんだけど、マスター曰く、「これは絶対にキャプテン・ビーフハートですよ」とのこと。実をいえば、ずっと気になっていながら、あまり聞いていなかったのがキャプテン・ビーフハート。そっかー、そのあたりかぁ、と思いながら、先日も彼のことを検索していたんだけど、アナログがうちにあるはずだから、きちんと聞いてみようと思いましたね。なぜうちにあるかって?いや、昔、これ、買っていたりしたのね。聞いてもいたはずなんだけど、当時はそれほどひっかっからなかったってことなんだろうな。

 それはさておき、あまりにエドガー・ジョーンズを気に入ってしまったというので、彼の以前のバンド、ザ・ステアーズのアナログを探したんだけど、見つからないわけです。一応、アルファベット順にアナログは整理しているはずなんだけど、昔、住んでいた小田原の家からアナログを移動させたとき以来、再整理がきちんとできていないことが理由なんだろう。でも、気になり出すと、もう止まらないわけですよ。というので、CDを買ってしまおうと思って、最初amazonの日本でチェックしても出てこなくて... アメリカのamazonからeBayとか... いろいろ探したのね。そうしたら、アメリカではセコハンが10ドル強で新品はコレクターズものとして30ドル近い値段。困ったなぁ。高いなぁ.. なんて思いつつ、amazonのUKをチェックすると7ポンド弱で売りに出ている。実はこれを買おうかと思って、イギリスの友人に連絡したんだけど、ネット通販って利用したことがないらしく、「嫁にやんわりと頼んでくれないか?」と来た。それもそうだけど... と思ってた時に、たまたまもう一度amazonの日本をチェックしたら出てました。といっても、業者や個人が出店しているタイプで、通常よりもちょっと高いし、送料もかかるから割高になるんだけど、ここしかチャンスがないですからね。当然、買ってしまいました。だから、上のジャケットをクリックしても「現在入手できません」と出てきます。それを買ったの、私ですから。

 で、聞きました。思い出しました。これよぉ!まるでローリング・ストーンズの若かった頃のような感じで、張りのあるロックがぎんぎんに響いてくる。確か90年代の初めの録音じゃないかと思うんだが、このざらざらした肌触りのあるレトロ風味なロックがいいんですよ。80年代のニュー・ウェーヴを経て、テクノロジーが進歩して... CDの時代に入って、なにかしら音楽の音質が薄っぺらになってしまっていると思うんですね。無菌状態で培養されたような音というか... 自分自身、最近またアナログに回帰していってるのって、「そんなのつまんねぇぞ!」ってあたりが理由じゃないかなぁなんて思うんですよ。そういったアナログなロックの感覚がここにはぎっしりと詰まっているんですね。久々にこのアルバムを聴いて、「それなんだよ、それ」と膝を叩いたって感じですね。

 そういった活きのいいロックを、当時好きだった人って、そんなにいなかったように思うし、このバンド、全然売れなかったように思えるんだけど、ネットを調べていくと、こんなサイトもみつかりました。くせ者好きな音楽のファンって絶対にいて、思い入れいっぱいにいろいろな話を聞かせてくれます。嬉しいね。といっても、当時のテレビ番組で彼らを紹介した時も、そんなにいい反応はなかったように思えます。まあ、売れ線からはかなり離れてるもんね。

Zombies でも、いろいろと思い出すんですね。確か、80年代のロンドンって、一方で、ニュー・ウェーヴがメジャー化していったんだけど、同時に、過去の音楽を再発見していくという動きがとっても大きくなった時期でもあるんと思うんですよ。ちまたでは「なんじゃぁ、このバンド!」なんて思われていたドクター・アンド・ザ・メディックスも、果たした役割は大きかったと思いますね。当時、ギャズもクラブを開いていたソーホーのゴシップスで、メディックスのヴォーカルだったドクターが「不思議の国のアリス (Alice in Wonderland)」というサイケデリックなクラブを運営していて、それがめちゃくちゃ面白くてね。このあたりがきっかけとなって、あの当時サイケデリック・ロックを、自分でも再発見していったわけです。The 13th Floor Elevatorsなんてこの時初めて聞いたと思うし、Zombiesもこのころ知ったのかなぁ。あの大ヒット曲の「二人のシーズン」って聞いたことがあったけど、このあたりとかサイケデリックなものってほとんど聞いたことがなかったもんね。だから、いまではこんなBox Setになっている、そのもとのNuggetsのコンピレーションものも買ってたなぁ。おそらく、あれはNuggets: A Classic Collection from the Psychedelic Sixtiesじぁ、なかったかと思うけど。このあたり、前述のキャプテン・ビーフハートと一緒に聞き直してみよう。

Charles Mingus あと、エドガー・ジョーンズのアルバムで使われていたミンガスの詩、「Freedom」のおかげで、彼の名作『直立猿人』も『The Clown』も買ってしまいました。CDでは『Ah Um』ぐらいしか持っていなかったからね。これをきっかけにじっくりと聞いてみようということです。ま、今回買った2枚は1500円の廉価盤だから、高いものじゃないし... とはいうものの、底なしのCD地獄。でも、音楽にはねぇ、お金以上のものがあるのよ。なにかが引っかかると、聞きたいのを止められなくて、買ってしまうのべ。だって、音楽の向こうにはとんでもない世界が広がっているし、どんどん自分を成長させてくれるんですよ。

 でも少しは自重しないと... と、そう思う今日この頃。これじゃぁ、飯代を削ってレコードを買っていた高校生の頃と同じだからなぁ。早く大人にならないと!


投稿者 hanasan : 12:01 | コメント (0)

2006年02月09日

やったねぇ、Fuji Rockって曲がイタリアででるぞ! - バンダ・バソッティ -

Banda Bassotti つい前日、イタリアのバンダ・バソッティのマネージャー、ダヴィデからメールがあって、「日本の写真展で使われたバンダ・バソッティの写真がほしいんだけど...」と連絡を受け取った。なんでも新しいアルバムがでるとのことで、そのアルバムか、あるいは、ポスターかにそれを使うんだろう。

 昨年の9月に恵比寿にあるタワー・カフェ(リキッドルーム恵比寿の2階ロビー奥)で、Smashing Magが撮影、発表してきた作品を集めて写真展をやっているんだが、その時に展示したのが、自分が撮影したバンダ・バソッティのこの写真。昨年末にマネージャーのダヴィデと相棒のルカが来日した時、フレームに入れたA2のプリント、実際の展示品を彼らにあげていて、それをいたく気に入ったようだ。バンダ・バソッティの場合、ほぼオフィシャル写真家として2001年ぐらいから毎年彼らのツアーを撮影しているし、加えて、来日した時も押さえている。だから、ライヴについてはかなりの写真を持っているし、自分でも傑作だと思える写真も多い。これはそんななかの一枚だった。

 思うに、一番最初に彼らが自分の写真を見たのは2001年に彼らがスペインをツアーした時に撮影したもので、それが翌年の彼らのツアー・ポスターとなってしまったんだが、そのことはこちらに書いている。当時使っていたのは、当時20万円ぐらいで購入したオリンパスのE10という初期の一眼レフ・デジカメだったのだが、あのカメラで撮影した写真をよくもここまで大きくできたものだと驚かされたものだ。なにせ、A1どころのサイズじゃなかったし、しかも、オリジナルの写真をトリミングして使っているのだ。おそらく、そうすることで出たざらざらとした質感が良かったのかもしれないが、これを実際にローマで最初に見た時にはめちゃくちゃ嬉しかったなぁ。それがイタリア中に貼られていたわけで、自分の写真を評価してくれたのが日本のミュージシャンではなくて、イタリアだったというのがなんとも複雑だった。

 それ以来、彼らは毎年自分を招いてツアーに同行させるようになって、写真を撮っているんだが、もちろん、その経費は全て彼らが面倒を見てくれている。それに加えて、当然、ギャラも払ってくれるわけで、このあたり、日本のバンドにそんな面倒を見てもらったことは一度もない。もちろん、日本のバンドが売れていないからなんだろうけど、彼らにしてもそんなにビッグなバンドではない。チケットだって6ユーロ(1000円ほど)程度のライヴで全イタリアで4本ぐらい。それでもきちんと写真家として自分に対して充分な敬意を見せてくれるのだ。昨年暮れのベルリンなんて、わずか1本のライヴのために全経費を出してくれた。嬉しいじゃないか。

Banda Bassotti さて、そのバンダ・バソッティが新しいアルバムを発表するんだが、タイトルは『Vecchi Cani Bastardi』。英語で彼らはlike Old Bastards Dogsと書いているんだが、ちょっと理解できないなぁ... 今の時点では想像するしかないし、今度彼らと会った時にインタヴューでもしてみようと思うけど、この曲目を見て面白いものを発見してしまうのだ。なんと「Fuji Rock」という曲が収録されているのだ、これは、嬉しかったなぁ。もちろん、曲はまだ聴いていないし、おそらく、来週ぐらいにミックス・ダウンしたものがCDで届けられると思うので、実際に聴いてみないとどんな響きを持っているのかも想像できないが、これまでさまざまなバンドやアーティストがフジ・ロックに出演していても、これほどまでに単刀直入に「フジ・ロック」をタイトルにして歌ってくれたことはなかったように思う。それが日本人のアーティストではなく、イタリアのバンドだったというのが面白い。彼らはフジ・ロックをどんな風に歌ってくれているんだろうか。

 それ加えて、ブルーハーツの曲、「情熱の薔薇」がカバーされていた。といっても、自分はブルーハーツというバンドを全然知らないから、想像もできないけど、この曲のなにを気に入ったんだろう。かつてブルーハーツにいたドラマーの梶君が、スリー・ピースのメンバーで、彼らがバンダ・バソッティのお世話で何度かイタリアをツアーしたことがあるという事情があるから、そのあたりに接点があるのかなぁ... っても、実際に聴いてみないと、なにも書けないね。

Banda Bassotti さて、このアルバム、日本で発表されるのかなぁ。奇妙な話だが、前作『Amore E Odio』は国内盤が発表されているのに、amazonでもみつからないし、自分がライナーを書いているのに、全然宣伝された痕跡もない。それが残念でたまらない。一方で、コンスタントに入手できるのはビクターから発表されている『アザー・フェイス・オブ・ジ・エンパイア』と『アシ・エス・ミ・ヴィダ(これ、俺の人生)』の2枚。これは、数年の活動停止から彼らが再始動して発表した2枚で、後者は世界中の『抵抗の歌』を集めたもの。口先ばかりではなく、「行動するバンド」であるバンダ・バソッティだからこそのパワーを感じる名作で、いずれの作品もできるだけ多くの人々に聴いてもらいたい傑作だ。

 噂では今年は2月に20日間近くのノン・ストップでのツアーをドイツでやると聴いているし、例年通り、3月末から数カ国のバンドを招いてイタリア数都市でのストリート・ビート・フェスティヴァルを開催するはずだ。もちろん、それには出かけていくつもりでスケジュールを組んでいる。楽しみだねぇ。


投稿者 hanasan : 19:20 | コメント (0)

2006年02月07日

泣いてたまるか... ザ・バンドのリチャード・マニュエルを聴く

Richard Manuel なにやら、ずいぶん前... といっても3年ほど前に、このアルバム、『Whispering Pines』の日本盤が出ていたらしいんだが、最近までこの作品のことは全然知らなくて、みつけたとたんに買ってしまいました。なにで知ったんだっけ?よくは覚えていないのだが、おそらく、前回、『偉大なる復活』について、ちらっと触れた時に、リチャード・マニュエルが歌う、ディランのカバー「I Shall Be Released」が大好きだということを書いて... それがザ・バンドのデビュー・アルバム、『Music From Big Pink』に収録されていること、DVDの『Festival Express』には映像もある... なんてことを書いたようにも思う。

 あの時、Richard Manuelで検索をかけて、いろんなことを調べ始めてしまったんだんだろう。正確に亡くなった時のことを知りたかったのものある。その結果、それが86年の3月4日だったということがわかって、このアルバム、『Whispering Pines』に気がついた。これが録音されたのは彼がフロリダで自殺した半年前のもの。ウッドストックのクラブ、ゲイトウエイでのライヴで、けっこうリラックスした仲間内の雰囲気が漂うものなんだけど、ゲストで、やはり、今はもういないリック・ダンコが加わっていたりというもの。といっても、もちろん、これはリチャード・マニュエルのライヴで、ザ・バンドと比較することはできない。キーボードの弾き語り的な要素に地味にギターが入ったり、ハモニカが加えられたりといったスタイルだ。だから、地味でシンプルで... 売れるアルバムでもなければ、ザ・バンドのファン以外にこれを手にする人はいないんだろうなぁと思う。

 でも、逆にザ・バンドが好きだった人にとって見れば、解散を最もつらい思いで受け入れざるを得なかったリチャード・マニュエルの気持ちが、どこかで手に取るようにわかって、ここで歌われる彼の悲しげな声に涙を流してしまうんだろうと思う。どの曲でもそれを感じるんだが、特に、泣けるのは、やっぱり、「I Shall Be Released」なんだろうと思う。バック・ヴォーカルのような形でリックの声が聞こえて... これはなぁ、たまりません。

 それに、このアルバムを通して聴くと、リチャード・マニュエルのヴォーカルの魅力を再発見してしまうのですよ。有名なレイ・チャールズのカバー、「ジョージア・オン・マイ・マインド」にしろ、(『Islands』に収録。今、検索していて気がついたんだけど、これって、正確にはアイランズなのね。日本盤は『アイランド』って書かれていたように思うんだけど... 検索すると、やたらとこういったことに気がつくようになりますね)『Music From Big Pink』の巻頭にでてくる「怒りの涙」(Tears of Rage)や『The Band』の「Across The Great Divide」に『Northern Lights - Southern Corss』の「Acadian Driftwood」などなど、ひょっとして大好きだったザ・バンドの、大好きだった曲のほとんどが彼のリード・ヴォーカルだったことに気がついてしまうんですね。

Richard Manuel 今日も、そんなことを考えながら、検索していたら、『The Moon Struck One』というUK編集のアルバムをみつけてしまった。収録曲を見れば、リチャードがリード・ヴォーカルを取った曲ばかりを集めたザ・バンドのベスト・アルバム。このアルバムを作った人の気持ち、めちゃくちゃわかりますね。もちろん、ザ・バンドのアルバムを全部持っていれば、自分でこういったものを作ればいいんだろうし、これをわざわざ買う必要はないんだろうけど、おそらく、このアルバムのライナーには「好き者にしかわからない」リチャードへの言葉が書かれているのではないかと気になったりもします。

 さて、この『Whispering Pines』なんですが、日本盤とちょっとだけ曲の構成が違って、少し多めに収録されています。といっても、おそらく、日本盤には、この音がみつかった時の詳しい話なんかも出ているんだろうし、そういった「ファンの気持ちをシェアーする」意味で言えば、日本盤の方が魅力かもしれませんけど。というか、アルバムを手にする時って、そういったことも自分にはすごく重要な要素なんですね。同じアーティストやバンドを、同じように好きな人がいて、その愛情がアルバムの作りにでてくるんですよ。そんな気持ちを分かち合いたいって、思ったことはないですか?

 いずれにせよ、リチャード・マニュエルにとって最後となった... であろう、この作品を聴いた多くの人たちが「涙なくして語れない」という風に語っているの、とってもわかります。歌声の悲しい響きだけではなく、おそらく、実は、彼の内側に「悲しい気持ち」がいっぱいだったんだろうということ。考え過ぎかなぁ... と思うけど、今日も、「泣いてたまるかぁ」なんて思いながら、このアルバムを聴いてしまいます。たまらんなぁ....


投稿者 hanasan : 21:00 | コメント (0)

2006年02月06日

ザ・ステアーズから10年以上か?リヴァプールの奇才へと成長したなぁ。

Edger  ネットをやっていて面白いのは、ひょんなことからひょんな情報を受け取れることじゃないかと思う。もちろん、無限とも思えるジャンク・メールには辟易してますけど。なにせ、ウェッブの仕事をしていて、責任があるというので、どうしても自分のメルアドを掲載しなければいけない場合がある。すると、そういったメルアドをプログラムで読み込んで自動的にジャンク・メールを送りつけられるわけです。そのサイトの数がいっぱいあって、その全てにそういった仕掛けをされるというので、たまったものじゃありません。実際、毎日、少なくとも200ぐらいのジャンクメールが届きますから。もちろん、それに対していろんな方法ではらいのけようとしているんだけど、なかなかどうしてうまくいきません。

 が、特に、ネットにコンタクト先があるから面白い情報が寄せられることがあるんですな。実をいえば、このアルバム『Soothing Music For Stray Cats (野良猫をなだめるための音楽)』を知ったのも、それが理由。送ってきてくれた方は、なんでも私が昔書いていた原稿を読んでくれていたり、その昔TVKという地方局でやっていた音楽番組、「ファンキー・トマト」を見てくれていたようで、ある日、彼から「昔、ステアーズというバンドをやっていた人で... エドガー・ジョーンズ・ジョーンズという人のアルバムを聴いてほしいんですけど」というメールを受け取ったんですね。ん?ステアーズ?ずっと前にリヴァプールで彼らとインタヴューしたなぁ... どこだっけ?リハーサル・ルームみたいなところだっけ?面白いバンドだったなぁ... なんぞと紐を解いていったら、いろいろ思い出した。確か、モノラルかなんかでしか録音したとか、しなかったとか、クラシックなロックの勢いをそのまま現代に蘇らせたかのような、実にユニークなバンドで、彼らにはかなり惹かれていたなぁ... と、徐々に思い出したわけです。

 で、コンタクトをくれた方に、「もし、送ってくれるんだったら...」ということで、受け取ったわけです。といっても、けっこうこういったことがあっても、あまり面白アルバムにぶつかることもそれほどなくて、そんなに期待していたわけではないんですね、正直言えば。これまでもそういったことが多々あったし... まぁ、聴いて面白くなければ、それはそれでいいじゃないかと思うんですよ。

TOm Waits ところが、今回は違いました! びっくり仰天!『Soothing Music For Stray Cats (野良猫をなだめるための音楽)』っていうアルバムなんだけど、これ、めちゃくちゃ好きな音楽ですよ。初っぱなから、ジャズなんですよ。しかも、なんか80年代半ばにロンドンでジャズが再発見された時に、みんなが憧れていたブルーでレトロなタッチのそれ。ところが、2曲目になると、まるでトム・ウェイツになってしまうというか... ちょうど『Small Change』の頃かなぁ、この感覚。それが、はまるんですよ。と、そんなタッチの曲が2曲続いて、なにやら、環境音楽のような映画音楽のような奇妙なインストがでてきて... そのあとは、どこかで聴いたことがあるメロディが聞こえてくる。このギターは絶対にグレン・ミラーの「ムーン・ライト・セレナーデ」のパクリですな。(名作映画のサントラ、グレン・ミラー物語あたりがチェックするにはいいかも)といっても、まんまそれを演奏しているわけではなくて、そういったギターのリフをバックに、ヴォーカルのラップ的な展開といった感覚で、まるでドクター・ジョンのような声で歌っているわけですよ。なんじゃらほい、この奇妙なタッチは。しかも、そのトラック、『Freedom』というタイトルで、チャールス・ミンガスの詩を使っているわけです。「若干の変更をしたけど...」 という言い訳も添えられているけど、このあたりにジャズに対する並々ならない思い入れを感じることができる。と思ったら、今度はルイ・アームストロングか?ドゥビダバ系のスキャットが始まり、やたらとスイングする歌が飛び出してくるだ。

 と、まぁ、曲の説明を全部していたらいくらスペースがあっても足りないし、そんなことはしません。ただ、言いたいのは、そういったジャズ・テイストが随所にあるんだけど、まんまジャズのアルバムではないということなんですな、これが。ゴスペルやリズム・アンド・ブルース的な展開もあるし、いきなりへなへなのクンビアのようなものが登場したりと、このアナーキーな感覚はやはりパンク以降の世代だからこそできるように思えたり... っても、こういった感覚こそが『最もジャズ的』な気もしないでもないんだけど。

勝手にしやがれ このあたりのセンスって、3〜4年前から気に入って、いろんな形で書いたり、写真を撮影したりしているバンド、勝手にしやがれに似ているなぁなんて思ってみたり。といっても、ぶち切れ具合が、勝手よりも遙かにワイルドというか... アナーキーというか.... このところ、勝手を見ていても、どこかで初期のワイルドさが「パターン化」されているようで、突き抜けたアナーキーさをあまり感じなくなっているんですね。もちろん、彼らは今でも大好きだし、昨年のライジング・サンでの大熱演なんて、めちゃくちゃ嬉しかった。「俺たち、やっぱ、パンクだから」という、あの気持ちがライヴに出ていたと思うし、彼らはあれでいいんだろうと思う。が、どこかで「ひとつの枠」、自分たちで作った「枠のなか」から飛び出せないような、微妙な時期にいるように思うんですよ。もちろん、彼らには、これを越えて、面白いところに飛び出していけるような期待はしているから、そんなことを言ってしまうんですが。

TOm Waits あっと、ちょっと話がそれるんですけど、勝手にしやがれの、このアルバム、『スワイニッシュ・タウン』なんですが、ジャケットが最高でしょ?比べてみてくれれば、すぐにわかりますけど、トム・ウェイツの名作『Swordfishtrombones』のパロディというか... 勝手の場合、トム・ウェイツが大好きで、そういった敬意の念を持ってこのアプローチをしているんで、これをパクリだなんて言ったら不遜です。まぁ、パロディというのでもないとも思うんだけど。これだけで、勝手を聴きたいと思うようになりません?もちろん、トム・ウェイツが好きだったらなんですけど。

 さてさて、話を元に戻しますけど、Edger "jones" Jonesのこのアルバム、 『Soothing Music For Stray Cats (野良猫をなだめるための音楽)』を聴いて思ったのは、この人って、大好きな勝手を遙かに越えて、あのセンスを進化させてしまったんじゃないかなぁ... なんて思ったんですよ。といっても、もちろん、彼が勝手を知っているわけはなく、彼の音楽を説明するための方便なんで、そのあたりは理解してもらいたいんですが、このアナーキーなジャズのセンス、いいねぇ。これこそ自分の大好きなジャズだと言い切ってしまいたいよな。

 ということで、大推薦盤です。下手をすると、今年のベスト・アルバムにこれを選ぶかもしれないほどに、私は、これを溺愛しています。しかも、嬉しいことに、これを発表したインディのレーベル、これを紙ジャケットで出してくれているんですね。音楽が好きだったら、こうしてくれるよね、最初から。しかも、値段も比較的安く押さえてくれている。嬉しいじゃありませんか。


投稿者 hanasan : 21:03 | コメント (0)

2006年02月04日

Gaz's Rockin' Bluesのコンピレーションのこと、再び。

Gaz's Rockin Blues つい先日、このアルバムのことを書いたんだが、アマゾンをチェックしていたら、こんなのにぶつかった。まず、自分が購入したのは昨年10月に発売されたUS盤で、収録曲は28曲。ところが、今年1月に発表された2枚組のUK盤は2枚組で、どうなっているのさぁ... と、頭が痛くなってしまった。

 まずは、オリジナルはというと、A面が
1. John Lee Hooker - Gonna Boogie
2. John Lee Hooker - Shake, Hooler & Run
3. Jimmy Witherspoon - Who's Been Jivin' With You
4. B.B.King - She's Dynamite
5. Preacher Stevens - Whoopin' & Hoolerin'
6. Elomore james - Strage Kinda Feelin'
7. Pee Wee Crayton - Texas Hop
で、B面は
1. Etta James - Good Rockin' Daddy
2. Young Jessie - Mary Lou
3. Joe Tex - Open your Door
4. Richard Berry - Ho! Oh! Get out of the Car
5. Richard Berry - Yama Yama Pretty Mama
6. Etta James - Tough Lover
7. Long Tall Marvin - Have Mercy Miss Percy

となっているんですな。

で、今回、私が入手したUS盤はというと...

1.Good Rockin' Daddy - Etta James
2.Mary Lou - Young Jessie & The Cadets
3.Open The Door - Little Booker (Aka Joe Tex)
4.Oh! Oh! Get Out Of The Car - Richard Berry
5.Yama Yama Pretty Mama - Richard Berry
6.Tough Lover - Etta James
7.Have Mercy Miss Percy - Long Tall Marvin
8.Gotta Boogie - John Lee Hooker
9.Shake Holler And Run - John Lee Hooker
10.Who's Been Jivin' You - Jimmy Witherspoon
11.She's Dynamite - B.B. King
12.Whoopin' And Hollerin' - Preacher Stevens
13.Strange Kinda Feeling - Elmore James
14.Texas Hop - Pee Wee Crayton
15.I May Be Wrong (Boogie Woogie) - Little Johnny Jones & The Chicago Hound Dogs
16.Sweet Little Woman - Little Johnny Jones & The Chicago Hound Dogs
17.Come On Let's Dance - Van Robinson
18.Love My Baby - Robbin Ray
19.I'm Twisted - Cookie & The Cupcakes
20.The Blacksmith Blues - Chuck Higgins Orchestra
21.Bad Feeling - Goree Carter
22.Rock And Roll - Wild Bill Moore With Scatman
23.Wrong Doing Woman - Joe Papoose Fritz
24.Whole Lotta' Love - B.B. King
25.Hollywood Bound - Freddie Simmons Quintette
26.Don't Talk Me To Death - Joe Turner & Pete Johnson
27.Nappy Head Woman - Joe Hill Louis
28.Calypso Daddy? - Jeanne Demetz (Feat. Johnny Alston Orchestra)

 ということで、こちらの方がオリジナルのコンピレーションを14曲目までにAB面を逆転して収録して、そこにあと14曲を加えたというもの。

 で、2枚組のUK盤の方は、同じタイトルでも、内容が全然違いますなぁ。こちらの方には彼自身のバンド、トロージャンズからスペシャルズ、ザ・キンクスから、親父のジョンメイオールのトラックまで入っている。コンセプトが違うような気がするんだな。こちらの方は入手していないからジャケットもわからないし、なんともコメントをしようがないんですが、明らかにオリジナルを元にしたUS盤には表紙、裏表紙を含めて16ページのブックレットが付けられていて、ライナーも楽しい。それによると、今回のCD化にあたって加えられた14曲は78回転のSPでしか入手できなかったものらしく、CDとなったのは初めてのこと。なんでもACEの資料室に入ってとんでもない量のDATなんぞを聞き狂ってこのセレクションが生まれたんだとか。

 さぁて、こっちの2枚組のUK盤は、どうするかなぁ。買うべきかなぁ。それとも、サンプルを送ってもらおうかなぁ... なんて調子のいいことを考えてしまうのよ。


投稿者 hanasan : 06:09 | コメント (0)

2006年02月03日

勝ち馬に乗るのが良いことか - 「改革」ってなにさ?

藤原正彦 たまたま、仕事から帰ったのが遅くて、テレビのスイッチを入れたのがよかった。なんと、NHK教育テレビの番組の再放送があって、藤原正彦という方が話しているのを聞いて、大笑いしてしまった。彼は「改革」を取り上げて、「これは要するに勝ち馬にのること」なんだと、けっこう、悪態をつくようにして小泉内閣の「改革」を叩いていたんだが、あまりに説得力のある説明に脱帽してしまった。

 なぜ、国民が改革を支持するのか?

「閉塞感なんですね。『改革』と言われれば、そこから抜けられると思ってしまうんですよ。でもねぇ、本当はね、『改革』なんて市場原理を強調しているだけなんですね。だから、力のないもの、資本のないものにとってはねぇ、自分の首をねぇ、絞めるだけなんですね。」

 と、しらふで話している。

「平等ですか?勝ったものがもうけていい?最初からねぇ、立場の弱い人がいるんですね。不利な人も。だいたいが元が平等じゃないんだから、差はどんどん開きますねぇ」

 なんか、朝方にコンピュータに向かってウェッブ・サイトの更新作業をしながら、プッと笑ってしまったんだが、この人のこの説得力ってなになんだろう... と、思って、ネットで検索してみたら、結構面白い人のようだ。お茶の水女子大で数学を教えているらしいんだが、この論理的な説明の仕方はそのあたりから来るんだろうか。なんでも「国家の品格」という本がヒットしているらしく、その感想を見てみると、まぁ、いろいろあるようだ。当方は、所詮、国家なんぞ、権力のいいわけに使われるだけの代物で、国なんてなくなってしまえばいいと思っている大馬鹿者の非国民だから、そんなものを持ち上げられてもなんとも応えようがない。

 この番組でも、「その昔、海外から日本に来た人が『日本人というのは、貧しいことを恥じることだと思っていない』というに驚かされた」ということを使って、日本の美徳などを語っていたんだが、それは、おそらく、「日本の」というものではなく、どこの世界にだって同じようなものがあったと私は思っている。要するに、経済なり、階級なりといったもののせいで『貧しさ』という概念が生まれているのであり、おそらくは、「金の上に」作られた資本主義だとか、社会主義といったお題目に踊らされている、大前提を越えられないインテリ達の見方の限界がここにあるんじゃないんだろうかと、そう思うのよ。

 おっと、そう言ってまたインテリに対するひがみにもにた批判をしてしまうのだが、それはさておき、このわずか10分の放送で、小泉のうそっぱちをいとも簡単に、おそらくは、だれにでもわかるように説明してしまった彼の言葉の説得力は素晴らしい。

 国会の答弁のみならず、日頃の言動を見ていると、知性のかけらも持ち合わせていないのが小泉首相。アメリカにしっぽを振るだけの忠犬、ポチにふさわしい脳みその少なさにあきれかえり、論理的な説明もできないで自分を批判する人間をわからないと切り捨てる。思考する努力を棄てたら、そりゃぁ、もう、人間としての評価なんてできるわけないですからな。「改革」の念仏を唱えるんだったら、神社には行きなさんな。その一方で、「右翼の顔」だとも思っていたナベツネが「靖国神社に祭っているのはヒットラーと同じなんだよ」といいきったことを、小泉はなんと思っているんだろうか。いやぁ、考えていないんだろうな。なにせ、国土がアメリカの軍隊に植民地のように奪われて、独立国だというのに、米兵にへこへこするしかない警察を持っている政府の長だ。非国民だとか、売国奴だとか、国賊だとか.... そういった言葉は、小泉にこそ与えられてしかるべきものだろうに。これって時代がちょっと違っていたら、最も右翼に狙われるのがこの人だと思うなぁ。

 こちとら、右翼も左翼も信用なんてしていないし、そんなもので世界が変わるとは思ってはいないから、どうでもいいんだが、こんな人間に代表される政府、こんな低能な人間を持ち上げている自民党だとか、公明党だとかが国会から姿を消さないと、日本はどうしようもなりません。もちろん、そんな人間達に投票しているのが「大多数」と呼ばれる国民だ。といっても、本当は、それもうそっぱちで、小選挙区のおかげで国民の意思が実際の政府に反映されていないわけで、良識や正論が完全に無視されるようなシステムを作られているのだ。計算してみればわかるさ。ひとつの選挙区からひとりしか議員が選ばれないんだろう?その投票率が50%そこそこの国なわけだろ、日本は? ベストな状況でも選ばれた人間は25%の支持しか得ていないのに、(実際にはそれ以下で、10数%だろうと思うが)100%の顔となるわけですよ。逆をいえば、下手をすると80%の人間が「支持していない」政治家が国を動かしているというこの不思議。このあたりを真剣に考えていくと、なんてひどい国に住んでいるんだろうと、つくづく思いますな。


投稿者 hanasan : 05:00 | コメント (0)

2006年02月01日

懐かしいコレクターズ、アイテムがCD化です! - ギャズ・メイオール -

Gaz's Rockin Blues 本当に懐かしい。まだ日本に「クラブ」といった言葉さえもが存在しなかった頃、いや、存在してはいたけど、「銀座のクラブ」といった高級飲み屋にしかこの言葉が使われていなかった頃、初めて取材したのがロンドンのクラブだった。その頃のことは、87年に発表した「ロンドン・ラジカル・ウォーク」という本の第八章に詳しく書いているし、多くの雑誌に当時のクラブ文化発見による衝撃について発表しているんだが、この時に知り合うことになったのが、今もまだ続くクラブ、ギャズズ・ロッキンブルースの中心人物、ギャズ・メイオールだった。

 当時、クラブがあったのはディーン・ストリートのゴシップスで、今と同じ木曜日に開催されていたのだが、その店がおしゃれなワイン・バーに改造されてしまったために、現在ではウォードー・ストリートのサン・モリッツという店に場所を移している。が、雨後の竹の子のようにクラブが生まれて、消えているロンドンで25年にわたって続いているのは、ギャズのこのクラブだけで、それだけでもこのクラブの面白さが想像できようというものだ。

 あの本にも書いているんだが、アメリカからイギリスにやってきてどうしようもなかったストレイ・キャッツがここで初めてライヴをする場を与えられたり、ミック・ジャガーやデヴィッド・ボウイが遊びに来たことがあるとか... 俳優のブルース・ウイリスが噂を聞きつけてやってきて、演奏してしまった話とか... まぁ、そういったポップ・スターがけっこう遊びに来ているような。それに加えて、かなりクラシックなスカからブルース、ジャンプ、リズム・アンド・ブルースという、流されている音楽のせいもあるんだろうけど、伝説的なスカ系のミュージシャンがここで頻繁に演奏していたものだ。

 そのギャズが一番最初に作ったコンピレーションが今回、再発売というか、CD化されたもの。長い間コレクターズ・アイテムとなっていたもので、これがCDになったのは嬉しい。というか、これこそがギャズズ・ロッキン・ブルースの原点のようなアルバム。彼のクラブを体験したことがある人やスカ、からブルース、R&Bといったところの、アーシーでルーツィ、どろどろとしたダンス・ミュージックを楽しみたい人には絶対のお勧めで、買っても間違いはないはずだ。それに、オリジナルに加えて、かなりの曲が加えられた2枚組となっているらしく、そんな情報を受けて、自分も速攻で注文。おそらく、明日には届くだろう。

Gaz's Rockin Blues 実をいえば、彼が今では入手不可能になった数々の7インチをコンセプト別にコンパイルして、自家製のカセット・テープを作っていたのだが、それが素晴らしくて、この当時、それをほぼ全て集めていた。このクラブで流される音楽がここに収録されているわけで、これを使えば、あのクラブの雰囲気を作り出すことができる... といったら語弊があるが、一応気分だけは味わうことができるのだ。もちろん、本当にあの迫力を再生するには溝の深い昔の7インチが必要だし、ビシビシとノイズやスクラッチの入ったアナログらからこそ、あの味がでるんだろうけど、まぁ、仮想でその気分だけは味わえる。じゃ、それを日本でコンピレーションとして発表すればいいじゃないか... と思って企画したのがこの作品「Whiskey, Wine & Women」だった。たまたまその前に東芝EMIと数枚のコンピレーション(ストレート・ノー・チェイサーによるブルーノート系のもの)を制作して、それがヒットしていたこともあり、けっこうすんなりとその企画が受け入れられて、これを作っている。

 といっても、ちょうどその頃、ロスでA型肝炎に感染してしまって、入院するという事件があり、充分なプロモーション活動ができなかったこともあるんだろう。あまりセールスはよくなかったんだが、このアルバムは素晴らしかった。なにせ、ここに集められているのは、ジャマイカにスカが生まれる直前、海を渡ってラジオから流れ出していたR&Bの数々。これを聞けば、R&Bこそがスカのルーツであることがよく理解できるし、日本では学者のようなコレクター達の「趣味の音楽」でしかなかったアーシーでワイルドなR&Bが、まるで命を吹き返したかのように響いてくるのだ。このアルバムでそういった音楽にはまりこんでいった人たちも多かったし、自分自身、音楽の流れという歴史をも教えてもらうことになったものだ。

 これが発表された時のレヴューも面白かった。学術でしかこういった音楽のことを語ることができないインテリどもの「音楽を楽しむ」意識の欠落が、こういった音楽をほこりまみれの博物館に押し込めていったんだということがよくわかった。「学術的には評価できないチープな...」なんてことを書いていたバカがいたからなぁ....なお、その時のライナーはここに収録しています。

 それがともかく、今回、ギャズのデビュー・コンピレーションの再発に伴って、このCD「Whiskey, Wine & Women」も再発売してくれないかなぁと思う。90年代半ばのあの頃以上に、実は、ギャズの人気や浸透度が高まっているのが日本。そういった音楽好きの若い人たちにこのアルバムを聴いてほしいと切に思うのだ。

補足 : 2日にアルバムが届きました。2枚組ではなく1枚でした。内容は最高です。文句なし。

最補足 : なんと、これに2枚組のものもあるようなんだな。こちら昨年発表された1枚もので、こちらは今年発表された2枚組。どないなってはりまんねん?


投稿者 hanasan : 18:01 | コメント (0)