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2006年07月05日

Allen Tousaintのライヴでのこと

Allen Tousaint 詳しくはフォト・レポートにコメントを残しているので、ここでは繰り返さないが、急遽決定した来日に数多くの人が驚かされたアラン・トゥーサン。彼の人柄がにじみ出た素晴らしいライヴは、すでに自分の中で今年のトップ5にはいるだろうというほどのインパクトを残してくれた。

 といっても、それは、入れ替え制で行われた最初の公演で、2回目のは... 正直言って、かなりへこんだ。おそらく、その原因は「ゲストであるはずの」エルヴィス・コステロで、あの人のおかげでいい気分をぶちこわしにされたと言ってもいいだろう。噂では、コステロがアランと名前を連ねて発表したアルバムのプロモーションが目的で、急遽決定したのがアランのライヴ。だからこそ、タワー・レコードでの両者がそろったサイン会が開かれたり、品川のどこかで両者一緒のライヴが開かれたってことがあったんだろう。だから、今回「アラン・トゥーサン」のライヴに、おそらく、エルヴィス・コステロが顔を出すであろうことは、誰もが想像していたに違いない。

 が、当然ながら、このライヴは「アラン・トゥーサン」のライヴであり、両者の名前では打ち出されてはいない。ということは、わずかしかないチケットを必死の思いで入手したオーディエンスは彼を見に来たのであって、どれほど有名だろうが、スターだろうが、ゲストは「ゲスト」でしかないはずだ。が、この日の2回目の公演は、それを遙かに逸脱したものであり、はっきり言ってしまえば、アラン・トゥーサンに対して、あるいは、彼のファンに対して、実に失礼なものだったと思えるのだ。

 最初の3曲だけで終わってくれていたら... もう一度アランに声をかけられたときも1曲で終わってくれていたら、こんな気分にはならなかったんだろうけど、6曲か7曲だったと思う彼のステージは、どう考えてもやりすぎだ。お金を払って客としていっていたら、おそらく、文句のひとつぐらい言っただろうなぁ... と思う。

Allen Toussaint そのエルヴィスに対して、日本じゃ、おそらく、遙かに売れているだろう、中島美嘉の方が、この日は「美しかった」。といっても、正直言ってしまえば、この人のことはなにも知らない。どんな歌を歌っているのかも知らないし、この日までどんな顔をしているのかも知らなかった。一切出しゃばることもなく、(そうしたい気持ちはあったのかもしれないけど)そこにいただけ。加えて、アランがニューオリンズの生み出した天才、ルイ・アームストロングの名曲「ワンダフル・ワールド」を奏でながら、「美嘉は、本当に素晴らしい人間なんだ。彼女がどれだけのことを僕らにしてくれたか...」と語りかけていたシーンは、実に感動的だったし、実際、彼女は素晴らしい人なんだろうと思った。

 なんでもハリケーン・カトリーナの被害者へのチャリティとして『All Hands Together』という曲を、ニューオリンズのミュージシャンたちと録音したらしいんだが、その気持ちに僕は「音楽」を見たように思う。チャリティが偽善だとか、なんだとか言うのは簡単だ。が、なにもしようとしていない人たちに、そんな言葉を語る資格はない。それを確実に形にした中島美嘉にとってこの経験は、彼女のこれからにとてつもなく大きな意味を持ってくるんだろうと思う。

 そういえば、この日、なによりも感動したのはアラン・トゥーサンという人間の素晴らしさであり、だからこそああいった曲が生まれているんだという、単純な真実だと思う。だからこそ、「歌」が「歌」たり得るんだろう。『River in Reverse』(US import / 国内盤)というアルバムは、どう考えても、アランのアルバムじゃないだろう。それは、アランの面倒を見ている人物もはっきり口にしていたものだ。が、そのおまけで付いているDVDの中でアランはエルヴィスよりも遙かに重要だったし、あれを見れば、彼の偉大さや、歌の意味を再確認できる。だから、それを見るためだけでも、あのアルバムは手にしてほしいと思った。


投稿者 hanasan : 2006年07月05日 13:24

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