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2006年09月26日

Sly & Robbieに再びはまる

Sly & Robbie なぜかは知らないんだが、このところ、昔のレゲエを聴きたくなって、しきりとアナログを引っ張り出している。というのも、そんなにCDなんて買う金もないし、CDよりも遙かにアナログの方が音がいい。かといって、いつもアナログで聴くのもの面倒でiPodでも聞けるようにしたいと、そういったアナログからハード・ディスクに音を落としてせっせとDC作りをしているのだ。(といっても、これは自分で聴くためであって、これを他の人に譲ったり売ったりしたら違法ですが、個人で音源をどんな形で楽しもうと違法ではありません)

 そんななかで真っ先に手を付けたのが、スライ&ロビーが中心となって一世を風靡した80年代初めのタクシー・プロダクションもの。特に好きだったのはこのCrucial Reggae Driven By Sly & Robbieという作品で、日本でこれが発表されたのは82年のこと。どの曲もいいんだけど、このB面に収められたマーヴィン・ゲインの名曲カバーでジミー・ライリーが歌った「セクシャル・ヒーリング」が群を抜いて素晴らしい。というか、まずはこれが聴きたかったというのかなぁ。というので、これをCDに焼いたんだが、このamazon.co.jpのリンクを見ればわかるように、すでにこのCDは廃盤のようで、マーケット・プレイスの価格を見ると9000円を超えている。法外な値段が付けられたコレクターズ・アイテムのようなのだ。どこかで彼のアルバムなりにこれが収録されていないか、amazonをチェックしてみたんだが、なかなかみつからない。

Jimmy Riley 同じようにみつからないのが、スラロビをバックに録音した彼の名作アルバム「Rydim Driven」。これも名曲そろいの名アルバムなのにネットでいろいろと検索してもあまり姿を見ないのだ。巻頭の「Love & Devotion」から「My Woman's Love」と、牧歌的とも言ってもいいほどにレイドバックしたこの頃のレゲエって、理屈抜きに好きで、これもアナログからの音を取ってCDに焼いてみた。

 面白いのは、どんな理由からかはわからないんだが、そうやってアナログから自分でCDを作ったというのに、これをiTuneで抜き取ると自動的に曲名やアーティスト名が拾えること。以前、韓国で手に入れた70年頃のサイケデリックのアナログからCDを作った時にもハングルで曲名が出てきたんだが、これはびっくりする。どういった構造になっているんだろう。といっても、ジミー・ライリーの方は全然出てこなくてタイトルを全部自分で入れる羽目になりましたが。

Sly & Robbie 一方で、嬉しかったのはあのCrucial Reggae Driven By Sly & Robbieの前に録音された、Sly & Robbie present Taxiはまだ入手できるというのがわかったことかな。といっても、これも、amazonのマーケット・プレイスでの出品なので、それほど一般的じゃないんだろう。といっても、これについてはジャケット違いのCDがアメリカで出ていたように思うんだが定かではない。

 といっても、これもアナログ起こしてCDに焼いたんですが、悲劇の兆候はその頃からあった。なぜか、右チャンネルからちょっとしたノイズが聞こえてくるのだ。なんだろうと思っていたら、ある日、右の音が完全にここえなくなってしまったのだ。要するに、ターンテーブルに問題が起きたようで、結局、修理に出さなければいけなくなってしまった。自分が使っているのはケンウッドのKP1100という85年に発表されモデルですでに20歳。もちろん、部品は残っていないし、実際に修理できるのかどうか、かなり微妙。実際、自宅にケンウッドの人に来てもらって若干の調整をしてもらったんだが、まともに鳴ると思ったのはわずか数十分で、結局は、引き取ってもらってきちんと見てもらうことになった。さて、この修理代がいくらになるのか、そして、直るのか... 未だにわからないのだ。

 ただ、できることなら、これを修理して使いたいと思っている。なにせ、ケンウッドの名機です。中古相場でも5万円ぐらいの値段で取り引きされているようで、数万円の修理代なら出してもいい。さて、どうなることやら。



投稿者 hanasan : 17:17 | コメント (0)

2006年09月21日

中山うりに脱帽です。

中山うり 9月17日に渋谷のクアトロでアサイラム・ストリート・スパンカーズの撮影をして、すでにそのレポートはSmashing Magにアップしているんだが、その日はまってしまったのは彼らではなく、前座として登場した中山うりだった。

 小柄な女性で、失礼な言い方かもしれないが、一見すると、どこにでもいるような普通の女の子。ところが、その彼女がアコーディオンを抱えてステージ中央に腰をかけ、生ギター、ウッドベース、そして、ドラムスというシンプルな構成ながらもつぼを押さえた演奏をするバックの音に乗せてひとたび歌いだすと、圧倒的な存在感を見せるのだ。ちょっと子供っぽい印象のある顔立ちの彼女から出てくるのは、なにもかもを悟ってしまったかのような大人の女を感じさせる声。乙女と母が同居しているかのような、その歌と歌詞の向こうからはどこかで懐かしい光景が鮮やかな色彩を持って浮かび上がる。けっしてなにかを訴えかけるというものではなく、どこかで情景を描きながら、その景色の向こうに見えるものをほんのりと浮かび上がらせてくれるといった感じだろう。それは色づき始めた頃の映画に近い。加えて、その歌からは優しく人間を見つめる彼女の視線を見て取ることができる。

 といって、それはあのライヴのあと、iTune Music Storeで発表されている曲を何度も聞いて思ったこと。その段階で「今週のシングル」として1曲が無料ダウンロードできたのだが、あまりの素晴らしさに結局、EPとして発表されている5曲を買ってしまうことになったのだ。なんでもこの時の値段が600円だったんだけど、それは、そのうち1曲が無料だったからで、現在は750円で出ている。

中山うり いずれにせよ、彼女の作品はCDとしてはまだ出ていないので、ある程度まともな音質で聴くとしたら、ここでしか買えないというのが現状のようだ。ただし、DLしたこれをiTuneでCDに焼いてステレオで聴いてもいい音に聞こえる。おそらく、プロデューサーの手腕なんだと思うが、ヴォーカルが前面に出てくっきりと聞こえるのが素晴らしい。なによりも、彼女の魅力がその声と歌にあることをよくわかっているんだろう。これほどくっきりと声が浮き上がるものってそれほどはないと思うのだ。というのも、バックの音で「歌の下手さ」をカバーしているのが最近のCD。まともには聞けない代物が多すぎるのだ。

 面白いのがマネージャーかぁ... あるいは、プロデューサーなのか、この時、10数年ぶりにS-Kenと会ったこと。その昔、友人が作っていたプレス・クラブというところで共同生活のようなことをしていた頃があり、その頃の仲間を介して彼と接触したことがあった。そんなことを思い出しながら、ちらりと彼と話をしたのだが、人間のつながりなんてそんなものだろう。どこかで必ず再開するのだということを思い知らされた。当時、PCM(プレス・クラブ・ミュージック)というのを設立して、最初にPILのキース・レヴィンの録音したアルバムを通信販売した記憶があるんだが、数百枚は売ったかなぁ。ひょっとしたら、今もうちにその現物があるかもしれないが、どこにそれがあるのかははっきりしない。

 そんな余談はともかく、チャンスがあったら、ぜひ聴いてください、この中山うり。自分にとって今年出会った日本人のミュージシャンではトップになります。衝撃でした。なんでも毎月1回、ワンマンでライヴをしているということで、Smashing Magの船橋君が書いたこの原稿に詳しくその情報が載っている。それを参考にして彼女を体験していただけたらと思います。けっして後悔はさせませんから。おそらく、この日だったら、スケジュールに問題がないので、また撮影で入らせてもらおうと狙っているので、これを読んだ人とそこで会えるかもしれません。

 なお、iTMSのバナーでは未だに中山うりのシングルが無料ダウンロードできると書いていますが、これは、自動的に新しいものに替わるはずのもの。すでに彼女の作品ではなくて、次の作品になっています。なんでこんなことになるのか、私にはわかりませんが、彼女の宣伝になるのなら、それでいいやと思って、そのままにしています。あしからずご了承を。



投稿者 hanasan : 15:52 | コメント (0)

MacBookご購入

MacBook むふふ... であります。買っちまいました。MacBookの黒でございます。買ったのはヨドバシだったんですが、メモリを同時に購入すると半額になるというので、結局2GBのメモリを買って合計で209600円。けっこう安く買えたと思う。マックの場合、どこで買っても基本的にほとんど値段が変わらないから、同時に購入しなければいけないメモリをくっつけて値段を落とすというのは大正解だと思う。いろんな量販店でいろいろなキャンペーンをやっているけど、マックの専門店のものと比べてもヨドバシは安かったと思う。

 と、そんな話を書こうとしたら、amazon.co.jpでは5%の値引きに加えて、10%のポイント還元... となると、けっこういい買い物になるかもしれない。といっても、メモリを同時購入したってここで買うとかなり高いから、本体だけをここで買ってメモリを他の安い店で買うのが正解かな。秋葉館でチェックしてみると最も安いサムスンのメモリが1GBで15000円弱だから、2枚で3万円とこの組み合わせで買えばヨドバシよりも安い20万ちょいでMacBookが手にはいる。早めに知っていたら、その作戦もあったかなぁとは思うが、これが必要だったのはハイドパーク・ミュージック・エキスプレスの作業をするのに、スタッフでラップトップを持っていない人がいたというのが理由。それだったら、そういったスタッフがいつでも使えるように、1台ぐらいラップトップを持っていた方がいいじゃないかと思ってこれを買ったわけだ。まぁ、のんびりといつ届くかもしれないものは買えなかったのね。

 ところが、このMacBook、めちゃくちゃ気に入りました。実に使いやすいし、実際、処理スピードも速い。ここ3年ちょっと使ってきたのがPowerBook G4の1GBなんだけど、いまだにほとんどの作業をOS9でやっているというので、OSXしか使えない新しいタイプは敬遠していたのだが大間違いなのかなぁ。なんて思っちゃいましたね。みんな、周りの連中はOSXに移行していて、いまだにOS9で仕事をしている人なんて、極端なマイノリティだと思うんだが、作業の慣れというのは恐ろしいもので、その方が早く仕事ができるような気がしているですよ。というので、このMacOS9最終機種となるPowerBookを旅先とかで使い、自宅ではPowerMacのMDDシリーズの1.25Dualを大切に使っているわけです。それが... ちょっとした心変わりをし始めたみたいです。

 実は、ハイドパーク・ミュージック・エキスプレスでの作業を、初めてOSXでやってみたんですね。というのは、なぜかOS9で起動しているとAirMacの調子が良くなくてうまくつながらないことが多いからなんですが、エキスプレスの場合、実際に使う写真の点数が少ないこともあって構成も比較的容易というか... 込み入ったセレクションや構成をしていたら時間がなくなってしまうというので、決め写真を少な目にセレクトしていかなければいけないわけです。そうすると、OSXの方が作業しやすいことが判明しちゃったというか。というので、徐々にOSXにシフトし始めて... 自宅でもこのMacBookを使い始めたわけです。といっても、主にネットの仕事はデスクトップでやっているので、音楽だとかDVD関連をMacBookに集中させているということなんですが、さくさく動く感覚は確かにいいと思いますね。

 PowerBookのOSXでは、正体不明のハングアップもけっこうあるんですが、MacBookではそれもほとんどなくて... っても、PowerBookはすでにアップルケアも切れて、内蔵のHDを7200回転の100GBにしているから、容量的にはいいんだけど、さすがに古くなったせいかDVD/CDドライヴが読み込んでくれないようなものも多くて困っているわけです。まぁ、それだけ入れ替えれば事足りるんだけど、入れ替えるだけでけっこうな値段になるし.... それだったら、外付けの製品を買った方が遙かに安くつきます。お気に入りはLaCie Slim DVD±RW with LightScribeというやつでこれは2万弱。しかも、バス・ドライヴで使えるので電源いらず。めちゃくちゃ薄くてポータビリティも文句なしといういうので、結局これを買うようになってしまうんだろうか... とはいっても、他にも持っているので、さすがに買うのはなぁ... と思う。チェックしてみたら、内蔵DVDドライが16000円ぐらいで買えるようですが、まれに問題があるとか... 作業を依頼したら1万円も取られるとか... それはかなりきついしなぁ... とまぁ、いろんな思いが交錯するんですよ。

 で、話は戻るが、MacBookのもうひとつの魅力がiChatかなぁとも思っています。実際にところ、まだトライしたことはないんですが、そういった遊びができて、世界中の友人達とコンタクトが取れるというのは、それだけでも楽しいじゃないですか。加えて、小さい割にモニターの解像度が高いから、今使っているPowerBookG4と同じように写真のセレクションなんかもできるわけです。これは嬉しいですよ。なにせ、海外に出て撮影をする時なんぞ、カメラ最低2台にレンズを3本がバッグに入っているわけで、加えてコンピュータに予備バッテリーやらポータブルHDに... とものすごく重たいわけです。わずかな違いかもしれないけど、少しでも軽くなるのであれば大歓迎。というので、このMacBookをきっかけにそろそろMacOSXに移行してしまうんでしょうな。どこかでちょっと寂しいような気もしますが、これも世の流れだなぁと思いますね。



投稿者 hanasan : 02:25 | コメント (0)

2006年09月15日

シバとハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル

シバ 今年もハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァルでエキスプレスを担当した。ほぼオンタイムでライヴや会場の状況を伝えていくというもので、基本的にはライヴを撮影して出来るだけ早く写真やレポートをアップするというものなのだが、フジ・ロック・エキスプレスから昨年まで3年間続けてライジング・サン・エキスプレスと、スマッシング・マグのスタッフを中心としたこれは、僕らの仕事の中核に位置するようなものとなっている。

 まぁ、スタッフによってはなかなか早くできない人もいて、けっこういらいらすることもあるんだが、簡単にはできる仕事ではないので、のんびりと人を育てていくしかないなぁと思っている。それでも、スタッフは必死になってモニターに向かい合い、写真をセレクトして加工。大急ぎで最高の作品を目指して動いている。加えて、ライターも同じように原稿を書いてくれるのだ。だから単純に「作業が遅い」なんぞといわれるとかちんと来ることもある。誰一人として機械じゃないし、それぞれの思い入れをどうやって形にするかということにベストを尽くしている。その結果がああいった形になったということ。それを気に入ってもらえなかったら、それでいいかぁと思う。まぁ、文句を言っているのは少数派で、数々のお褒めの言葉をいただいて、みんな、とても喜んでいるというのが本音だろう。

中山真理 今年僕が撮影したのは中山真理、あがた森魚、向井秀徳が初日で、2日目は東京ローカルホンク、ダブル・フェイマスにジョン・コーワン・バンドと各日3アーティスト。すごい印象に残っているのは中山真理で、昔からライヴを見たかったアーティストだ。いきなりディランの「Don't Think Twice, It's Alright」で始めた彼女の演奏はなにやら日本人じゃないよう。というのも、彼女、日本語で歌わないんですね。カバーした曲のセンスとか、すごく近いとことにいるし... 僕の場合、大好きなドック・ワトソンのヴァージョンがあるんだけど、カントリー・クラシックとも呼べる「I Am A Pilgrim」なんて、生で聴いたのは初めてだったし、それはそれで嬉しかったけど、僕には英語で歌うことの意味が理解できない。4年ぐらいをアメリカで過ごしていたらしいが、それだったら、アメリカで歌えばいいんじゃないですか? このままだと、結局は「かぶれ」だけで終わってしまうんじゃないかなぁ... なんて思うんですよ。これほどの才能があったら、「自分の言葉」で歌うべきだと思うし、他のどんな言語を流ちょうに話したところで、それは本当の「自分の言葉」からの逃げでしかないと思うんですね。といっても、誤解して欲しくないけど、彼女は好きなのよ。もっともっと「歌」が歌えるはずだから、そうなったときの彼女に期待しているんだろうなぁと思う。

シバ それにあがたも良かった。といっても、面白いのはセットリストで比較的新しい『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』と『日本少年‐ヂパング・ボーイ‐』からの1曲を除けば、今年、大枚をはたいて購入した『1972春一番』という10枚組の時と同じで、なんか懐かしかったなぁ。「冬のサナトリウム」から「サルビアの花」に「赤色エレジー」が出てきて、最後は名曲「大寒町」という流れで、このバックだったらそうなるんだろうなぁと思いつつ、納得していたように思えます。渡辺勝、矢野誠、武川雅寛なんて人たちがバックですから。ここにもう少しメンバーを加えて、はちみつぱいがバックになったあがたの再演がファンの夢なんですけど、いつかはそんなこともあるんだろうかなぁと期待しています。

 このライヴのおかげであがたの名作『噫無情(レ・ミゼラブル)』を何度も何度も聞き返しているというのが今日この頃。あのオリジナルのように、CDもピクチャー・レーベルで作られていたら、CDも買ってもいいんだけど... どうなんだろう。再発する人たちにそれだけのアーティストへの愛情があれば、そうなっているはずだけど、どうなんだろう。

シバ さて、そういった演奏のみならず、嬉しかったのが懐かしい人たちとの再会だった。そのひとりがシバ(三橋誠)で、ずっと以前から一度ライヴを見たいと思っていた。今回は高田渡トリビュートのステージで最後の方に3曲ほど歌っている。目が悪くなったせいか、顔はよく見えなかったけど、上手の芝生の上に座って聴かせてもらった。(実は、今回のフェスティヴァルで撮影時を除けば、じっくりと音楽を聴けたのはこのときだけだった)嬉しかったね。おそらく30年ぶりぐらいに聞く生のシバだ。その30年の月日をどう考えたらいいのかはわからないけど、僕が惚れ込んだシバはあのときのままのシバで、やっぱ、この人じゃないとダメなんだということを思い知らされたね。あの声にあのギター、それは、かつて「つげ忠夫の漫画の世界がそのまま音楽になった」ような物だと記していたんだが、その通り。っても、漫画を好きじゃなかったら、こんなことを書いてもわからないだろうけど。

 その名作、『夜のこちら』を発表した頃、大学生だった自分がプロモーターをやっていて、岡山で3度ほど彼のライヴを主催している。初日は憂歌団と一緒のステージで、会場は岡山文化センター。キャパ300ほどの会場だったんだけど、ここも良かったし、その翌日にはジャズ喫茶、イリミテ(素晴らしい店でした)で生音だけのライヴをやっている。それから、しばらくの後、長谷川楽器の小さいホールでまたやっているんだけど、このときは全てを録音していて、そのテープがうちにも残っている。嬉しいことにこのときのテープの箱にシバがイラストを描いてくれていて、本当は、あまりの演奏の素晴らしさにこれをなんとか形にしたいと思い続けて30年ぐらいかなぁ。実は、この前日に運動公園の近くにある「木の実」というお店でお銚子を20本以上並べてしまうほど彼と飲んでいて、かなりの二日酔いライヴだったと思うんだが、その雰囲気がそのまま収められているのだ。それに、「いぇい!」と叫んでいる30年ほど前の自分の声も。実に懐かしい。

 そのシバと話をすることが出来たのが嬉しかった。ちょうど帰り道の途中に話をしたので、そんなに多くは語ってはいないんだけど、「覚えてるよ、あのジャズ喫茶」なんて話があって、今度チャンスがあったら、彼の写真を撮影させて欲しいとお願いしている。彼のスケジュールをチェックして、一度、彼の写真をじっくりと撮ってみたいと思っている。なんでも彼も写真をやっているということらしいし、コンピュータについても、かなりのマック・フリークらしく自宅に5台ほど抱えているということだ。

 ちなみに、今回は会場で彼のライヴ『新宿発、謎の電車』を買ったし、以前もタワー・レコードでたまたま目に入った『ガードレールに足かけて』も持っているんだが、自分にとって越えられない傑作は『夜のこちら』。特に、ここに収録されている「星の明日」には泣ける。チャンスがあったら、是非聞いてもらいたい傑作です。

CSNY この日、全てが終わってステージ裏を歩いているときにはドラマーのトン(林敏明)とも再会。いつか新宿ロフトで「春二番」があったとき長田タコヤキと再会したように、彼も70年代初めのディランという喫茶店にたむろしていた仲間で、「そうゆうたら、昨日、源さんと会うたよ」なんて話も出てきた。このトンはハックルバックのメンバーで、源さんは当時、オレンジ・レコードというのを作って数々の名作を発表している人物。いずれも全てディランを通じての仲間です。

 ということで、なにやら懐かしいばかりの2日だったような... 特に今回はスピーカーから自分には避けては通れない傑作中の傑作CSNYの『デジャヴ』が流れていた。そうなんだよなぁ、みんな、俺たちの年代はあの頃の何かに触発されて、それがエネルギーになってずっと生き続けているという感じ? 絶対にそれは間違っていないんだけど、思っているようにそれが形になっているかといえば... どうなんだろうなぁ。まだまだ道は長いように思えるなぁ。



投稿者 hanasan : 15:09 | コメント (0)

2006年09月02日

Michael Frantiに身体が震える...来日公演を見逃すな

Michael Franti マイケル・フランティは昔から大好きなアーティストだった。彼が中国系アメリカ人とのユニット、ディスポーザル・ヒーローズ・オヴ・ヒップホップリシーでデビューしたとき、ロンドンで彼らのライヴを見てインタヴューをしたことがある。そのとき、大きな話題になっていたのは「テレヴィジョン、ザ・ドラッグ・オヴ・ザ・ネイション(テレビとは、国家のドラッグである)」という曲で、あまりに過激な内容のせいで一般のテレビでは一切放送されなかったというしろものだ。一方で、そんな彼らを気に入ったU2が、全米ツアーに彼らをオープニング・アクトとして起用し、このビデオをどでかいスクリーンで全て見せていったという話を聞いたのは、それかしばらくの後じゃなかったろうか。

 そのマイケル・フランティがシーンに登場したとき、よく比較されたのがギル・スコット・ヘロンだった。声の質がよく似ているだけではなく、ラディカルな政治性も似ていたからだ。おそらく、アメリカに住む子供として、ラップの始祖のようなギル・スコット・ヘロンにどこかで憧憬のようなものを持っていたのではないかと察するが、あのときのインタヴューで、その点に関して尋ねたのかどうか、あるいは、彼がその点に関してなにかを言ったのかは、もう覚えてはいない。いずれにせよ、そういった彼の政治的な姿勢が、おそらく、イギリスで同じように政治的に真摯な姿勢を見せていたビリー・ブラッグのマネージャー、ピート・ジェナーに引き合わせたんだろう、あのバンドの時も、そして、新たにスピアヘッドとして活動を始めた頃も彼がマネージャーとして動いていた。(現在はどうなっているのか、自分にはわかりません)

Michael Franti 数年前にどこかのレコード会社を訪ねたときにたまたまプロモーション来日していた彼とちょっと言葉を交わしたり、フジ・ロックに出演したときにもそんなことがあったとは思うが、このところ、彼のことはあまりチェックはしていなかった。とはいっても、アメリカの平和運動のことをチェックしていると決まって登場するのが彼の名前で、彼の姿勢が全く変わっていないどころか、どんどん鋭くなっているかのようには思えていた。その彼が来日するというので、プロモーターの友人から受け取ったのがこのDVD『I Know I'm Not Alone (僕は知っている。けっしてひとりじゃない)』という作品だった。なんと彼がイラクからパレスティナ、イスラエルという戦争のまっただ中に乗り込んで作ったドキュメンタリー。これを見ながら、涙が止まらなくなってしまったのだ。

 彼がバグダッドを訪ねたのは2004年の6月。ちょっと想像力がある人だったら、思い出してくれるかもしれないが、3人の日本人が人質として拘束されて日本中が揺れ動いていたのが4月で、そのとき、渋谷ハチ公前で人質を救出するためのアピールに加わっている。そのときのレポートはSmashing Magここでjoeがレポート。加えて、その数ヶ月後に知人がバグダッドに飛んで書いたレポートも同じく、ここに掲載した。「自己責任」と「責任逃れ」をする政府の尻馬に乗って、ボランティアとしてイラクに向かった日本人3人がバッシングされていた頃に重なる。同じ4月日本人ジャーナリスト2名が同じように人質として拘束され、10月には日本人の若者が人質となり斬殺されたことを思い出してみてほしい。マイケル・フランティがバグダッドに向かったのはそんな時期なのだ。おそらく、自分の生命が危機にさらされることは十二分に理解していただろう。そして、もし、万が一のことがあったら、また、あのときの日本人の多数が「自己責任」なんぞという陳腐な言葉で彼を非難したんだろうか。これを見ながらそんなことも考えていた。

 このDVDの冒頭で彼の言葉がこんなことを言っている。

「テレビで聞こえてきたのは政治家や将軍の言葉ばかり。彼らは経済や政治の損失ばかりを口にしていたけど、人間の損失については全く語りはしなかった。それに欲求不満を感じていたんだ」

 だから、彼は旅に出たのだ。映画のクルーや仲間たちと一緒にバグダッドに入って彼が出会ったのは普通のイラク人たちだ。そこで恐怖におののきながらも毎日の暮らしを続けている人々に接することで、戦争の奥にあるものを見つめようとしていたように思える。単純に苦しい人たちや悲しい人たちを「犠牲者」として描くのではなく、彼はギターを持って歌い、楽しんでいるようにさえ見える。が、その一方で、取材中に爆発音が聞こえたり、ガイドとしてつきあってくれた人たちからは、彼らにとってイラクにいることがどれほど危険なのかといった説明も受けている。

Michael Franti その一方で、彼はアメリカ兵にインタヴューを試みたり、彼らの前で演奏をしたり... 反戦平和を歌う彼が、兵士の前で演奏することがどれほど難しかったか... 彼自身がこれまでの生涯で最も難しい演奏だったと口にしているのだ。それでも、兵士たちに接することで、「兵士が悪」だとは単純に言い切れないことも浮き上がらせている。それはバグダッドからパレスチナ、イスラエルへと飛んでのドキュメントでもそうだった。おそらく、このドキュメンタリーで最も強力なのは、彼がギターを持って双方の人間たちを等しく見つめて、時には対立しているとされる両側の人間をつきあわせたりもしていることだろう。

 もちろん、彼は地元の様々なミュージシャンたちにも出会っている。弦が手に入らないからと、電話のケーブルを代用するなどして活動をしているというイラクのメタル・バンドやラッパー、イスラエル人とパレスティナ人が一緒になって演奏しているバンド等々。ここでも確認させてくれたのは政治や経済を遙かに超えて音楽が人と人の絆を作り、存在することですでに「平和」的であるということ。おそらく、彼らがメジャーな存在であるとは思えないけど、どこかでそこに希望があるのではないかと思わせるのだ。

 そんな経験を積んでのちに録音されたのが最新作となる『Yell Fire!』。なんでも半分をジャマイカでスライ&ロビーをバックに録音しているらしいんだが、おそらく、彼らにはマイケル・フランティが体験してきたことの重みを十二分に理解しているんだろう、ここからたたき出されるものには生身の人間が奏でる音楽があった。

 そのマイケル・フランティが10月に来日することになっているんだが、チケット・セールスが芳しくないという話を聞いた。メディアで彼のやってきたことに対する評価がないのか、扱わないのか.... その話を聞いただけで日本がとてつもなくやばい状況に直面していることがわかったように思う。まるで終わりに向かって突き進んでいるように思えるのが今の日本。これでいいんだろうか... マイケル・フランティのDVDを見て、CDを聴いてそんなことを考えてしまった。



投稿者 hanasan : 20:22 | コメント (0)