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2006年12月24日

大竹伸朗の初体験

大竹伸朗 あまりに刺激的な毎日の連続に興奮して、本当は毎日のように書きたいこと、伝えたいこと、語りたいことがある。ところが、そんな興奮に浸っていると、それもできないイライラの連続に欲求不満が蓄積してしまうという、この悪循環。どうすりゃいいんだろうね。とはいいながら、まるで多感な少年のようにドキドキ過ごす毎日の面白いことよ。腰痛は相変わらずだが、そんな興奮がそこからの突破口をみつけてくれるのではないかと思ってみたり。と、そんな毎日なのだ。

 まずは21日だったか、友人から「暇だったら、大竹伸朗を見に行こう」というメッセージが入った。っても、こっちは「誰、それ?」と、全然わからない。それでも、いいのだ。信頼する友からの誘いにはほいほいとついて行く。ちょっとでも時間があれば、それでいいというお気楽な自分は訳もわからずに行ったこともない地下鉄の駅、清澄白河に向かう。そこになにがあるかも知らなかったんだが、そこにあるのが東京現代美術館だというのは、現地で友人に落ち合って初めて知った。とはいっても、「そうか、アートなのね」というだけで、なにも期待していない。興味がないというのではないが、なにせ美術館の「冷たい」感触があまり好きではないから、自分で行こうなんて思ったことはほとんどないのだ。実際、東京では皆無。それほどに別世界なのだ。

 ところが、初っぱなから嫌な予感がした。なにせ、その東京現代美術館の屋根にネオンで「宇和島駅」とある。ん? こんなところに、宇和島という駅があるのか? んなわけないだろうが、と思いつつも、自分の住んでいるエリア以外の東京を全然知らない自分は「あれ、どこの駅?」と友人に尋ねてしまうのだ。

「いやぁ、あれはね、昔の宇和島駅のネオン・サインなんだけど、それを捨てるとかいわれて、大竹さんがもらったか、買ったかしたみたいよ」

 と、それを聞いて、こっちは目が点になる。ほぉ、そうなん? としか答えようがない。なんでも彼は宇和島に住んでいるアーティストなんだそうな。で、会場に入る。一番最初の部屋は彼が収集した「これでもかというほどに」雑多なものが貼り付けられている本というか、ノートというか、それが展示されている。なんでも彼は自分と同じ年で、同じ頃にロンドンにたんだそうな。というので、一番最初に目に入ったのは当時のロンドンの地下鉄の切符やバスの回数券。「懐かしい!」今では1円で買える(そうなのよ、amazonのマーケット・プレイスでは)私の著作『ロンドン・ラジカル・ウォーク』に写っていた地下鉄の切符自動販売機で売られていたのがこれだったのね。とはいいながら、「これがアートなん?」と、その時点ではよくわからない。

大竹伸朗 そして、次の部屋へ。なんだかいろんなものが登場してくる。もちろん、絵もあるんだが、次から次へといろんなスタイルの絵が出てきて、そのぞれぞれがなにやら面白い。といっても、たいていのアーティストって、何かのスタイルってのがあるはずなんだが、この人の場合にはとてつもなく「いろんな顔」が出ているのだ。大昔、ロンドンのテイト・ミュージアムとか、いろんなところに、一応は行ってみたけど、アーティストはみんな自分のスタイルを模索して、その後に「どこかにはまる」といった感じがしていたんだけど、この人の場合は、全然そうじゃないみたい。しかも、それを楽しんでいるようにも思えるのだ

 しかも、自分と同じ年齢だからか、面白い発見がいっぱいある。ロックもあれば、ザ・ピーナッツから小林旭... それがいろいろなところに顔を見せている。なんなんだろう、この人は? と、めちゃくちゃな好奇心をそそられてしまうのだ。さらには、マラケシュの「こぎれいな」絵を見た時には、「あぁ、これを見た場所がわかる!」とも思ってしまった。82年だっけかに、モロッコに行っているんだけど、その時、俄然楽しんだのが、マラケシュ。どの街も面白いのだが、ここで3時間を費やして「値切った」記憶がある。欲しくもないものを売りつけようとする店のおじさんとの会話が面白くて、「いやぁ、これはね、650ディーラムなんだよ」といわれて、「アカンなぁ、わしゃ、そんな金は出せんよ。せいぜい50やな」と始まって、結局、90まで落とした。とはいっても、「わし、旅できているんで、買い物には興味ないから、帰るわ」というと、それまで150ぐらいの値段を出していた親父が「じゃ、それでいい!」というものだから、「これは、まだ落とせるなぁ」と、もうひとつのものも含めて再び値切りを楽しんだ。結局、「お前はモロッコ人よりタフや」といわれてしまうんだが、その時にあの広場で見た光景が彼の絵にはあったのだ。

 でも、特に面白かったのは一番でっかい部屋に置かれた二つの掘っ立て小屋。その一つには楽器が並べられていて、話を聞くと、ここでライヴをやったこともあったんだそうな。ほぉ〜、いいねぇ、美術館でライヴ。そのときの映像が小さなモニターに映されていたんだが、「よくも、こんなことをしたもんだぁ」と、なにやら嬉しくなってしまう。と思っていたら、いきなり音が流れ始めた。その小屋の中には楽器が並べられていて、そのそれぞれが機械仕掛けで「音を出す」ように作られている。昔の「からくり人形」ならぬ、「からくり楽団」なのだ。最初はドラムスとパーカッション系で、その後にターンテーブル、そして、ギター、ベースあたりが聞こえてきて、そのほかにもいろんな音がアナーキーに飛び出してくる。これは楽しかった。しかも、本人の大竹伸朗氏がもうひとつの小屋でギターを鳴らしているのだ。そうすると、いっぱい人が集まってきて、コンサートのような雰囲気になってしまった。そのとき、そこで働いているおねぇさんが耳を押さえて、嫌そうな顔をしたのも面白かった。

 いやぁ、面白い。なにが面白いかって、なによりも、まるで子供のような感覚でいろんな遊びを彼がやっていることかしら。といったら、彼に失礼なのかもしれないけど... なにせ、友人によると著名なアーティストで彼のやっていることを「遊び」というのはどうかと思うが、それでも、彼の楽しんでいるのがなにやら伝わってしまうから仕方がありません。

 ということで、本当はもっといろんなことを書きたかったけど、あまり長いものを読んでくれる人もいないだろうから、また、明日にでも書いてみよう。っても、また、明日、面白い体験をするんだろけど。

 ちなみに、今回のことはここでいろいろとチェックできるみたいです。関心のある人はチェックしてみればどうでしょ。



投稿者 hanasan : 2006年12月24日 01:17

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