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2007年01月30日

寿[kotobuki]を聞きなさい、体験しなさい

寿[kotobuki] まだ2007年になってひと月も過ぎていないというのに、今年、自分にとって間違いなくベスト5に入るだろう、ライヴを体験してしまった。それが1月20日に新大久保アールズ・アート・コートで開かれた寿[kotobuki]のコンサートだった。

 初めて彼らを見たのは2005年の戦後60年の沖縄から平和をひらくコンサート。おそらく、彼らの本、『寿魂 - ことぶきたましい』を紹介した寿魂 - 大好きなバンド、寿の本が出ましたで書いていると思うんだが、あの時の彼らにぶっ飛ばされることになるのだ。なにせ、撮影しながら、涙が出て止まらなかったのだ。そんなの滅多にあることではなく、最近じゃ、昨年10月6日のマイケル・フランティとスピアヘッドや11月30日のU2ぐらいではないかと思う。もちろん、なにかが悲しくて涙が出るのではなく、ただ感動してそうなるのだ。言葉にできないほどの感激した時、自分の場合は涙が頬を伝う。奇妙なものだと思うんだが、そんなとき、感極まって撮影できなくなることもしばしばで、実に困りものだ。

 あの戦後60年の沖縄から平和をひらくコンサートの二ヶ月ほど後、スモモのすてきな歌謡ショウvol.3 びくりアイテム大放出!というライヴも見ているんだが、これはもうひとつ「感動」までには至らなかった。ところが、昨年、いつもならグラストンバリー・フェスティヴァルに出かけて日本にはいなかったはずなのに、数年ぶりに開催をお休みするという事態となったおかげで見ることができたのが6月23日のソウル・フラワー・モノノケ・サミット。その前座として登場した寿[kotobuki]にまた感動してしまうのだ。なんと、彼らが演奏したのはわずか6曲。確か前半は沖縄民謡が中心だったと思うが、覚えているのは「安里屋(あさどや)ゆんた」だけ。そして、オリジナルの最初に歌ったのが「シャローム・サラーム」だった。ヘブライ語で平和を意味する「シャローム」とアラビア語で平和を意味する「サラーム」をくっつけたもので、ソウル・フラワー・ユニオンにも同一タイトルの曲、シャローム・サラームがあるんだが、これは全く違う曲。ヴォーカル、ナビィによるとピースボートで知り合ったイスラエル人とパレスチナ人がいろいろなわだかまりを越えて一緒に作った曲をベースにしているんだとか。それをそのまま歌おうとしたんだが、言葉が理解できなくて感情移入できないからと、オリジナルの詞ををつけて歌っているらしい。まずはこれで「来た」。「父や母を失った子供たちにも愛や夢を失った人たちにも平和を!」と歌われるのがこの曲。文字だけではもどかしいとも思えるこんな言葉にナビィの「ソウル」が込められると、ビシビシとリアリティを感じるのだ。

寿[kotobuki] それに、いつもの「前を向いて歩こう」。これは、坂本九が歌った名曲の歌詞をもっと前向きに変えてしまったもので、原作者の永六輔も公認のヴァージョンだ。これなんて、ボロボロになること請け合いで、ライヴでは自分も声を出して歌ってしまう。数年前のフジ・ロックでクロージング・バンドとして最後に登場したソウル・フラワー・ユニオンがこのヴァージョンを歌歌ったことが、語りぐさになっているんだが、その「オリジナル」は寿によって作られたものだったわけだ。

 それから、彼らにとって最も新しいアルバム『寿[kotobuki tamashii]魂』の巻頭を飾る「ひろげよう」。

「冷たい夜は温め合おう、深い闇には明かりを灯そう...  ひろげよう、あなたの夢、私の夢、ひろげよう、命の夢...」

 と歌われている曲で(著作権問題があって、たくさん書けないのよ)で、これがいい。言葉面だけを見ていても、このあたりのニュアンスは伝わらないように思えるんだが、これがヴォーカリスト、ナビィの手にかかるととてつもない説得力を持ってしまうのだ。まるで淀みも濁りもなく、一点を見つめるように自分の未来に向かって逞しく確実に動いている人だけが持つパワーとエネルギーが、そうさせているんだろう。それがとてつもない迫力で迫ってくる。

寿魂 そのライヴからそれほど時間が過ぎてはいないというのに、今回は格別だった。なにせ今回は彼らのライヴ。前座でもなければ、誰かとステージをシェアーするわけでもない。寿のために全てが用意されている、そんなライヴなのだ。初めて見た時にはバックにドラムスとベースがいて、その次に見た時にはパーカッションが二人。が、今回はそのパーカッション二人に加えて、ピアノとゴスペル指向なコーラスが入っている。このコンビネーションが素晴らしい。ナビィとナーグシクヨシミツ(これが寿だ)だけで沖縄民謡を演奏することもあれば、アカペラで歌うこともある。ヴァリエーションも豊富で... っても、そんなことよりなによりはち切れんばかりの笑みを浮かべながら歌うナビィに何かがとりついているような感覚に陥るのだ。それほど一言一言の言葉が胸を突き刺してくる。しかも、それが心地よいのだ。

 とんでもない世界に足を踏み込んでいるように思える。どこかでなにかを突き抜けたようなそんな感覚かなぁ。ともかく、感激した。泣いた。嬉しかった。そして、幸せな気分になった。こんなライヴは久しぶりで、心の底から嬉しかったという感じかな。できれば、みなさん、一度は彼らを体験してもらいたいと思う。そして、できれば、彼らの本、寿魂を読んでもらいたい。なぜ彼らがこんなバンドになったのか、どこから歌が生まれ、成長していくのが、手に取るようにわかるはずです。



投稿者 hanasan : 2007年01月30日 16:35

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