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2007年04月23日
Move Against G8とChe Sudaka
アメリカでの出来事についてもまだご報告できていないというのに、4月19日には東京を離れてローマに飛んだ。25日から始まる恒例のストリート・ビート・フェスティヴァル取材が目的なんだが、それを前にして、その中心的なバンドであるバンダ・バソッティがベルリンで開かれる「Move Against G8」というイヴェントに出演。それを取材するために、21日にベルリンに移動した。宿泊しているのは前回と同じイースト・サイド・ホテルで、そのときのことはここに記している。ホーネッカーとブレジネフが強烈なディープ・キスをしている写真を看板にしているホテルで、そのそばには最後に残された、あの「狂気の壁」がある。昨日、その壁にそって1~2kmを歩いたんだが、この壁のおかげでどれだけの人が殺されたのかを思うと、胸が痛んだ。といっても、それはすでに18年も前のこと。時代は変わるのだ。
ベルリンでは、基本的にはバンダ・バソッティを撮影しただけなんだが、20日から開催されたこれには1日約20バンドが出演。とんでもないパワーのライヴを繰り返していたのが、彼等のショーを見ているだけでもわかるというので、翌日、カメラをホテルにおいて見に出かけた。そして、ここで再び、英語圏以外のバンドのとてつもないパワーに圧倒されることになるのだ。
ここ数年、英米系のロックにほとんど心が動かされたことはなかった。といっても、それは新しいというか、いわゆるロックと呼ばれるものに関してなんだけど、この傾向がどんどん強くなっている。日本で「このバンドがいいんだぁ」と言われて見たバンドって、ほとんどが退屈で、こんなことなら無理をして見に来るんじゃなかったなぁと思うことが多い。
ところが、こうやってヨーロッパに来ると、それぞれのバンドが持っているはじけるような、燃えさかってるようなパワーに圧倒されるのだ。今回のMove Against G8ライヴでも卒倒しそうなバンドに出会ったんだが、その筆頭が最初に見たチェ・スダカ。アルゼンチンのバンドらしく、ライヴのあと、ホテルに戻ってきて、速攻で『Alerta Bihotza』と『Trippie Town』という2枚のアルバムを注文。このバンド、下手をしたらマノ・ネグラ的に売れるかもしれないと思えるほどの盛り上がりだった。
最初は、いわゆるスカ・パンクと思っていたんだけど、聞けば聞くほど奥が深くて、徐々にいろんな音があふれ出てきた。カバーでスティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」をパロったような曲や「レヴォリューション・ロック」のユニークな解釈に、すげぇと思って、そのあと半ばアンコールのような展開で「歌詞が一言の歌」が登場。単純に、Te'quiro mas...と思うんだが、スペイン語で「もっとくれ!」と繰り返すだけの歌とか、オーディエンスののせ方とか、乗りやすさとか、そんな意味で言ったら、こんなにすごいバンドはいないだろうと思う。これはなんとか日本に紹介したいし、絶対に成功すると確信できる。
で、そのあとはタルコというヴェニスのバンド。去年のストリート・ビート・フェスティヴァルのベルガモで見ているんだけど、あのときと違ってサウンドに厚みができてタイトになっている。バンダ・バソッティのフォロワー的な色彩が強かったんだが、今回は違うなぁ。下手をすると、数年後にはその跡を継ぐ、そして、越えるバンドとして認識されているんだろうなぁと思った。
そして、日本に二度ほど来たことがあるバスクのベタガリ。彼等も、日本で見たときや前回、ストリート・ビート・フェスティヴァルで見たときと比べても格段にパワフルになっている。それに見逃したけど、フランスのBrigada Flores Magonに、先日、日本に来ていた、今、バスクで絶大な人気を誇るBerri Txarrakもここにいた。今回のストリート・ビート・フェスティヴァルでも、また新しいそういったバンドに出会うことになるんだろうけど、楽しみで仕方がない。
いずれにせよ、そんなバンドの数々を見ながら思ったのは、連中の音楽の持っている、人を動かすパワー。それに、おそらく、ラテン音楽にどこかで近似値を持つと言われているのが日本の音楽だったり、音階だからなんだろうなぁ、馴染みやすいメロディやリズムに、すぅっと持って行かれてしまうのだ。すごいと思う。しかも、「客が歌いたい言葉」がそこにあるんだろう、多くの人が大声で歌っているのだ。一方で、日本にそんな歌がどれぐらいあるんだろう。僕らには歌える歌がないと、痛切に思ったのがこのMove Against G8だった。
投稿者 hanasan : 2007年04月23日 20:56