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2007年06月30日

Tony Joe WhiteとAmos Garrett : ライヴが良けりゃ、買っちまうよ。

Tony Joe White 4月の16日に渋谷のクラブクアトロで開催されたトニー・ジョー・ホワイトのライヴは良かった。月並みな言い方になるけど、めちゃくちゃ良かったのだ。特に、好きでたまらない名曲、「Rainy Night In Georgia」では、あのレポートでも書いているようにシャッターを切る手が止まって、歌の世界に吸い込まれてしまったほど。写真なんて撮っている場合じゃありません。それほどまでに強力な磁場を彼が作っていたということなんだろうと思う。泣けそうになってしまったもんね。

 だからというんでしょうな、止まらなくなるんですよ。あのアルバムも聴きたい、これも聴きたい... と、レコードというかCDに費やされる金額がどんどんとふくらんでいくんですね。想像できると思うけど、このライヴの直後に買ったのがスタジオ作としては最新となる『Uncovered』(US import / 国内盤)。ぎゃぁ〜、こんなにいいアルバムなの? なんで、発表された直後に買わなかったんだろうと、深く反省したものだ。このアルバムの場合、とんでもない大物のゲストのことばかりが話題になっているようだけど、正直言って、全然関係ありません。トニー・ジョー・ホワイトの存在感と、あの渋〜い声だけで昇天してしまうんですよ。

Tony Joe White と、この作品が良かったから、もっと知りたい! という気持ちが押さえきれずに手を出してしまったのが『Swamp Music : The Complete Monument Recordings』(US import )というボックスセット。初期のアルバムを集めたものなんだけど、これはやばいですよ。いい作品をきちんと紹介し続けるライノのハンドメイドによる限定セットで、オリジナル3枚にボーナス・トラックをてんこ盛りにして、さらに1枚では弾き語りによるヴァージョンが17曲。まだまだじっくりとは聞いていないんだけど、このあたりを聞くとトニー・ジョー・ホワイトが、あの昔からどれほど偉大だったか、簡単にわかってしまうのだ。しかも、写真を見ると、まるでエルヴィスね。彼って、実は裏プレスリーだったのではないかと思うのだ。

Amos Garrett さて、大好きなプロモーターのトムズ・キャビンが「これを聞かずに死ねるか!」というコンセプトの元に、トニー・ジョー・ホワイトに続いて呼んでくれたのがエイモス・ギャレット。これも良かったぁ! 実際、涙が出るほどのギターに声...  結局、大阪で一回、そして、東京で最終公演と2回もライヴを撮影することになったんだが、染みるんだなぁ、これも。というので、うちに埋もれている彼のアルバムを全部ひっくりがえして聞きました。その流れのなかで手を出してしまったのが、傑作の誉れ高い"Geoff Muldaur &Amos Garrett"(紙ジャケット仕様 / 通常盤)。買ったのは、紙ジャケット仕様なんですが、これがねぇ... いいのよ。もちろん、さすが名盤という内容は文句なしなんだけど、それ以上に、素晴らしい紙ジャケットなのね。昔のLPの肌触りや、音楽の暖かみを本気で好きな人が作ってくれたというのが手に取るようにわかるんですな。これも、あれ以来、聞きまくり。

 ということで、ライヴに弱い自分の体質がどんどん出てきている今日この頃。いくら金があっても足りませんなぁ。それでも、こうやって素晴らしい音楽をじっくりと楽しめるんだから、これは嬉しいねぇ。こんないいライヴをきちんと見せてくれるアーティストを、これからも呼んで欲しいと思う。しかも、どこかの金儲けしか頭にないような高級クラブの高額チケットでのライヴじゃなくて、気軽に出かけていけるような値段でいられるようにして欲しいと思うのだ。はっきり言って、新聞広告で見たビルボードとか、ずっとやってるブルーノートとか... そんな場所じゃ、貧乏人にはライヴなんて見られませんよ。音楽を「金持ちの趣味」にするような連中はとっとと消えて欲しいと思うほど。ひょっとすると、こういった人たちこそが音楽のマーケットを潰しているんだと思いますよ。



投稿者 hanasan : 05:43 | コメント (0)

2007年06月28日

Lila Downsに首っ丈

Lila Downs ローマを離れる直前のこと、バンダ・バソッティのマネージャー、ダヴィデが「これ、聞かない?」と手渡してくれたのは、真っ白のCD-Rだった。くれるのかと思えば、そうではなくて聞いてみろという。といっても、こっちは時間がないというので、これが一体何なのかわからず、とりあえずはマックのiTunesに音を吸い込んで、日本に帰ってから初めて聞くことになる。

 さて、一体、この女性は誰なんだろう。スペイン語で歌われているのはわかるし、ボレロやクンビアにレゲエあたりの音も聞こえるし、曲によってはオゾマトリにも近いものもあればちょいとサイケデリックなインド風味の曲もある。最初は「なかなかいいなぁ」と思っていただけなんだが、聞けば聞くほどにその素晴らしさに浸り込んでいった。さすがにスペイン語までは理解できないんだが、わずかばかりは聞き取れる。そのなかで出てきた言葉に「マリワナ・ケ・フメール」(英語で言うと、marihuana to smoke)というのがあって、ほぉ〜、これは毛色が変わっているというか、どこかでオルタナティヴな流れのなかに彼女がいることがわかるのだ。しかも、チェ・ゲバラの名前が出てきたり... といっても、その意味はわからないんだけど。

 ということで、速攻で注文したのが『La Cantina』と、その前作、『Una Sangre (One Blood)』。まずは、後者の『Una Sangre (One Blood)』が到着して、聞き始めたんだが、どんどんはまっていくことになる。どれぐらいはまっているか... それは、やはり最近はまってしまっているhttp://www.lastfm.jp/user/koichihanafusa/
でチェックしてもらえれば一目で理解できるはずだ。『La Cantina』に収められているLa Cumbia Del MoleやAgua De Rosasなんて何度聞いたかわからないほど。とんでもない名曲だと思うし、リピートで聞きたいなんて思ってしまうほどに惚れ込んでしまった。

Lila Downs 何が魅力なのか? さぁて、よくわからない。基本的にラテン的なメロディ、特にちょいと悲しげで物憂げなそれが日本人にアピールするということもあるんだろう。といって、そんな曲ばかりじゃないし、スペイン語と英語ヴァージョンが用意されたLa Cumbia Del Moleでは、クンビアからレゲエに繋がるようなリズムがあり、後半ではかなりヘヴィーなエレキギターのソロも聞こえてくる。カバー曲では、日本でもよく知られている「ラ・バンバ」(ラテンというよりは、ちょっとアフリカ的なルンバにも聞こえてしまうんですけど)や「ラ・クラカーチャ」なんてのが入っているのも嬉しい。

 最近はまりまくっているMySpaceはこちらで、公式サイトもチェックした。ここに影響を受けたアーティストとして上げている人たちがリストアップされているんだが、彼女の音楽を聴いているとその全てがここに詰め込まれているのが嬉しい。ビリー・ホリデーにエラ・フィッツジェラルドからサラ・ヴォーンにニーナ・シモンといったジャズ・ヴォーカルに、ジョン・コルトレーンからミンガスもいるし、ディランからジョニ・ミッチェルにグレイトフル・デッドも見える。ブラジル系ではジョアン・ジルベルトにエリス・レジーナ、セリア・クルーズもいるし、マヌ・チャオからフェラ・クティ... と、自分との接点もいっぱい感じるのだ。おそらく、メキシコの音楽の核にそういった要素が全て詰め込まれた、彼女の音楽は「ワールド・ミュージック」といった閉鎖的で差別的な呼ばれ方ではなく、21世紀のポピュラー音楽なんだろうと思う。

 そういった音楽のスタイルだけではなく、ヴォーカルの持つ説得力が強力なのだ。日本ではまだまだ未知。が、MySpace公式サイトでチェックすると、南米からアメリカ、そして、ヨーロッパと彼女がかなり広範囲な世界で大きな支持を獲得しているのが見て取れる。おそらく、これだって、自分たちが知らないだけのこと。なにせ、日本の音楽メディアなんぞ、アメリカやイギリスの受け売りさえしていればそれでいいのだ。こんなところに興味を持つこともないだろうし、探ろうとも思ってはいないんだろう。実際のところ、メジャー的な見られ方をしている音楽雑誌でさえ、売れている実数なんてわずかなもの。ちっぽけなマーケットを奪い合うビジネスの道具以外の何ものでもない。そんなところから、こんなアーティストの情報が届くわけはないと思っている。なにせ、連中には文化も音楽も全く関係ないんだろう。

 そんな素晴らしいアーティストを伝えてくれたのは今回も友人や仲間たち。結局、『La Cantina』と『Una Sangre (One Blood)』の二枚に始まって、2003年の『La Sandunga』から日本で入手可能な『Tree of Life』と『Border (La Linea) 』まで5枚の作品をわずか一ヶ月でそろえることになってしまった。もし、興味があったら、チェックしてくださいませ。特に、『La Cantina』と『Una Sangre (One Blood)』は両方とも傑作。おそらく、フラコ・ヒメネスがゲストで姿を見せてくれている『La Cantina』は、だまされたと思って聞いて欲しいほどの傑作だと思う。

PS : 今、私のMySpaceにはいると、リラ・ダウンズの曲が聴けるように設定しています。興味があったら、チェックしてくださいな。



投稿者 hanasan : 22:03 | コメント (0)

2007年06月13日

よくわからんが、Lastfmに登録しちまった

http://www.lastfm.jp/user/koichihanafusa/

 というのでこれが、URLなんだが、なんとはなく、試してやろうと思って、ここに登録してみました。なんと、面白い(恐ろしい)ことに自宅のiTunesで再生している音楽のリストがどんどんここに出てくる。まぁ、めちゃくちゃなリストだし、これがどう転んでどうなるのか、全然理解してはいないんだが、これからいろいろと試してみようと思っている。

 ということで、気になる人は見ちゃってください。なんか、他人の自宅を覗き見する感覚に近いと思うけど。あと、もし、知っている人がいたら、教えて欲しいですね、ここでなにができるのか。おもしろ展開の仕方ができれば、どんどん活用したいと持っているし。

 そうそう、MySpaceにも登録してしまいました。

http://www.myspace.com/koichihanafusa

 これも、まだよくわかってはないです。ただ、ここを通して、昔の仲間たちとどんどん連絡が取れて、なかなか楽しい。それに、自分が好きな音楽を聴かせたりもできる... っても、1曲だけなんですけどね。まぁ、興味があったら、覗いてみてくださいな。

投稿者 hanasan : 17:45 | コメント (0)

SXSW効果でCD/DVDセット買いまくり...

Rickie Lee Jones ライヴを見たら、そして、もちろん、それに感激したら、否応なしにもっと聴いてみたいと思う。というので、CDを買ってしまうんだが、マグでいろいろなライヴを取材していると、どんどんCDに費やす金が増えてしまうのだ。なによりも、マグのスタッフは「音楽が大好き」で関わってきた人ばかり。おそらく、スタッフや定期的に寄稿してくれている人たちも同じような状態に陥っていると思うんだが、編集長も同じこと。半端じゃない数のライヴを見て、レポートを書く、あるいは、写真をレポートとして発表する時に、当然ながら、マグの唯一の収入源となっているアフィリエイトのこともあって、amazonでいろいろなアルバムをチェックすることになる。その流れで「ミイラ取りがミイラになる」わけだ。だってねぇ、やっぱ音楽が好きでたまらないんですよ。

 で、その量なんだけど、これが面白いように取材に比例する。例えば、今年取材してきたなかで一気に大量のアーティストを取材することになったのがサウスバイ・サウスウエスト。この時に見たアーティストのアルバムは、かなり買ってしまいましたな。なかでも最も感動したのがリッキー・リー・ジョーンズで、取材を終えてホテルに戻ってから速攻で注文したのがこのライヴの元になったアルバム、『サーモン・オン・エクスポジション・ブルバード 』(US import / UK import with DVD / 国内盤)だった。あの時はまだDVD付きのUS盤が入手可能で、それを注文。自分が手に入れたのは限定盤の番号付きで35000枚のうちの28029番となっている。DVDはマルチ・リージョンで国内用のプレイヤーでも再生可能。アルバム制作の裏側をドキュメントしたこのDVDを見て、このアルバムはいつものリッキー・リー・ジョーンズとは全く違った作品であることが理解できるわけだ。

 もちろん、DVDのおまけが付いていなくても、このアルバムでのリッキー・リー・ジョーンズの迫力がとんでもないことはすぐにわかる。まるで心の奥底をえぐられるような声がサウンドと絡まって聴く者をとらえて離さないのだ。それを「これまでのリッキー・リー・ジョーンズと違うから」と拒絶するようなことを書いている人を見かけたけど、なんか違うなぁと思う。ちょっとジャズっぽいおしゃれな音楽ってイメージが彼女にはあったことは認めるし、それだって好きだけど、ここの彼女はなにかから脱皮してとんでもない世界に足を踏み入れた感じかなぁ。これは傑作だと思うし、あの時のライヴがそれを証明していたように思う。

Kenny Wayne Shepherd リッキー・リー・ジョーンズと同じようにDVD付きだというので入手したのが、ケニー・ウェイン・シェファードの『10 Days Out (Blues from the Backroads) 』。昔からこの人は気に入っていて、"Live On"(国内盤 / US impport / UK import)や"Trouble Is..."(国内盤 / US impport / UK import)でのブルースをベースにしたワイルドなロックが大好きだった。といっても、その後、けっこうつまらないヘヴィー・ロックになったような気がして、ここ数年はチェックはしていなかったんだが、トーキングヘッズのジェリー・ハリソン(プロデューサー)とコンビを組んで、現存するブルース界の巨人たちとのセッションを録音したというのが今回のアルバム。要するに、ケニー・ウェイン・シェファードが自分のルーツに立ち戻って録音したのがこの作品だ。しかも、そのドキュメンタリーをDVDとして加えているというので、当然見たいと思って、これを入手。ぶっ飛ばされるわけですな。なにせ、最高齢のブルーズマンは90何歳? で、「娘を紹介するよ」といわれて出てきたのが72歳の女性だったという笑い話も紹介されている。おそらくは、限られたブルースの世界でしか認識されていない人もここには出てきているんだろうけど、「ブルースって何なんだろう」という疑問にちょっと応えてくれそうな感じかなぁ。このDVDもリージョン・フリーで問題なく見られるから関心のある人はチェックして欲しいと思う。今は、ちょっと値段が上がってしまっているけど...

 ちなみに、サウスバイ・サウスウエストでのライヴはこのアルバムにベースを置いたもので、ブルース・ファンにはたまらない内容だった。残念ながら、DVDで姿を見せているBBキングが登場してくれたら... もっとすごかったと思うけど。その彼が「この若者、なかなかやるじゃないか」なんてことをDVDのドキュメンタリーで語っているのが面白かったなぁ。ずれにせよ、ブルース・ファンでこれを持っていないとなると... ちょっと信じられないなぁ。若造のケニー・ウェイン・シェファードと同じように、自分もブルースが大好きなんだという気持ちを充分シェアーできると思いますよ。

Grace Potter and the Nocturnals でもって、もう一枚DVD付きで手に入れたのが、今年フジ・ロックへの出演が決まっているグレイス・ポッター。最新作の"Nothing But the Water " (US import with DVD / US import / iTunes)のUS import with DVDを入手。この人についてはなにも知らなかったんだけど、今年のフジ・ロックに出演するということに加えて、「絶対に気に入るから」と言われて見に行ったら、なかなかツボをついているというか... アーシーでレイドバックした、土臭いロック。この辺には弱いですなぁ。しかも、このグレイスというお姉さん、ハモンドを弾きながら、ワイルドにロックするんですよ。たまりません。しかも、サウンド・チェックの時も、だいたいできているのにぐだぐだしているスタッフを後目に「どうでもいいわよ、やっちまえ」と演奏を始めてたんですな。かっこいい! というか、男前よ! これは、惚れますって。

 で、このDVDもリージョン・フリーでここには彼女のライヴが収録されています。ライヴ・バンドなんだろうなぁと思う、その魅力がぎっしり。いろんなレヴューでボニー・レイットとの比較が出てくるけど、おそらく、そんな「姉御」になってしまうんだろうなぁと思う。まだまだ若いはずなんだけど、どっかと地に足をつけて演奏しているという感じで、こんな女の子に、間違いなく親父ロック・ファンはころっといかれてしまうんです。まぁ、私なんぞ、その典型かもしれません。もし、少しでも自分のその気があると持ったら、これを試してくださいませ。はまること請け合いですから。特に、今年、フジ・ロックに出かける「親父ロッカー」は、この人を見逃しちゃいけませんよ。絶対に後悔するから。

 ということで、DVD付きの比較的新しいアルバムの話を書きましたが、これ全部買ってしまいました。加えて、サウスバイ・サウスウエスト効果なんでしょう、日本じゃほとんど入手できないと思っていたので現地でミュージシャンから直で買ったのがカサ・デ・チワワアンドリュー・ウィントンの作品。このあたりのアーティストだったら、あまり経費もかからないだろうし、できれば、こういった人をフジ・ロックや朝霧に呼んで欲しいと思いますね。っても、誰にも知られていないアーティストだから、これでチケットが売れるとは思わないけど、一度見たら気に入るのは目に見えてます。じゃなかったら、ライヴやっているそばからアルバムを買ったりはしませんから。

*なお、この原稿はSmashing Magのブログでのコラム音楽中毒のアルバム購入日記と同一内容です。



投稿者 hanasan : 17:07 | コメント (0)

2007年06月02日

Fermin Muguruzaで目が覚めたよ

Fermin Muguruza 4月28日にバンダ・バソッティを中心とした恒例のストリート・ビート・フェスティヴァル最終日をローマで取材。いつものことながら、ここのオーディエンスはぶっ飛んでいて、このあたりはSmashing Magのレポートででも確認していただければ、一目でわかると思う。オーディエンスから生まれるこの熱狂はバンダ・バソッティがどれほどの支持を受けているかの証明だろうし、政治や社会に真正面から向かい合ったこういったバンドがきちんと活動できて、しかも、支持されるという状況を持つイタリアが羨ましい。といっても、それはイタリアだけではなく、「そうではない」日本の方が例外的であり、孤立しているのだということをしっかり認識しなければいけない。日本は明らかに「精神的に貧しい」と思う。それは自分だけの見方ではないはずだ。

 さて、28日のライヴが終わって、彼等の仲間の家で休息の後、早朝に空港に向かって移動。次に目指したのはスペインの地中海岸、ヴァレンシアとバルセローナの真ん中から少し南に下った街、ベニカシムで開催されていたVina Rock Festival(ヴィーニャ・ロック・フェスティヴァル)だった。本当はヴァレンシアに向かうフライトを予約していたんだが、なんと2分遅れでチェックインできず。というので、路頭に迷うところだったんだが、空港でフライトを探しまくってなんとかバルセロナ行きの格安フライトを発見。今回偶然みつけたのがVueling Airlinesという会社なんだけど、なんとかなるものだ。(ちなみに、よく使っているのはバジェットなんだけど、そのフライトはみつからなかった)

 バルセロナからは列車で南下してCastellon(カステジョン)という駅で降りた。バンダ・バソッティやストリート・ビート・フェスティヴァルで仲良くなったマドリッドのバンド、ボイコットなんかと連絡を取って、彼等の仲間が迎えに来てくれることになる。このあたり、仲間のありがたさを痛感することになる。

Fermin Muguruza 会場は列車の窓からちらりと見えたんだが、実際に足を踏み入れてみると、かなりでかいのがわかる。ボイコットのメンバーか、あるいは、フェルミンがパスを用意してくれていたようで、なんとか中には入れたんだが、基本的にスペイン語ばかり。ほかの人たちとあまりコミュニケーションもとれず、なんとか居場所をみつけたという感じかなぁ。とりあえず、英語を話す人たちから聞いた話によると55000人がこの会場に来ていたんだそうな。

 本当は、いろんなバンドを見たかった。一応、下調べをした時点でマヌ・チャオが出ていたことや、再結成したトドス・トゥス・ムエルトスもどこかで演奏していたようだし、ボイコットもフェルミンとあまり違わない時間帯に演奏するはずだったんだが、前日の大雨で大幅にタイムテーブルが変更したんだそうな。なにせ、カステジョンの駅が水浸しになっていたほど。嵐のような天候だったらしい。

 この日は最終日で、主目的はフェルミン・ムグルサ。彼が出演する数時間前に会場入りしたこともあって、ほかのバンドに関してはあまりチェックできなかった。なにせ、どこに荷物を置けばいいのか、預かってくれる場所はあるのかもわからない。旅の途中だということで、全ての荷物を持ってきているので、ほとんど身動きがとれないのだ。

 それでも、聞こえてくる音や歓声、そして、プレス関係者がたむろするテントに設置されているモニターを見ていると、なにやらとんでもない世界が広がっているのがわかる。聞いたことも、見たこともない、日本人にとっては「全く未知」のバンドの演奏に会場が揺れ動いているのがわかる。要するに、我々が無知なのだ。単純な話が「洋楽」というのは、本来の意味で「洋楽」ではなく「英米楽」といってもいいだろう。我々が情報を得ているのはそんなパイプを通してのみなのだ。そんな自分の無知さ加減を実感し、同時に、フェルミンのみならず、そういった「未知のバンド」の衝撃が新しい世界への扉を開いてくれたような気がしたものだ。

 フェルミンは素晴らしかった。彼が登場したのは10時45分ぐらいではなかったかと思うが、いわゆるヘッドライナーの時間。その前には4万人オーディエンスがいたということだ。これは後でわかったことなんだが、まだまだヨーロッパやラテン・アメリカのバンドが英語で歌っていた時、彼は「失われかけていたバスク語」で演奏を始めていた。そのパワーが数多くのバンドを突き動かしたらしい。「なんで英語で歌わなければいけないんだ?自分の言葉でこそ歌うべきじゃないか」と、そんな動きを触発し、シーンが変わっていったというのも理解できる。

 今回、ベルリンでタルコやベタガリに圧倒され、チェ・スダカに鉄槌を下されたようなものだった。そして、いつも通り、バンダ・バソッティのエネルギーに触れ、フェルミンが決定打となったようにも思う。決まり切ったパターで「産業化」された英米のロックに、どこかで欠けていたものを抱えているのがドイツ、イタリア、スペインと旅をして接することになったバンドの数々。どうやら、今回の取材が自分の指向性に大きな変化をもたらしたようだ。あれ以来、英米系の音楽にほとんど魅力を感じることなく、こういった世界の音楽を探し求めだしている。しかも、そんな流の中でどんどんと新しいバンドが耳に入ってくるのだが、それはまた後ほど報告することになるように思う。



投稿者 hanasan : 23:47 | コメント (0)