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2007年06月28日
Lila Downsに首っ丈
ローマを離れる直前のこと、バンダ・バソッティのマネージャー、ダヴィデが「これ、聞かない?」と手渡してくれたのは、真っ白のCD-Rだった。くれるのかと思えば、そうではなくて聞いてみろという。といっても、こっちは時間がないというので、これが一体何なのかわからず、とりあえずはマックのiTunesに音を吸い込んで、日本に帰ってから初めて聞くことになる。
さて、一体、この女性は誰なんだろう。スペイン語で歌われているのはわかるし、ボレロやクンビアにレゲエあたりの音も聞こえるし、曲によってはオゾマトリにも近いものもあればちょいとサイケデリックなインド風味の曲もある。最初は「なかなかいいなぁ」と思っていただけなんだが、聞けば聞くほどにその素晴らしさに浸り込んでいった。さすがにスペイン語までは理解できないんだが、わずかばかりは聞き取れる。そのなかで出てきた言葉に「マリワナ・ケ・フメール」(英語で言うと、marihuana to smoke)というのがあって、ほぉ〜、これは毛色が変わっているというか、どこかでオルタナティヴな流れのなかに彼女がいることがわかるのだ。しかも、チェ・ゲバラの名前が出てきたり... といっても、その意味はわからないんだけど。
ということで、速攻で注文したのが『La Cantina』と、その前作、『Una Sangre (One Blood)』。まずは、後者の『Una Sangre (One Blood)』が到着して、聞き始めたんだが、どんどんはまっていくことになる。どれぐらいはまっているか... それは、やはり最近はまってしまっているhttp://www.lastfm.jp/user/koichihanafusa/
でチェックしてもらえれば一目で理解できるはずだ。『La Cantina』に収められているLa Cumbia Del MoleやAgua De Rosasなんて何度聞いたかわからないほど。とんでもない名曲だと思うし、リピートで聞きたいなんて思ってしまうほどに惚れ込んでしまった。
何が魅力なのか? さぁて、よくわからない。基本的にラテン的なメロディ、特にちょいと悲しげで物憂げなそれが日本人にアピールするということもあるんだろう。といって、そんな曲ばかりじゃないし、スペイン語と英語ヴァージョンが用意されたLa Cumbia Del Moleでは、クンビアからレゲエに繋がるようなリズムがあり、後半ではかなりヘヴィーなエレキギターのソロも聞こえてくる。カバー曲では、日本でもよく知られている「ラ・バンバ」(ラテンというよりは、ちょっとアフリカ的なルンバにも聞こえてしまうんですけど)や「ラ・クラカーチャ」なんてのが入っているのも嬉しい。
最近はまりまくっているMySpaceはこちらで、公式サイトもチェックした。ここに影響を受けたアーティストとして上げている人たちがリストアップされているんだが、彼女の音楽を聴いているとその全てがここに詰め込まれているのが嬉しい。ビリー・ホリデーにエラ・フィッツジェラルドからサラ・ヴォーンにニーナ・シモンといったジャズ・ヴォーカルに、ジョン・コルトレーンからミンガスもいるし、ディランからジョニ・ミッチェルにグレイトフル・デッドも見える。ブラジル系ではジョアン・ジルベルトにエリス・レジーナ、セリア・クルーズもいるし、マヌ・チャオからフェラ・クティ... と、自分との接点もいっぱい感じるのだ。おそらく、メキシコの音楽の核にそういった要素が全て詰め込まれた、彼女の音楽は「ワールド・ミュージック」といった閉鎖的で差別的な呼ばれ方ではなく、21世紀のポピュラー音楽なんだろうと思う。
そういった音楽のスタイルだけではなく、ヴォーカルの持つ説得力が強力なのだ。日本ではまだまだ未知。が、MySpaceや公式サイトでチェックすると、南米からアメリカ、そして、ヨーロッパと彼女がかなり広範囲な世界で大きな支持を獲得しているのが見て取れる。おそらく、これだって、自分たちが知らないだけのこと。なにせ、日本の音楽メディアなんぞ、アメリカやイギリスの受け売りさえしていればそれでいいのだ。こんなところに興味を持つこともないだろうし、探ろうとも思ってはいないんだろう。実際のところ、メジャー的な見られ方をしている音楽雑誌でさえ、売れている実数なんてわずかなもの。ちっぽけなマーケットを奪い合うビジネスの道具以外の何ものでもない。そんなところから、こんなアーティストの情報が届くわけはないと思っている。なにせ、連中には文化も音楽も全く関係ないんだろう。
そんな素晴らしいアーティストを伝えてくれたのは今回も友人や仲間たち。結局、『La Cantina』と『Una Sangre (One Blood)』の二枚に始まって、2003年の『La Sandunga』から日本で入手可能な『Tree of Life』と『Border (La Linea) 』まで5枚の作品をわずか一ヶ月でそろえることになってしまった。もし、興味があったら、チェックしてくださいませ。特に、『La Cantina』と『Una Sangre (One Blood)』は両方とも傑作。おそらく、フラコ・ヒメネスがゲストで姿を見せてくれている『La Cantina』は、だまされたと思って聞いて欲しいほどの傑作だと思う。
PS : 今、私のMySpaceにはいると、リラ・ダウンズの曲が聴けるように設定しています。興味があったら、チェックしてくださいな。
投稿者 hanasan : 2007年06月28日 22:03