« 辺野古から復帰後最大の県民大会へ | メイン | そりゃぁ、ないだろう、ひばりさん! »
2007年10月16日
Sayonara...ナンシー梅木様
すでに他界されてからずいぶん過ぎてしまったんだが、それがきっかけでこのアルバム、『ナンシー梅木 アーリー・デイズ1950~1954』を購入した。以前から彼女のことは気になっていたんだが、自分のなかでのナンシー梅木とは、マーロン・ブランド主演の名作映画、『Sayonara』に登場する人物。なんとかという女優がアカデミー賞にノミネートされたとき、日本人で最初にオスカーを取った女優として彼女の名前が出てきたこともあったんだが、実は、この映画を初めて見たとき、そんなことは全く知らなかった。幾度も繰り返して見てしまう大好きな映画なんだが、そういったことは自分にとって全く眼中になかったんだろう。それよりも、自分の友人の両親が、おそらく、この映画で描かれている「異端の恋」の現場にいたんだろうと想像できたことの方が興味深かったというのが正しい。(この当時、映画の舞台になっている朝鮮戦争時代、米兵は日本人女性と結婚してはいけないという法律があったんだとか)
そんな映画のなかで重要な役割をしている彼女が、実は素晴らしいジャズ・ヴォーカリストだと知ったのは、ずいぶんと後のことになるんだが、そのことは以前ここで書いたように思う。横浜桜木町駅近く、大好きなジャズ・バー、パパ・ジョンを久しぶりに訪ねたときに流されていたのが彼女のアルバム、今ではすでに入手不可能な『ナンシー梅木・シングズ・アメリカン・ソングズ・イン・ジャパニーズ』で... その時は主に映画のことを書いていたと思う。
まぁ、あの映画にはまったきっかけはというと、元々は細野晴臣の『泰安洋行』だと思う。そのアルバムが2作目となる彼のエキゾチカ・シリーズを経由して、知ったのがマーティン・デニーで、最初に買ったのが『ベリー・ベスト・オブ・マーティン・デニー』。このなかに細野晴臣がカバーしていた名曲「Japanese Farewell Song (Sayonara)」のオリジナルが入っていて、そこから映画をみつけていくのだ。(ちなみに、今、マーティン・デニーのことを調べていたら、同一ジャケットで、本当はオリジナルのデビュー作『エキゾティカ』が紙ジャケットで再発売されているのを発見してしまった。こっちには「Japanese Farewell Song (Sayonara)」は入っていないのだが、24曲入りと数が多いなぁと思っていたら、モノとステレオ・ヴァージョンが収録されているので、実質12曲入りですが、やばい! 買ってしまいそうだぁ!)
さて、そんなプロセスを経て話を振り出しに戻すんだが、『ナンシー梅木 アーリー・デイズ1950~1954』が実にいいのだ。昔懐かしいほんわかとしたジャズ。大昔のハリウッド映画を思い出すような感覚で、しかも、ジャズといえば、未だに英語で歌う人ばかりなんだが、日本語で歌っている曲も多い。その言葉の素晴らしさや奥深さにはまりまくったという感じかなぁ。それに、映画で見る野暮ったいイメージとは全く違って、かなりセクシーで大人の女を感じさせる声に入ってしまうのだ。声だけ聴いていると、主人公の絵に描いたように美しい女性のそれを感じさせるなぁ。加えて、これほどオリジナルなタッチを持った人って、それほど多くはいないと思うのだ。というか、キャッチ・コピーによると日本で初めてのジャズ・シンガーだったといった言葉も並べられていて、他の作品をもっと聞きたくなっているというところかしら。と思っていたら、このアルバムの『ナンシー梅木 アーリー・デイズ1950~1954[Delux Edition]』というのが出てくるんだそうな。悔しいなぁ、こうゆうの。
まぁ、こうやって深みにはまっていくんだろうなぁ。調べたら、ビクターからはかなり広範囲の時代をまとめた『シング・シング・シング~昭和のジャズ・ソング名唱選』といったものがでているし、コロンビアからは『日本のジャズ・ソング~戦前篇・栄光のコロムビアジャズミュージシャン』というシリーズが、けっこう低価格で昨年暮れに発表されたようだ。うずうずと「聴きたい!」という気持ちになっているのがおかしい。このあたりといえば、最近ちょいと騒がれている服部良一の作品でもチェックできるはずななんですけどね。集大成的なものとして自分が持っているのは、やはりコロンビアの『僕の音楽人生』という3枚組やビクターからでている『東京の屋根の下~僕の音楽人生1948~1954』という2枚組。おそらく、この2作品でほとんどのジャズ・ソングはカバーできるのではないかと思うけど、今年は彼の生誕100周年ということで、トリビュートは作られるわ、再発が続くわ... どれを買えばいいのか、頭を抱えてしまいますけどね。『服部良一生誕100周年記念企画 ハットリ・ジャズ&ジャイブ』なんてジャケットもかっこいいし、『服部良一生誕100周年記念企画 僕の音楽人生』は、自分が持っているものを値段を下げて再発売しているのかなぁ... これもちょっと悔しいなぁ... と思ってみたり。(いや、いいんだ、少ない金でいろな人が彼の音楽を楽しめるのであれば)
このあたりの日本語のジャズといえば、ディック・ミネの『ジャズ・ヴォーカル』というのがあったんだが、すでに廃盤のようで見つけられなかった。名作なのになぁ。まぁ、なにか大きなきっかけでもない限り、こんなアルバムだしてくれないんだろうなぁと思う。今回のナンシー梅木みたいに死んでしまったら、アルバムも出るんだろうし、『ナンシー梅木 アーリー・デイズ1950~1954[Delux Edition]』が発表されたものそれが理由だろう。死をきっかけにこういった素晴らしいアーティストを見つけてしまうって、なんか悲しいなぁと思うのであります。
Sayonara、さよなら、ナンシーさん。ずっと前に知っていたら、会いに行ってお話を伺いたかったと思います。ご冥福をお祈りします。
投稿者 hanasan : 2007年10月16日 19:27