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2008年01月07日

Banda Bassotti、ニュー・アルバムとカメラの歴史

Banda Bassotti 初めて手にした一眼レフは80年代初めに買ったNikon FEで、その頃から少しずつ写真を撮り始めていった。といっても、なんの知識もなかったのだが、少しずつ勉強を初めて、フリーのジャーナリストとして取材を始めた80年代半ば頃から、原稿を補足するものとして写真を撮っている。当時、自分が写真家だといった意識はなかったんだが、カメラを手にしているだけで「写真家」と呼ばれるようになり... 一時は気恥ずかしかったりもしたんだが、結局、フリーランスのジャーナリストで写真家だと名乗るようになっていた。当然ながら、写真家として、特にライヴを撮影するのに必要なレンズも買いそろえつつ、活動を続けて、今では作らなくなった名刺の肩書きとしてfreelance journalist and photographerと記していたのだ。

 銀塩のカメラについては、結局、FEとFE2の2台で撮影することが多く、後に、FE2の方がダメになって、ほとんど同じようなマニュアル・タイプのFMを買ったり、一応、オート・フォーカスのカメラも必要だと思ってF401からF80へと買い換えたのだが、結局、フィルム代に現像代でとんでもなく金がかかるということから、デジタルへ移行していくことになる。一方で、インターネットのメディアとしての重要性を感じ始めたのが97年頃。当時はまだ20万画素という、今でいえば、おもちゃのようなデジカメを持って撮影するようになっていた。とはいっても、そんなカメラでまともな写真が撮れるわけもなく.... 数十枚に一枚が使えるかなぁという程度でしかなかった時代だ。作品として、世に出せるものは皆無に等しいのだが、少なくともネットで誰の拘束も受けることなく自由に情報を発信できることの方が重要で、このあたりからデジタルにのめり込んでいくことになる。

 そんな流れの中でやっと、ごまかしながらも「写真」として使えるかもしれないと思える撮影ができるようになったのがオリンパスのE10というカメラが発売された頃だった。これが2000年10月で、価格は20万円前後ではなかったかと思う。このカメラで撮影したのが右上の写真。ISO(フィルムの感度に匹敵するもので、これが高ければ高いほど暗いところで撮影ができるというもの)の最大は320でF値は... すでに覚えてはいないんだが、今調べたらF2.0-2.4となっている。これはレンズの明るさのことで、この数字が小さければ小さいほどたくさん光が本体に入ってくる。だから、高いレンズはF値が小さくて、現在でもズームで最も明るいレンズがF2.8となっているからこの数字はけっして悪くはない。とはいっても、はっきり言って、ライヴの撮影となると最低でもISO800ほどでないとまともな撮影はできない。だというのに、まだまだ原始的な一眼レフ・デジカメとも言えるE10で撮影したこの写真をA全という巨大なポスターとして使ってくれたのがローマのバンド、おそらく、ここ10年で自分が最も惚れ込んでいるバンダ・バソッティだった。

Banda Bassotti それがどれほど自分を奮い立たせてくれたか... ライターとしての自分を認めてくれた人は、いろんなところで出会ってはいたし、どこかで「他の誰にもできない仕事をしてきた」という自負や自信を持っていた。が、写真は全く別もので、バンダ・バソッティがこれを使ってくれたことで、写真に対するアプローチが大きく変わっていくことになる。なにせ、彼らはライターとしてばかりではなく、写真家としても自分を評価してくれたのだ。しかも、このポスターがイタリア中に貼られたのだから、その喜びは格別だった。さらに、その翌年から「経費は出すから、イタリアに来てくれ」と依頼されるようになる。オフィシャル写真家としての仕事の始まりだ。おそらく、写真に本気で取り組みようになったのはこの頃からではなかったかと思う。

 E10の後に手にしたのは、すでに生産中止になっているニコンのD100。あれが出たときには「やっとまともにデジタルで銀塩に近い写真」をとれるようになったと思っていた。当然のように、それが大間違いであることは、その後継機として発表されたD200を手にした時点で明らかになるのだが、いずれも発売当時は25万円前後もするこれを購入し、よりよい写真を撮るためにレンズもそろえていった。特に気に入っているのはNikon AF-S VR ズームニッコール ED 70-200mm F2.8Gで、これはかなり高価なのだが、髪の毛一本一本まで実にシャープに撮らせてくれる。気に入っている写真の多くはほとんどこれで撮影されているといってもいいだろう。

 実をいえば、この左上の写真はそのコンビネーションで撮影したもので、今回、新しいアルバムの録音を終えたバンダ・バソッティがジャケットに使用したいと連絡してきたもの。実際にそうなるのかどうか、現時点ではわからないし、気が変わることだってあって当然だから、結果は待つしかないんだが、これも嬉しかった。ちなみに、新曲は彼らのMy Spaceでチェックできるので、気になる方は飛んでみてください。

 いずれにせよ、D200と、その後に手に入れたNikon D80が撮影の主役となり、Nikon AF-S VR ズームニッコール ED 70-200mm F2.8Gの他に、広角系のNikon Ai AF-S ズームニッコール ED 17-35mm F2.8Dに標準ズームのNikon Ai AF-S ズームニッコール ED 28-70mm F2.8Dとそろえていった。さらに、簡易取材のためにNikon AF-S DX VR ズームニッコール ED18-200mm F3.5-5.6Gや、クオリティにそれほど大きな違いがないというので、トキナーの超広角ズームも手に入れている。デジタル・カメラの場合、レンズを交換するとゴミが入って写真が使い物にならなくなる。特にダストだらけのライヴ会場ではなおさらで、どうしてもズーム・レンズが主役になってしまうのだ。

 よくぞここまで金をかけたと思うのだが、いい写真を撮影するために金は惜しんではいられないし、どんどん撮影しなければいけないと常々思っている。特にデジタルの場合はシャッターを押した直後に「絵を確認」できることから、撮影している現場で設定の確認からカメラ本体の露出計などの不具合なり癖が簡単にわかるのだ。特に、さまざまな方向から光が飛び出してくるステージ写真についていえば、カメラの露出計なんぞ当てにしていられない。なによりも経験と勘と「音楽を聴く」ことが要求される。だから、最初の数枚でそのあたりの修正をすることが多々ある。

 加えて、リズムとミュージシャンの癖や動きのタイミングなどを全て見ていないと「音楽が聞こえる」写真が撮れないのはいうまでもない。なによりも、自分が撮影するときに心がけるのは「写真から音楽が聞こえる」こと。そうでなければ、ただなにかが映っているだけのデータの集まりになる。記事を書くためのデータであれば、それでいい。が、作品としての写真はそんなものであってはならないと思うのだ。

Nikon D3 もっといい写真を撮りたい。と、思う。もっともっとヴィヴィッドに音楽を伝え、歌が聞こえてくる、そんな写真を撮りたい。だからなんだろう、新しいカメラが出るとない袖を振ってまた清水寺から飛び降りてしまうのだ。今回もそれだった。大嫌いなローンで手に入れたのは、おそらく、デジタル一眼レフの革命とも呼べるNikon D3。やっと銀塩写真に近づけた名機を購入してしまうことになる。amazonで購入してポイント還元を考えれば52万円という値段になるし、三ヶ月のクレジット・カードの保障も付くということで一瞬考えたんだが、さすがにこの金額を一気に口座から引き落とせる余裕なんぞない。それに、1月中旬にはマックのラップトップの新モデルが登場してくるはず。すでに年代物となっているパワーマックG4はがたが来ていて、旅での仕事を考えるとどうしても購入しなければいけないというので、こうせざるを得なかった。

 が、友人の写真家たちに「絶対に後悔しない」といわれた通り。とんでもない代物だと思う。デジタル一眼レフの革命といってもいいだろうと思えるほどで、クオリティとして考えれば銀塩に限りなく近いと思う。というか、すでに銀塩とデジタルを比較することが間違っていると思うのだが、これはものすごいカメラだ。やっと「写真家」の一眼レフ・デジカメができあがったと断言してもいい。もちろん、デジタルの進化はすさまじく、おそらく、数年もたてば新しい機種が出てくるのだろう。そして、そのときにまた驚かされることになるはずだ。が、D2Xといった旧機種との違いは歴然で、はっきり言って比較する意味もないほどの進化を遂げている。ISO6400でもノイズはなく、絵のシャープさは格別。実は、これを買うか、30万円以上安いD300を購入するか、かなり悩んだのだが、これで正解だったんだろうと思う。実際に、D300に触れて撮影したわけではないので軽はずみなことは言えないし、これもD200とは比較できないほどに進化したと聞いている。ひょとして、すでに18万円ちょっとで購入可能なD300でも十分な仕事はしてくれるかもしれないんだが、Nikon D3を手にしての満足感は格別だ。逆に、おそらく、今度は自分が試されるんだと思う。こんないいカメラでまともな写真を撮れなかったら、写真家だなんて言えませんから。

 ちなみに、CFカード2枚が入るこのNikon D3に合わせて大容量のカードを買ったんだが、これは最近けっこう使っているValue landという店で手に入れた。なんと16GBのCFカードでトランセンドの133倍速というものが17000円ほど。この店の値段はいつもかなり安くて、タイム・バーゲンでときおりとんでもなく安い値段で限定販売してくれるのをつかむのが正解だと思うけど、今回はそれを待てなくて購入だ。

 本当は、実際に使えるかどうか不安だったんだが、今のところ問題はなし。これと、以前買った8GBのものを使えばデータ・カードを交換しなくてもライヴの撮影ができる。転送スピードに若干の心配もあるんだが、これよりは低速のはずの8GBのものもで撮影するときに一切ストレスを感じたことはない。加えて、それほど容量が大きいと、カードが痛んだ時に失う写真の量が多すぎるからと敬遠する人もいるんだが、これまでのところ、CFカードでそんな経験はない。実を言えば、SDカードを使うNikon D80で一度経験しているんだが、あのカメラはサブとして使っているので、それほど大きな損失感はなかった。(もちろん、悔しい思いはしてますけど。去年の暮れにソウル・フラワー・ユニオンを撮影したときにデータが壊れて、写真が使い物にならなかったのですよ。)ちなみに、そのとき、Nikon D80をサービス・センターで修理しているんだが、原因は不明。使用したデータ・カードも持参して全てチェックしてくれたのだが、症状が出なくて、関係する部品を全て無料で交換してくれた。だから、今も若干不安が残るのだが、修理完了以来、同じ症状は出ていない。

 と、写真家というのは実に金がかかる。それなのに、まともなギャラを出さない連中の多いこと。去年も某大手出版社の雑誌が写真を使わせて欲しいと打診してきたんだが、あまりに人をバカにした値段なので、お断りした。欧米のメディアでは写真に対して十分に報酬を出してくれるのに、日本では写真に対する評価があまりに低すぎる。デジタルだから「フィルム代も現像代もかからない」というのが理由らしいが、そりゃぁ、あ〜た、世間を知らなすぎる。そんな連中にまともな編集意識が宿っているのかどうか、実に疑問なのですよ。


投稿者 hanasan : 2008年01月07日 16:06

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