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2008年09月03日

Lila Downsの新譜で再び彼女の懐の広さに驚かされる

Lila Downs 昨年6月にここで初めてこのメキシコ人女性、リラ・ダウンズに触れている。そのときの原稿はここで確認できるのだが、あれ以来、すでに発表されてる彼女のアルバム5枚を全て購入。幾度となく聴いてきた。これも、先日書いたジャスティン・ノヅカ同様、自分のLast FMのアカウントで確認できるのだが、ここ1年で最もよく聞いているのが彼女であり、なかでも最もはまることになったのが2年前に発表された『La Cantina』。特にちょっとレゲエの影響をうけた「Agua De Rosas(Water from Roses)」や「La Cumbia del Mole」が大好きで、もし、チャンスがあったら、聴いてみてくださいな。以前は彼女のMySpaceで試聴ができたんだが、現在は2年ぶりに新しいアルバム、『Shake Away』が発表されたこともあり、その収録曲を中心に構成されていて無理のよう。でも、iTunesに飛べばさわりぐらいは聴くことができる。

 2年ぶりに新しいアルバムが発表されると聞いて即座に注文していた『Shake Away』が今日届けられたんだが、それが待てなくて買ったのがiTunesで発表されていた『Live Session』の4曲入りEP。ここでまたまた彼女に驚かされることになるのだ。その1曲が「I Would Never」。どこかで聴いたことがあるなぁ... と、いろいろと思いを巡らしたり... っても、簡単には思い出せない。というので、すでに3万曲以上をため込んでいる自分のiTunesのリストを検索して出てきたのがグラズゴーのバンド、ブルー・ナイル。20年でアルバムを4枚しか発表していないという彼らが8年ぶりの新作として2006年に発表した最新作『High』に収録されている曲だというのがわかった。彼女のMySpaceには影響を受けたアーティストとして、ジャズからロック、レゲエからブラジルなどといった、ありとあらゆるジャンルの(そもそもそんなの全然関係ないんですけどね)巨人達の名前が出ているんだが、その彼女がスコットランドのカルト的なバンドとつながるとは... 思いもよらなかった。ところが、アコーディオンもバックに、どこかでラテン的なニュアンスを感じさせながら、素晴らしいヴァージョンに仕上げている。そんなライヴを楽しむことができるのがこの『Live Session』。チェックしてみる価値は充分あると思いますよ。

Woody Guthrie その『Live Session』に収録されている曲で、もうひとつ気になったのがウッディ・ガスリーの名曲メドレー、「Pastures of Plenty / This Land Is Your Land」。よくチェックしてみると、2001年に発表された2枚目のアルバム、『Border』にも収録されているんだが、これも素晴らしい。アカペラで始まり、緩やかなレゲエタッチのリズムで歌われるのが彼女のヴァージョン。その力強い彼女の歌声が、そして、この曲を取り上げているあたり彼女の姿勢に共鳴するものを感じるのだ。

 バイオによると、スコットランド人の左翼活動家の父親とメキシコ人女性の間に生まれたというのがリラ。(オッと、これがブルー・ナイルとの接点かなぁ?)ミネソタの山奥で育ったというのだが、その後、ヒッピーの仲間達と歌い出したとある。といっても、MySpaceでちょろっと書かれているだけなので、想像するしかないんだが、そういった背景からこういった曲のセレクションが生まれてきたのだろう。そのせいもあって、ひさびさに埃にまみれたウッディ・ガスリーのアルバムを引っ張り出して聞いてみたり... ちなみに、今回ここに見せているのは70年代初期に発表されたもので、『The Greatest Songs of Woody Guthrie』というアルバムなんだが、ウッディのアルバムを検索していて気になったのが99年に発表されたボックス・セットの『The Asch Recordings, Vol. 1-4』。そこには名曲「This Land Is My Land」の歌詞違いのヴァージョンが入っているらしい。かつて発表されなかったものらしく、これについては、以前どこかで読んだことがあって、今度じっくりと調べてみようと思う。

 それはさておき、リラ・ダウンズの新しいアルバム、『Shake Away』が素晴らしい。アルバムを出す度に、前作を上回る傑作を作るのはけっして簡単なことではないんだが、この人はどんどん進化しているように思えるのだ。おそらく、話題になるのは前述のカバー、ブルー・ナイルの「I Would Never」が収録されていることや、サンタナで大ヒットした「Black magic Woman」が入っていることだろうと思う。いうまでもなく、『Abraxas(邦題 : 天の守護神)』からカットされて大ヒットを記録した曲で、オリジナルはフリートウッド・マックの『English Rose邦題 : 英吉利の薔薇)』。まるでマリアッチに登場するようなトランペットなんかも入れられたリラ・ダウンズのヴァージョンは、あの名曲に全く違ったアングルから新しい命を吹き込んでいるようで、これには驚かされた。それに、シンガー&ソングライター、ルシンダ・ウイリアムスのカバーも入っていて... とはいいながら、彼女のことはずっと気になってはいたんだが、まだ聴いたことはない。というので、ルシンダのMySpaceで、音楽を聴いてまた散財しそうになっている自分がいます。(笑)

 そういった「話題」になるカバーがいいのはもちろんなんだが、同時にオリジナルも素晴らしい。ソウル系のアーティスト、ラウル・ミドンからフォルクローレの巨人、メルセデス・ソーサに、メキシコのカフェ・タクーバといったそうそうたるメンツをゲストにメキシコのルーツに立ちながらもアフリカ音楽からロックンロールやソウルにファンクやジャズにアイリッシュ音楽など、その全てを飲み込んで身体の中に吸収している彼女の音楽性は驚異的としかいいようがないのです。完全に脱帽。まだ、うちに届いて数時間で、繰り返して2度聴いただけなんだけど、彼女の音楽の背後にはとてつもない世界が広がっているのがよくわかる。とんでもないアルバムを作りましたな。


投稿者 hanasan : 15:51 | コメント (0)