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2009年07月11日

旅で出会うミュージシャンたち

Dana Leong 面白いことに、旅をすると、必ず、面白いミュージシャンたちに出会う... って、考えてみれば、当たり前。なにせ、旅の目的はいつだって音楽なのだ。だから、いろいろな流れでさまざまなミュージシャンたちにで出会うんだが、どこかで誰かとつながっていたり... というのが、面白いのだ。

 その典型がDana Leong(ダナ・レオン)じゃないかと思う。この4月のアメリカへの旅の目的が、ここ数年、完全に惚れ込んでいるリラ・ダウンズの取材だったんだが、そのバック・ミュージシャンで唯一の東洋系が彼だった。なんでも日本人と中国系アメリカ人とのハーフらしい。彼に「この取材のあと、シカゴに行くんだよね。バスクのバンドで、友人たちがレコーディングしているから」と言うと、彼が「ひょとして、フェルミン・ムグルサって、知ってる?」と返してくるのだ。こちらからしたら、なんでメキシコ系のミュージシャンの取材で、いきなりバスクが出てくるのかと思ったら、彼がフェルミンの新しいアルバムで演奏しているというんだが、おそらく、それが『アスマティック・ライオン・サウンド・システマ』なんだろう。そんなプロセスで受け取ったのがダナ・レオンのアルバム、『Anthems Of Life 』だった。

 基本的には、本人曰く、ヒップホップ・ジャズということなんだが、90年代のジャズ・ラップを進化させたものと考えるのが正しいのかなぁ。一方で、トロンボーンよりもチェロの奏者だという情報もあって、そういったクラシック的なエッセンスに、レゲエ的なものも感じさせるのがなかなか面白い秀作だ。

 振り返れば、リラ・ダウンズを知ったのはバンダ・バソッティのマネージャーがくれたコピーがきっかけで、いうまでもなく、彼らと最もタイトに繋がっているアーティストがバスクのフェルミンだ。そのフェルミンと一緒に演奏している人間とこうやってヨーロッパから遙かに海を隔てたアメリカで繋がってしまうのが面白いのだ。

 もちろん、なんの拍子にバスクが出てきたかというと、ベリ・チャラックがレコーディングしているシカゴに向かうことを彼に伝えたこと。いうまでもなく、「バスクのメタル系で....」というところで、そんな話しに繋がったわけだ。

Majors Junction さて、シカゴに到着してメトロで最寄りの駅からスタジオに行くと、メンバーがいない。なんでも「カントリー・バンド」を見るというので、タクシーに乗って指示された場所に向かったんだが、なにやら廃墟のような場所にぽつんとあるバーがその会場。入場料は無料で「気持ち」だけでいいというのが嬉しい。といっても、その時点で誰もいなかったんだが、ドアを開けると目の前にカウンターがあって、その部屋のコーナーでドラムスのセッティングしている人物がいる。奥を覗くともっと広い劇場のようなスペースがあるんだが、そっちではなく、ちっぽけなバーそのものでライヴが始まるようだ。

 それから30分ほども待っただろうか。ベリ・チャラックの連中も到着して人も増えてきた頃に彼らの演奏が始まった。素人にしてはいいなぁ... なんて思いながら、演奏を楽しみ、その後、ドラマーと話をしたんだが、その時に受け取ったのが彼ら、マイナー・ジャンクションというバンドのアルバム、『Confluence』だった。これを聞いたのは帰国してからなんだが、これには驚かされた。といっても、最初に驚かされたのは音楽ではなく、CDが黒く、まるでアナログのようだったこと。っても、表がそれだというのは珍しくない。おそらく、誰もが一度はお目にかかったことがあると思うんだが、アナログ好きがよくやるのがそれ風のデザインで、これもそのひとつと思っていた。表はまるで45回転のシングル盤で、ご丁寧に溝まである。が、それをひっくり返しても、真っ黒。ん? これ、ホントにCD? と思ったのは、数年前、友人のスカフレイムスが『Realstep』というアルバムを思い出したからだ。この初期プレスでおまけとなっていたのが、なんと5インチの33回転。常識ではあり得ないことをやってのけた彼らには脱帽ですが、まさかこれもアナログじゃないよなぁ... と、おそるおそるCDプレイヤーに入れてみるときちんと再生するのです。mixiの友人たちによると、「黒いCDなら見たことがあるよ」ということなので、今振り返ると、そんなに驚くことじゃなかったのかなぁと思うけど、私には初体験なのです。

Majors Junction ちなみに、これがその中身の写真。どう見てもアナログでしょ? その趣味からも想像できるかと思うけど、彼らの音楽もアナログ... というか、基本的にはカントリー・ベースのオーガニックな音楽で、実をいうと、私、こういったのが好きなんですね。なかにはちょっとスイングするジャズっぽいタッチの曲も入っているし、初っぱなの曲なんぞ、いわゆるカントリー・ロックです。彼らのライヴを見たときには、もっともっとレイドバックしたカントリー系という感じだったけど、ジョニー・キャッシュあたりが大好きなんだろうなぁというのがよくわかる。実をいえば、帰宅してから彼らのことを調べてみると、どこかのフェスティヴァルでは、私の敬愛するデヴィッド・グリスマンの直前にステージに立つなど、かなり知られているような感じ。あのバーでは近所のアマチュアかと思ったんだけど、そうじゃなかったようです。

Maps And Atlases でもって、ベリ・チャラックがレコーディングしていたスタジオで、やはりレコーディングしていたのが地元のバンド、Maps And Atlasesで、彼らから直接受け取ったのがこの『You + Me + Mountain』というアルバムだった。

 この時、スタジオのなかでの彼らの作業を見学させてもらったんだけど、これが珍妙だった。なんとテープのスピードを落として、ドラマーがかなりのスピードで演奏しているのだ。「なんじゃらほい?」と不思議な顔をしている自分を彼らがニコニコしながら見ている。そりゃ、当然だろう。でも、それがなぜかわかったのは、このアルバムを聴いてから。なにやらどこかで、XTCを思わせるような変態ポップス的バンドが彼らで、これががなかなか面白い。彼らのMy Spaceから、「アルバム聞いたよ」とその旨を伝えてメールしたとき、「おそらく、ジョン・ピールが生きていたら、番組で流したともうよ」書くと、「そりゃぁ、嬉しい」といったレスが返ってきた。彼らが新しい作品を発表したら、きちんと聞いてみたいと思う。いやぁ、旅は本当に楽しい。



投稿者 hanasan : 02:32 | コメント (0)