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2009年09月11日

Benard Ighnerも到着。

Benard Ighner 結局、入手が難しかったと思ったBenard Ighner(ベナード・アイグナー)のアナログをSound FInerで見つけて、約3500円で購入。1978年に発表されたアナログのサンプル盤で、このサイトと契約でもしているんだろう、神保町の店から送られてきたところをみると、あのあたりの大手出版社の音楽担当が処分したものではないかと想像する。

 いつも通り、このアナログからデジタル化をして、iPodでも聞けるようにしているんだが、まだまだ聞き込んでいるわけではない。最初の印象は... 彼そのものよりもバックのミュージシャンやアレンジが素晴らしいということ。70年代の日本のミュージシャンたちがいい仕事をしていたことに改めて驚かされることになる。ストリングスのアレンジも豪華で、特に光るのは渡辺香津美のギターかなぁ。まだこの時点では若手ジャズ・ギタリストと呼ばれていたんじゃなかったかと思うが、同時に、ぐんぐんと頭角を現していた頃でもあったんだろう。曲によって、おそらく、彼が影響を受けたであろうギタリストの名前が頭に浮かぶのが面白い。

 ベナード・アイグナーについてはいろいろと調べたんだが、この話をtwitterやfacebookに書くと仲間からいろいろな情報が寄せられてくるのが嬉しい。そんななかで面白かったのが池上比沙之のThings what I feelに書かれてあった逸話。自分は存じ上げないんだが、友人の音楽評論家の先輩のような方らしく、「そうかぁ、そんな話があったんだ」と面白く読ませていただいた。

小坂忠 いい時代だったんだなぁと思う。それぞれの時代に素晴らしい音楽は無限にあるんだが、若かったからかなぁ、自分の中で音楽が最もヴィヴィッドに響いたのは70年代だった。そのきっかけになったのは、単純なエンタテインメントだった歌謡曲や芸能とは一線を画した「ロック」や「フォーク」の出現で、それに触れることになったのが60年代の終わりから70年代の始め。それがジャズやソウルあたりに広がっていったのが70年代の半じゃなかったかと思う。振り返ってみれば、70年代半ばにソウルを意識し始めたのが大好きだったはっぴぃえんどの周辺で、小坂忠の『ほうろう』や吉田美奈子の『Minako』はその典型的な作品なのかもしれない。しばらく前に小坂忠のボックス・セット、『Chu’s Garden』というのを買ったんだが、このセットを買う動機となったDVDに収録された75年のライヴでこの二人がティンパンアレーをバックに歌っているのがソウルなんだということを改めて実感することになったものだ。

 そして、そんな彼らのソウル指向を証明する素晴らしい演奏を記録しているのが、『The Best In The First Degree』。フィリー・ソウルを代表するスリー・ディグリーズのベスト・アルバムなんだが、これは日本編終盤。ここに細野晴臣、松本隆、鈴木茂、矢野誠、林立夫をバックに録音した「Midnight Train」という曲が入っていて、これがいいのです。一方で、彼女たちが日本語で歌う「にがい涙」は.. 微妙におかしく、和田アキ子系なのが面白いんですけどね。ちなみに、その曲も含めて、3曲でクレジットされている深町純もいい仕事をしているなぁと思う。

 ソウルからジャズ・フュージョンの時代だなぁ。岡山でプロモーターをしていたときにブルースを期待して、今は亡き塩次伸二率いるグループのライヴを企画したとき、飛び出してきた音が全く違うのに驚かされたことがある。そのときには全く知らなかったリー・リトナーからラリー・カールトンあたりを意識していたんだろう、完全なフュージョンで、すごく新鮮だったのを覚えている。そうだねぇ、そういう時代だったんだなぁ。その頃だなぁ、クルセダーズにスタッフに... と、どんどん聴く音楽が広がっていったのは。

 なんだろうねぇ、たった1曲からいろいろなことが思い出され、いろいろなことを見直すことができる。音楽ってぇのは、ホントに面白い。とは言いながら、ベナード・アイグナーのアナログお越しで、ついでにやっちまえと手を付けたのは日本のフォーク系。おかげで、このところ、いとうたかおから武部行正に斉藤哲夫あたりを聴いているという、珍妙な流れが出てきたのが、また、おかしいんですが。



投稿者 hanasan : 00:58 | コメント (0)

2009年09月07日

Quincy Jonesなど到着

Quincy Jones 前回書いた名曲、"Everything Must Change"のオリジナルをチェックしたくて、クインシー・ジョーンズの『Body Heat』(国内盤 / US import)を買ったんだが、購入したのはUS import。安易に生産されたアメリカ盤を買うとよくあることなんだが、当然、ブックレットはなくて、ミュージシャンのクレジットなど一切記載されてはいない。こうゆうの、とっても頭に来る。例えば、ベースがいいなぁとかヴォーカルが素晴らしいと思っても、誰がやっているのか全然わからないし、結局はネットで調べることになってしまうのだ。特に、こういったプロジェクト的なアルバムの場合、フィーチャーされているミュージシャンやヴォーカリストなどの重要性が高いわけで、それを知りたいがために、データのダウンロードではなく、CDを購入するわけだ。こんなことだったら、国内盤を買えば良かったと後悔している。特にこの作品の場合、国内盤と輸入盤の値段の差はわずかだったから、実に悔しい。っても、ネットで購入すると、そんなディテールまで教えてくれることも少なくて、仕方がないのかもしれないけど。

 このとき、ついでに購入したのがジョージ・ベンソンの『Breezin'』(国内盤 / US import)。まんまとamazonの戦略にのせられて、輸入盤2枚で10%オフというのに釣られているんですが、こちらは安かったから納得できる。なにせ、データを購入するより安い890円弱。それにミュージシャンのクレジットもきちんと記載されているし... 充分に満足だ。

 これはジャズ・ギタリストだったジョージ・ベンソンが自身のヴォーカル・トラックを録音したターニング・ポイント的な作品で、このあたりからジャズ・フュージョンを飛び越えて、ブラック・コンテンポラリーというよりはポップスに変化していったと見ていい思う。とはいっても、名盤だと思う。今聴くと、かなり軽いんだけど、ジャズ的なエッセンスも持ちながら、ポップでもあり... と、いいバランスの作品に仕上がっている。

Al Jarreau このアルバムのプロデューサーが、こういった流れで最も重要な役割を果たしたトミー・リピューマで、70年代後半は彼の手がけた作品にずいぶんとはまったものだ。いわゆるジャズ・フュージョンからAORの名盤のほとんどは彼が手がけているようなもので、有名どころでは、ニック・デカロの『Italian Graffiti(イタリアン・グラフィティ)』(国内盤)やマイケル・フランクスの『The Art of Tea(アート・オブ・ティー)』(国内盤 / US import)にアル・ジャロウの『Glow(グロウ)国内盤 / US import)あたりがあげられるんだが、彼の手による名作は数え切れない。実は、サンドラ・クロスのアルバム、『Just A Dream(ジャスト・ア・ドリーム)』や『Dreams Come True...(ドリームズ・カム・トゥルー)』を作ったときに、選曲の元ネタとなったのがこのあたりのアルバム。『Glow(グロウ)国内盤 / US import)に収められた「おいしい水」(っても、オリジナルはボサノヴァですけど)やジョージ・ベンソンの『Breezin'』(国内盤 / US import)で大ヒットしたレオン・ラッセルの名曲、「マスカレード」はこのあたりから発想を得ている。

Dr. John とはいっても、自分にとってそんななかでもベストの1枚はだみ声のドクター・ジョンが泣かせてくれる『City Lights(シティ・ライツ)』(国内盤 / US import)。いつものアーシーなサウンドはなりを潜めて、実に洗練された音へと彼が変化を見せたのがこのアルバムで、この流れが以降の彼を決めてしまったのではないかと思う。ちなみに、この中の曲、「Rain」も自分がやったプロジェクト、リヴァプールのアーティスト、トーマス・ラングのカバー・アルバムで取り上げている。

 トミー・リピューマの手がけた作品についてはこちらのディスコグラフィーで網羅されているんだが、こうやってみていると、デイヴ・メイソンの一連の作品など、けっこう好きなロック系のアルバムもたくさん手がけているのがわかって面白い。が、自分にとって彼のピークは70年代の中期から後期。エンジニアのアル・シュミットやストリングス・アレンジのクラウス・オガーマンとのコンビネーションから生まれたアルバムには特に名盤が多いように思える。余裕があれば、時にはこうした『時代遅れ』ともいわれるかもしれない名盤を楽しんでいただければと思う。



投稿者 hanasan : 10:56 | コメント (0)

2009年09月03日

Everything Must Change...移りゆくすべてに

Nina Simone 歌にのめり込む瞬間というのがある。これまでに幾度となく聴いていて、知っているはずなのに、なんとも思わなかった歌に、なにかの拍子にのめり込んでしまうとでもいえばいいのか... そんなこともある。このとき聴いていたのは希代のアーティスト、ニーナ・シモンの名盤の一枚、『Baltimore(バルティモア)』。70年代後半のジャズ・フュージョン好きを虜にしたレーベル、CTIで発表されたアルバムで、これまで最も好きだったのはタイトル・トラック。ちょっとレゲエ・タッチを持つこの曲はランディ・ニューマンの作品なんだけど、今日はそれではなく、「Everything Must Change」という曲で、「いやぁ、この曲はいいなぁ...」と息をのむことになったのだ。なぜか? 理由は全くわからない。

 ひょっとすると、このところ仲間が亡くなって、ちょいとセンチメンタルな気分になっているからかも。なにせ、タイトルが意味するのは、「全ては移り変わっていく」。そのフレーズで始まる歌の続きは、「変わらないものなんてない」となる。引っかかるのはそれだけで、歌の意味を理解するにはもっときちんと聴かなければいけないんだろうが、ニーナ・シモンの情感いっぱいの声にハートをわしづかみにされたという感じかなぁ。すこ〜んとはまってしまったのだ。

 すると気になる... 誰の曲だこれは? オリジナルはどんなヴァージョンなんだろう? というので、検索を始めて、深みにはまり込んでいくのだ。これもまた、音楽中毒者の性というものでしょうな。

Quincy Jones で、検索で最初に出てきた名前は、クインシー・ジョーンズ。そうかぁ... というので、頭に浮かんだのは彼のアルバムではなくて、ジョージ・ベンソンだった。彼の大ヒット・アルバムのプロデューサーがクインシーだったことに起因しているんだろうけど、「そうだ、彼も歌っていたはずだ」と思い出したのがこのアルバム、『In Flight(イン・フライト)』。っても、どうやら、クインシー・ジョーンズがジャズからポップス... というか、プロデューサーとしての手腕を大いに発揮し始めた頃のアルバム、『Body Heat(ボディ・ヒート)』に収録されているのがオリジナルではないかと思われる。1974年に発表されたここで彼はアル・ジャロウやミニー・リパートンといったヴォーカルを起用しているんだけど、そのなかのひとりが「Everything Must Change」を作ったBernard Ighner(ベナード・アイグナー)だったんだとか。いわゆるジャズ・フュージョンからAOR的な趣を感じさせるものなんだろうが、残念ながら、このアルバムは持っていない。というので、早速注文。もうすぐ届くことになっている。

 面白いのは、最近みなさん同様にはまっているTwitterにこのことを書き込むと、音楽好きの仲間からいろいろな情報が寄せられたこと。「Everything Must Change」という曲ではなくて、『Baltimore(バルティモア)』というタイトル・トラックのオリジナルが誰かを探していると勘違いした鹿児島の友人はランディ・ニューマンの『Little Criminals』に収録されているよと教えてくれたり.... でもって、Facebookでは、Randy Crawford(ランディ・クロフォード)のヴァージョンもいいよと教えてくれた音楽評論家の仲間もいた。彼女のアルバムで、自分が持っている『Best of Randy Crawford』にライヴ・ヴァージョンが入っているんだけど、76年に発表されたデビュー・アルバム、『Everything Must Change』がそれなのかもしれないと思ってみたり。

 それだけではなく、調べていくと、この「Everything Must Change」はとてつもなく多くのヴォーカリストにカヴァーされているスタンダードで、うちの家でもいろいろみつかるのだ。例えば、オリータ・アダムスのデビュー・アルバム、『Circle of One』に収められているヴァージョンも素晴らしいし、『Higher Ground』というアルバムでカバーしているバーバラ・ストライザンドも、実は、いいのです。

吉田美奈子 ただ、こうやっていろいろと検索していて、みつけてしまった... というよりは、気付かされたのが、なんと吉田美奈子のセカンド・アルバム、『Minako』。大昔から聞いていたアルバムだったのに、このアルバムの巻頭を飾る「移りゆくすべてに」という曲が「Everything Must Change」のカバーだったとは... 今回はこれにぶっ飛ばされてしまったという感じかなぁ。この作品が発表されたのは1975年。当時はソウル系の音楽は全然といっていいほど聴いていなかったし、クレジットもこんなディテールまではチェックしていなかったから、これは吉田美奈子の曲だとしてしか覚えてはいなかったというのが... 知っている人からしたら、笑えるんだろうなぁ。が、これを『発見』して再び吉田美奈子のヴァージョンを聴くと、その素晴らしさに圧倒されるのだ。きわめてユニークでドラマチックな... まるでクラシックなミュージカル映画でも見ているようなイントロから始まるアレンジも完璧なら、オリジナルの歌詞を訳すというよりは、美しい日本語に昇華させている彼女の才能にまた愕然とさせられるのだ。しかも、ソウルを感じさせながらも、まるでシルクのような艶を持つ彼女のヴォーカルがその魅力を圧倒的なものにしている。よくもここまで完成された「本物ののカバー」をやってくれたものだと思う。幾度聴いても、これは素晴らしすぎる傑作だと思うのだ。

 そこで気になったのが時間軸。このオリジナルのことをよく知らないんだが、おそらく、有名になったのはクインシー・ジョーンズの『Body Heat(ボディ・ヒート)』ではないかと思うんだが、これが発表されたのが1974年で、『Minako』はその翌年。おそらく、ここになにかのドラマか出会いがあったんだろうなぁと思う。チャンスがあれば、吉田美奈子さんにこのあたりのお話を聞かせていただく... というのは無理かもしれないんだが、彼女の大ファンだという友人の音楽評論家だったら、このあたりの話も知っているんだろうなぁと察する。なにせ、この曲を作ったBernard Ighner(ベナード・アイグナー)のことを調べてみると、オリジナルのアルバムとして最初に発表されたのは日本録音という1978年か79年の『Little Dreamer』。結局、インターネットでこのアルバムを探し出して、コレクターズ・アイテム化しているアナログを注文してしまうことになったんだが、このアルバムが届けば、もっと詳しいことがわかるかもしれない。

Quincy Jones なんでもディジー・ガレスピーに見いだされて、ジェイムス・ムーディとも仕事をしていたというジャズ畑出身で、マルチ・インストゥルメンタリスト。詳しいプロフィールは彼の公式サイト、http://www.benardighner.com/でわかるんだが、なんでも最近アルバムを発表したらしい。当然、日本での入手は難しそうだが、どんどん気になってきている。

 ちなみに、面白いのは... なんてタイミングなんだろうと思うんだが、中目黒のエチオピア・レストラン、クイーン・シバの店主、ソロモンが最近気に入ってよく見ているのがクインシー・ジョーンズのライヴDVD、『50 Years in Music: Live at Montreux 1996』。当然のように、ここでも「Everything Must Change」が取り上げられていて、なんとシンプリー・レッドのミック・ハックネルとチャカ・カーンがデュエットしているというのが面白い。その曲の説明をしているところで、「Everything Must Change」のオリジナルが69年だとかなんだとか語っているようなんだが、一度しかその下りを見ていないので定かではない。いずれにせよ、最近ではマイケル・ジャクソンやジャネット・ジャクソンの絡みで語られることの多いクインシー・ジョンズだが、彼の世界でこの曲が今でも大きな意味を持っているんだろうなぁということは充分に察することができた。

 さてさて、ひょんなことから、数枚のアルバムを買うことになってしまったんだが、これから届くアルバムでどんな発見があるんだろう。それが楽しみだなぁ... と思うのです。



投稿者 hanasan : 02:08 | コメント (0)