リラ・ダウンズ

LIla Downs

"シェイク・アウェイ"
(US import / US import / iTunes)


The official site

Lila Downs

http://www.liladowns.com/

check 'em? -->My Space / iTunes

the best album

LIla Downs

"The Very Best of Lila Downs"
(US import / Us import + DVD)



previous works


"Live Session - EP" (iTunes)
"La Cantina" (US import / UK import / iTunes)
"Una Sangre (One Blood)" (US import / UK import)
"La Sandunga" (US import)
"Border (La Linea)"(US import / UK import)
"Tree of Life"(US import)

soundtrack, compilations

"Donde Estas Pap? (From the Original Soundtrack of The Three Burials of Melquiades Estrada) - Single" (iTunes)
"Mexican Divas, Vol. 2" (iTunes)
"Mexican Divas" (iTunes)
"Frida"(国内盤 / iTunes)
"ラテン・プレイグラウンド"(国内盤)
"Women Of Latin America" (国内盤)
"Elle-Rebelle" (国内盤)
"Mexico-The Greatest Songs Ever-" (国内盤)


check the albums?

 なんでもボブ・ディランが聴講に来たこともあるというスコットランド人大学教授の父親とメキシコ人シンガーとの間に、ミネアポリスで生まれたというリラ・ダウンズ。その音楽について最も面白いのは、おそらく、アメリカ的なるものとメキシコ的なるものが微妙にクロスして生まれる独特の世界ではないかと思う。どこかで、メキシコで生まれ育ったメキシコ人以上にメキシコ的なるものへの憧憬もあれば、自分のアイデンティティを探す旅のようなものもあるんだろう。根底に強烈なメキシコを感じさせるのだ。その一方で、おそらく、リベラルな父親の影響か、60年代から70年代のフォークやロック、ジャズやロックをそのルーツに見ることができる。もちろん、それは前作、『ラ・カンティーナ』でも感じていたんだが、さらにメキシコ的なるもののルーツに立ちながらも、その両者が違和感なく解け合って見事にリラ・ダウンズでしかあり得ないだろう音楽に昇華されたのが今回紹介する『シェイク・アウェイ』ではないかと思える。

 巻頭を飾るのは"Little Man"(『リトル・マン』)。いきなりメキシコ的... と言っても、マリアッチぐらいしか知らないんだが、そんなイメージを持つホーン・セクションから始まりながら、どこかでバルカン的なニュアンスも感じさせるリズムに乗って、まずは英語の歌でこう歌われるのだ。

「大金が幸せを生むんじゃない。ちっぽけな男でもでっかいハートが幸せな妻を呼ぶ...」

 と、そんな歌なんだが、聞き進めていくと、アメリカに渡ってきたメキシコ系移民の情景が目に浮かぶ。どの曲にもアメリカとメキシコの狭間に生きるリラ・ダウンズのリアリティが反映されているんだろう。やはり英語で歌われる3曲目の「ミニマム・ウェイジ」(最低賃金)からも、そんなテーマが聞き取れる。

 スペイン語でのタイトル・トラックでフィーチャーされているのはフラメンコ・チルという、スペインで生まれた画期的な音楽を代表するチャンバオのラ・マリ。ディープなリラの声に、ハイトーンのラ・マリとの絡みが素晴らしい。ちなみに、当然ながら、この英語ヴァージョンがこのアルバムに収録されているボーナス・トラック、「シェイク・アウェイ」なんだが、言葉の違いとラ・マリとの絡みのあるなしで全く違った曲に聞こえるのが面白い。

 そのラ・マリだけではなく、とんでもないヴァリエーションを持つゲスト陣の参加もリラ・ダウンズの音楽が幅広い世界につながっていることを物語っている。地元メキシコからは、ラテン語圏で圧倒的な人気を持つカフェ・タクーバ、そして、スペインのロッカー、エンリケ・ブンブリのクレジットが見えるし、驚異的なギターテクニックを持つ盲目のヴォーカリスト、ラウル・ミドンから、アルゼンチン・フォルクローレのというよりは南米音楽の母と言ってもいいだろう、伝説のメルセデス・ソーサまでの顔ぶれが見える。ロックからソウル、ジャズにフォーク... と、ここでも彼女の懐の広さを感じるのだ。しかも、その全てを飲み込みながら、どの曲もメキシコのルーツに根ざした圧倒的にリラ・ダウンズの音楽としか言えないほどの響きを持っている。

 さらに、嬉しいのは独特の色彩を与えるカバーの数々。どれも素晴らしいんだが、まずはアメリカ最高の女性シンガー&ソングライター、カントリーに始まってとんでもない世界に足を踏み込んでいるルシンダ・ウイリアムスの「アイ・エンヴィ・ザ・ウインド」(アルバム、『Essence(エッセンス)』に収録。)だ。本人の翻訳によるスペイン語版が強力だし、ボーナス・トラックでは英語版も聴くことができる。また、同じメキシコ系ということもあるんだろう、サンタナでヒットした「ブラック・マジック・ウーマン」もこれまでにはない呪術的な響きを持つヴァージョンに仕上げている。サンタナのヴァージョンは『Abraxas(天の守護神)』、フリートウッド・マックのオリジナルは『English Rose(イングリッシュ・ローズ)』に収録しているので、それを聞き比べるのも面白いかもしれない。そして、最も驚かされたのが、スコットランドのカルト的なバンド、ブルー・ナイルの「I Would Never(アイ・ウド・ネヴァー)」。なんと8年ぶりに発表した2004年のアルバム、『High(ハイ)』に収録されているんだが、まるでメキシコやラテンの世界とは接点もなにもないようなところから生まれているだろうというのがこの曲だ。ところが、リラの手にかかると、どこかでテキサスからメキシコにつながるイメージを感じるのだ。

 聞けば聞くほどに、リラ・ダウンズというアーティストが抱える世界の大きさと深さを感じざるを得ない圧倒的な傑作がこの『シェイク・アウェイ』。できれば、日本盤に登場願いたいんだが、このアルバムを最後にレーベルを離れたとか。それを受けて発表されるのが『ベスト・アルバム』。なお、アメリカでは『DVD付き』のヴァージョンも発表されている様子。興味のある方は、そちらもチェックしてみればいいかもしれない。

 なお、このアルバムにはアメリカ盤とメキシコ盤があって、前者が"Shake Away"(『シェイク・アウェイ)』で、後者が"Ojo de Culebra"(『オホデ・クレブラス - 蛇の目)』というタイトルが付けられていて、若干曲順が違うようだ。手元にあるのはこちらのアメリカ盤で、ボーナス・トラックが3曲加えられている。そのボーナス・トラックはいずれも英語によって歌われているもので、おそらく、重きを置いているのがヒスパニック系のオーディエンスではないかと思われる


reviewed by hanasan




過去に取り上げたもの

イーライ・“ペーパーボーイ”・リード
& ザ・トゥルー・ラヴズ


Eli "Paperboy" Reed & The True Loves

ロール・ウィズ・ユー

ジョン・マーティン

John Martyn

ソリッド・エアー / ワン・ワールド

コージー大内

Kozy Ouchi

角打ブルース

シルヴァー・アップルズ

Silver Apples

Silver Apples / Contact
(シルヴァー・アップルズ / コンタクト・ヴ)

クロスビー、スティルス、
ナッシュ&ヤング


Crosby Stills Nash & Young

Déjà Vu (デジャ・ヴ)

ロギンス・アンド・メッシーナ

Loggins & Messina

シッティン・イン

リトル・フィート

Little Feat

タイム・ラヴズ・ア・ヒーロー

ザ・ドゥービー・ブラザーズ

The Doobie Brothers

ドゥービー・ストリート

ライ・クーダー

Ry Cooder

マイ・ネーム・イズ・バディ

ロドリゴ・イ・ガブリエラ

Rodrigo Y Gabriela

ロドリゴ・イ・ガブリエラ


無断転載を禁じます。The copyright of the review belongs to and it may not be reproduced in any form whatsoever.
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.