Masato Tomobe @ Shimokitazawa La Cana (9th Oct '04)
33年目のトモさん - part2 -
そのトモさんと言葉を交わすようになったのは、タイのバンド、カラワンが初めて来日した頃じゃなかったかなぁ。(残念ながら、いつも使っているネットショップでアルバムはみつからなかったけど、『カラワン楽団の冒険―生きるための歌』という、彼らのことが書かれた本は入手可能のようだ)当時、アジアの音楽にも注目していた僕は、その来日よりしばらく前に、確か、すでに彼らと親しくなっていたトモさんを通じて、彼らとコンタクト。取材をするためにバンコクまで出かけていったように覚えている。軍事政権が権力を握っていた時代、ライフルを持ったゲリラに守られながらライヴをしていたというバンドで、そういった姿勢だけではなく、タイの音楽をベースにして、ライ・クーダーあたりにも接点を感じさせる彼らの音楽が新鮮で、全く違う世界で音楽する彼らとの取材結果は、当時の宝島という雑誌に発表したものだ。
そんなカラワンを通じて、少しばかり親しくなったトモさんは、まだ若かった頃のイメージとは大きく違って、いつもにこにこしているほのぼのとした人物だった。なぜかは知らないけど、なんでも正直に話をさせられてしまいそうな空気をいつも漂わせいて、いつだっけか、とんでもないことを口にした記憶がある。今から思えば、よくもこんなことをいえたものだと思うのだが...
「ごめんね、トモさん。僕は昔のトモさんは大好きなんだけど、今のトモさんを聞いてもあまり感じないんです」
おそらく、本当はとっても気分を悪くしたんじゃないかと思うんだが、トモさんは、やはり、にこにこしながら、
「仕方ないよ。花房君も変わったし、僕も変わったし....」
でも、そんなトモさんが大好きで、10年ほど前まではときおり彼のライヴを見ていたりもした。
その大好きなトモさんとほぼ10年ぶりに偶然会ったのが銀座でのこと。お互いが映画を見たあとで、お互い「どうしてるかなぁ」なんて思い出していた、そんなときだった。「不思議だねぇ...」って、この日は一緒にご飯を食べて、いろんな話を聞いた。今はニューヨークとと横浜を年に半分ずつぐらいで生活していることや、新しいアルバム『何かを思いつくのを待っている』を出したこと。それからしばらくして、横浜の『パパ・ジョン』でで飲んだとき、「値段が高いからCDは買えなかったんだ」と言うと、彼が「じゃ、コピーしてあげようか」って口にしたのはまいった。「そりゃぁ、やばいよ」と大笑いしたんだけど、やはりそんなトモさんが大好きで、結局、しばらくしてあのアルバムを買った。
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思うに、この日は新しいアルバムに収録された曲が中心だったように思う。といっても、全然わからないんだけど、トモさん本人のお便りによると90年代以降の曲が中心だったとのこと。10年ほどの前のライヴでは、ただどこかでほのぼのした感じだけだったんだけど、どの曲だったか、一瞬、撮影の手を休めて聞き入ってしまったことがある。あの曲、なにだっけ? ひょっとして、「ニセブルース」って曲やりませんでした?ライヴに行く前にたった一度しか聞いていない新しいアルバムの、あの曲で自分が止まったに思えるんだけど、どうなんだろう。
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ほぼ10年ぶりのトモさんのライヴは、台風の日。10周年を迎えた下北沢のLa Canaという店で、以前、ここで、やはりあの時代から好きだった中川五郎を撮影したことがある。昔のフォーク喫茶のような雰囲気がある店で、この日、トモさんはロケット・マツという人物と一緒にステージに立っている。トモさんはいつも通り、ギター1本と、ときにハモニカを吹きながら演奏して、ひっそりとそのそばにいるマツさんは、アコーディオンやピアノや、正体不明のおもちゃの笛(のようなもの)やピアニカを取っ替え引っかけ手に取りながら演奏は進んでいった。
台風だったにもかかわらず、まずまずの入りで、たんたんとライヴは進んでいくんだけど、演奏されたのは知らない曲ばかり。といっても、覚えているのは昔の曲だけだから、それも当然のこと。こんなところで昔の曲ばかり期待する方がおかしい。
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ロケット・マツとのコンビネーションはとってもいいようで、彼がぽろん、ぽろんと、あるいは、ちらっちらっと聞かせる、か細いようで、とても存在感のあるちっぽけな音を聞きながら、にこにこしているトモさんの表情がよくて、歌っていないときのトモさんの表情に何回もシャッターを押してしまった。
さて、この日、10年ぶりのライヴは33年前のように自分の頭をぶん殴るようなことはなかった。でも、あの時は、あの時。今は今。「写真を撮らせてちょうだいよ」と、出かけていったライヴなのに、なにかを書きたくなったのは、おそらく、あの曲のせいじゃないかと思う。
どうなんだろうね、33年目のトモさんは? ひょっとすると、触れると暖かい、安らぎを感じさせてくれるような声になったように思えるけど... 本当は、その裏にちらりと顔を覗かせる突き刺すような言葉にどきっとすることもあった。確かに僕も変わったし、トモさんも変わったはずだ。それでも、その根っこで相も変わらず、僕は僕で、トモさんはトモさんだった。結局、僕はまたトモさんの歌を聴き続けるんだろうな... 久々のライヴでそんなことを思った。
photo and comment by hanasan
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photo report : 1 / 2 / 33年目のトモさん : part1 / 2
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